自分の居場所

(読了目安3分)

あなたはいま、「自分の居場所」にいますか?


「漫画喫茶」とか「トイレの中」じゃないですよ。

「彼氏とケンカして憂さ晴らしに行く飲み屋」

「夫とケンカしたときに帰る実家」

「親と口論して飛び出した、ひとり暮らしの部屋」

なども「自分の居場所」とは違います。
それは「居場所」ではなく、「逃げ場所」です。
そこにずーっと居たくて居るわけじゃないですからね。


「自分の居場所」とは、追い詰められてたどり着いた場所ではなく、自分で納得して、安心できる場所です。


たとえばあなたの家族が飼いネコと一緒に新しい一軒家へ引っ越したとします。
まずネコは、恐る恐る状況を探りますよね。
ニオイを嗅いだりしながら、かなり慎重に、時には怯えるようなしぐさで部屋の中を調べます。
まずは一階の探検です。
リビングを調べ、廊下に出て客間を調べ、キッチンを調べ、浴室に入り、トイレも調べ、次に二階への大冒険を決意し、子供部屋、屋根裏部屋なども探検します。
ネコはしばらくの間、新しい環境で不安なまま過ごし、物音にも敏感になりますが、「ここでもない、やっぱりこっちかな」と悩みながらも、やがてその環境に慣れていき、自分が落ち着く場所でくつろぐ日々を迎えます。

結局、一階のリビングにあるソファーの上が、ネコにとって「自分の居場所」になりました。


そのネコは、新しい家に入居した当初は、自分の居場所がわかりませんでした。
しかし、家の中を冒険し、多くの経験を積むことで、自分の居場所を見つけ出したんです。


この世に生まれたあなたは、言ってみれば、この世という「家」に引っ越してきたネコと同じかもしれません。
生まれてから今まで、多くの体験をしながら、自分の居場所を探しているはずです。
生まれたときは「母の腕の中」が「自分の居場所」だったかもしれませんが、成人したあなたはいつまでも母の腕の中に居ることはできません。
やがて親の腕から飛び出し、冒険をし、時には喜び、時には悲しみ、不安になりながらも、人は「自分の居場所」を見つけ出そうとしているわけです。


最終的に「ソファーの上」を見つけたネコは、引っ越してすぐにソファーの上ではダメだったんです。
家の中を冒険して、他の部屋や廊下など、いろいろなものを体験し、一番安心できる場所としてそこを選んだわけです。
ですからみなさんも焦らないでください。
若い人ほど焦る必要はありません。
この世に来て間もないのに「自分の居場所」なんか見つかるはずないですからね。


あの男の腕の中はもうイヤ、次はあっちの男の腕の中・・・
この会社はブラックだった、次は自己啓発セミナー・・・
南の島、北の雪国、次は海外へ・・・



焦ったり、経験不足だったりすると、いろいろなことが起こります。
「ついに見つかった!」と思っても、やっぱり違ったなんてこともよくありますし、気にも留めずスルーしていたものが、実は探していたものだった、なんてこともありえます。
あちこち遠くに行けば自分の居場所がある、というわけでもないんです。


ただ、なにもせずのんびりし過ぎても、「気付いたら居場所がないまま一人で老後を過ごしていた」なんていうことになります。
そのあたりは、「いつ腹をくくるか」にかかっているような気がします。
「40歳を過ぎると自分と結婚してしまう」という格言のようなものがありましたよね。
ポイントは、「40歳になる前に自分の居場所を見つける」ということなのかもしれません。


多くの経験と多くの努力が、あなたが本当に求めている場所へあなたを導きます。

ネコが勇気を振り絞って新しい一軒家を冒険した末に「ソファー」を見つけたように、「自分の居場所」は、経験や努力の後にできるものです。

経験はたくさんしてください、そして努力もたくさんしてください。
そしていつか、自分の居場所を見つけてください。


・・・


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