全財産と引き換える価値があるもの

(読了目安8分)

「全財産と引き換える価値がある!(なにもかも捨ててでも手に入れたい!)」と思って手に入れたものでも、その熱い思いが続かなかったり、手に入れたことを後悔したりしたことがありませんか?

なぜそうなるのか、どう考えればいいか・・・今回は「全財産と引き換える価値があるもの」というキーワードで短編2つです。




◎全財産と引き換える価値があるもの


1:ワクチン 


以下、物語だと思って読んでください。



昔、人々が感染症にかかり、バタバタと倒れてしまう時代がありました。

そんな悲劇をなんとか回避したいと願い続け、人類はついに「ワクチン」を開発しました。

その後、致命的な病気に関して、人類は次々にワクチンを開発し、多くの感染症を予防、または最小限に食い止めることができるようになりました。


医師たちの研究と努力の末、感染症による死者が激減したんです。


感染症が激減すると、こんどはワクチン接種後の死亡事故がピックアップされるようになりました。
ワクチンの接種が原因と思われる死亡事故は、数字的には微少でも、どうしても避けることはできません。
ワクチンが原因で死者が出たことを知った人たちは、「ワクチンなんか役に立たない!誰かが儲けているだけだ!ワクチンを打つと死ぬ!」と騒ぎました。


やがて、ワクチン不要論が世の主力になり、ワクチン不要論を唱えた政治家が政治を独占すると、人類はワクチンの全面廃止を決断しました。


すると10年後には、これまでにワクチンで抑え込んでいた感染症が蔓延し、人々がバタバタと倒れてしまいました。


なすすべなく愛する人が倒れていく姿を見た人たちは、「全財産と引換えてでも、愛する人たちが笑顔でいてくれればいい」と思いました。


多くの人々が病に倒れる状況が続くと、こんどは「ワクチン必要論」が世の主力になり、人類はワクチンを復活させました。


すると数年後には感染症が激減し、人類は再び多くの病気を予防し、愛する人と楽しい時間を過ごせるようになりました。


感染症の死者が減り、楽しい日々が復活した人々は、「これこそ私たちが求めていたものだった」と再認識しました。



人類の願いは、愛する人たちが一人でも多く、長い時間、笑顔でいてくれることだったんです。


つまり人類の願いは、ワクチンの撲滅ではなく、ワクチンの接種だったということです。
しかしワクチンの接種が当たり前になり、病気がなくなって「健康」が当然になってしまうと、健康に感謝する感覚が麻痺してしまうんです。


・・・さて、この話、人生で言うと、なんのことを言っていると思いますか?


・・・


・・・


そうです、「パートナーとの関係」のことです。


人間は「これこそ全財産と引き換える価値がある」と思ったものでも、一度手に入れてしまうと、それに価値を見出すことができなくなってしまうことがあります。


幸せの絶頂だった彼氏との同棲や結婚生活も、時間が経つと当たり前のことになってしまい、幸せを見出すことが困難になり、文句を言い出す人がいます。


あげくに、外側に幸せを求めてお金を使うようになりますが、いくら使っても結局最後に求めるものは、お金では買えないものなんです。


いま、パートナーとの楽しい時間を「これこそ私が求めていたもの」と本気で思えるなら、ぜひそのまま大切にしてください。
ひと波乱起こさないと楽しい時間の価値を再認識できないようでは、ワクチンを撲滅させて後悔した人類と変わりません。
ワクチンを撲滅させた人類を「愚かな選択だった」と思うなら、マネをしないでください。

逆に、ワクチンを撲滅させた人類を「人間だもの、そりゃ失敗するよね」と思うなら、自分の悩みにもその考え方を当てはめれば、ストレスのない人生を送ることができます。
もちろん人の心はそんなに単純ではないですが、少しは楽になることができるはずです。


これは余談です。

「経済社会」は、道に迷っている人に対して「これがあなたが求めているものです!借金をしてでも手に入れる価値があります!」と商品を提案します。
しかし皮肉なことに、値札がついているもの、つまりお金で買えるものは、人間が本当に欲しいものではありません。


お金で買えるものは「手段」でしかなく、「目的」ではないんです。


ですから、たとえいまお金がなくても絶望する必要はありません。
逆に何億円持っていても、本当に欲しいものは手に入らないんです。



2:通販番組と男選び

通販のテレビ番組で、たとえば「洗剤・ダイエット食品・ダイエット器具・調理器具」なんかを買い、「やっぱりこれ違うかも・・・」と思ったことはありませんか?


番組で紹介されたダイエットマシーンがとても素晴らしく見えて、「使いたい!これなら私も続けていける!」と思っても、買ってしばらくしたら倉庫に入っていたとか、思ったほど効果が出なかった・・・というパターンです。


もうちょっと短くまとめると、「テレビの通販で買って失敗した~」・・・そんな体験です。


番組では、美しい女優やモデルが笑顔で商品を説明したり、楽しそうに使ったりして、とてもいいものに見えます。
商品が持つ実際の実力よりも大げさな表現をしていることもよくありますし、また、何度も繰り返して商品の良さをアピールするので、なんとなく洗脳されていってしまい、人によっては「その商品こそ私が求めていたもの!」、さらには、「この番組、この商品こそ世界の中心!」みたいな心理になってしまいます。


しかし実際は、80億人もいる人類の中の数十人が、撮影用のスタジオで商品の説明をしているだけで、女優やモデルが普段からその商品を使っているかさえ怪しいんです・・・
その商品を売る会社は、「法律ギリギリで消費者に売る方法」を研究しているわけです。


そんな裏話はいいとして、だいぶ以前、たまたま娘とテレビを見ていて、それが「通販番組」だったんです。
マスターは、出演者の演技や商品説明、それから、購入手続きの方法などを、ある意味「コント」として楽しんでいました。


でも・・・娘のリアクションは違ったんですよ・・・
「お父さんこれすごーい!欲しい!」と真顔でマスターに言うわけです。
「数年間貯めたお年玉を全部使ってもいいから買いたい!」ぐらいの勢いで、「お父さんが電話したら買うの?貯金が全部なくなってもいい?」と尋ねたら、「うん!」と返事をするわけです・・・


マスターから見たらコテコテのコントみたいな内容でも、6歳の娘から見たら「とてもいい商品」に見えたんです。
娘の純粋さというかなんというか、マスターはそのとき一層娘が愛しくなりました。


興奮する娘に対して他の話題をふっているうちに、なんとか娘の興味の対象が変わり、その後はなにも言わなくなりましたが、もしマスターが「マジでこれいいね!、お父さんはお金がないけど、君のお年玉で買おうか?芸能人もみんな使ってるみたいだしね」と言えば、娘は本気で買っていたかもしれません。


そして商品が到着すれば、到着の瞬間の大きな喜びと共に、数日間は余韻に浸れるかもしれません。
しかし結局、その「瞬間的な快楽」のために「全財産」を使ってしまい、次に欲しいものが出てきた時には、お金はなくなり、使わない商品が手元に残り、後悔することになるわけです。


では、なぜマスターにとっては「コント」と言えるものが、娘にとっては「全財産と引き換える価値があるもの」だったのか・・・


それは・・・人生経験が少なく、自分に価値判断の軸がなく、その場の快楽を追うからなんです。


「悪知恵がある人たちが発信する商業的情報に、短時間で洗脳されてしまう」


「純粋さゆえ魔法をかけられ、衝動買いさせられる」


「世界中が褒めている商品を手に入れて安心したい(実際はスタジオ内の演技であっても)」


などと言ってもいいかもしれません。


もし娘に人生経験があり、自分の価値基準がしっかりしていて物事に対して動じない知恵があれば、たとえ通販でなにかを買うことがあっても、本当に必要なものだけを選ぶことができます。


しかし、「テレビ番組で紹介された商品は世界のみんながおすすめしていて、買えば自分を一層幸せにしてくれる」なんて思ってしまうのかもしれません。

※ネットワークビジネス・アイドルを追う心理・ブランド品・グルメなども通販番組との共通点があります


自分の未熟さゆえに、全財産を使っても、人生をかけてなにかに挑戦しても、うまくいかないことは多々あります。


そして、その典型的な例が・・・結婚です。


商品なら、キャンセルや返品も可能ですが、結婚はそう簡単にもいきません。
結婚してから「やっぱりこれ違うかも・・・」ではいろいろと大変です。


以下、今後結婚を考えている女性は、冷静になって読んでください。


世の中には、周囲の大人から見たら「コント」みたいな男性を本気で好きになり、「彼だけは大丈夫よ」と結婚して、やがて離婚する若い女性がいます。
若くて美しい女性には、多くの男性が「売り込み・営業」をかけてきますが、人生経験が少ないと、売り込みの文句を信じて「ヘンな男」を買ってしまうんです。


そして、これも大切なことなんですが、「男性とうまくいかなくて悩んでいるとき、どう考えればいいか」ということです。
仮にマスターの娘が全財産と引き換えに通販で商品を買い、数日使って飽きてしまい、買ったことを後悔しているとします。


このとき、みなさんは、後悔している娘に、なんと声をかけますか?


「しょうがないよ、次はもっと考えて買おうね」


「せっかく買ったんだからもっと使ってみたらどう?」


「上手に使えばきっと役に立つわよ」


「人生はこうやって大人になっていくのよ」


「すっぱりあきらめることね」


「大人ってイヤよね」


などでしょうか。

人によって様々な助言があると思いますが、その助言を、自分が男性とうまくいかなくて悩んでいるとき、自分に言い聞かせればいいわけです。



話は戻りますが、通販番組でなにかを買って後悔する人は、


「人生経験が少なく、商品の本質を見抜く力がない」


「自分がなにを欲しているかということがわからない」


「自分にその商品を使い続ける力があるかわからない」


「すぐに影響されやすい」


「自分の考えに軸がない」



こんな人です。

そんな人が男選びをしたらなにが起こるか、また、そんな人に近づいてくる男性がどんな人か・・・想像してみてください。


ヘンな男と結婚するために全人生を使わないように気をつけてください。

・・・

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