グルはどこにいますか? 2 ―答えと短編集―

(読了目安9分)

◎グルはどこにいますか 2

主にヨガのグルを神格化している人のために、短編5話です。
グルを妄信することなく、以下、よく考えてみてください。
最後に、「グルはどこにいますか?」の答えです。



1:グルは人の心が読めるのか

もちろん100%人の心が読めるグルなんかいません。
人の心が読めるなら、ナンパに成功しますよね。
また、もっと大きな意味で言えば、愛と平和を実現するために政治家になり、世界を平和にすることができます。

まずは「自分癒し」を卒業してからグルになるのが正しい道ですが、「お金を稼ぎたい」と思うと、自分癒しができていなくてもグルにならざるを得なくなります。
現在、経済社会でヨガを勉強するインド人は、将来お金を稼ぐための「職業グル」になるのが目的の人がほとんどだそうです。




2:三千年の歴史

ヨガの歴史については諸説ありますが、仮にここでは「三千年の歴史」ということにしましょう。

さて、三千年の歴史のヨガについて、あなたはどのぐらいの期間で学べると思いますか?
生涯をかけて学ぶお坊さんでさえ、完璧に習得できるとは限りません。
「プロが一生かけても習得できるとは限らない」ということです。


では、たとえば日本のOLが、ヨガとヨガにまつわる知恵の数々、そしてヨガのベースになっている仏教の真髄などを習得するには、どのぐらいの期間がかかるでしょうか。
しかも、ヨガには流派がいくつもあり、それぞれに主張があります。


日本人がインドに行くのは、日本で例えると、外国人が来て茶道や花道、書道などを理解しようとするのに似ていますが、「わび・さび」「もったいない」「おかげさま」などの日本語の本質が伝えにくいのと同じで、数ヶ月や数年で異国の文化を理解することは、不可能に近いことです。
ヨガがインドの文化としてしっかりと存在するものであるほど、その本質を理解するのは難しいということです。




3:グルはテレパシーで会話できるのか

自称「テレパシーを使える」と言っているグル同士が電話で話しているそうです。
やっぱり自信がないんでしょうか、自分の能力に。
グルにツッコミを入れると、きっと「昔はみんなできた・電話に甘えて使えなくなった」と言うのかもしれませんが、いずれにしろ「テレパシーより電話の方が便利」ということです。


ちなみに、電話を発明したのは、グルではなく、考え続けることをやめなかった科学者(探求者)たちです。


また、以前書いたかもしれませんが「私はテレパシーが使える」と言うアボリジニ(オーストラリアの先住民)の話として、マスターの知人が現地で聞いたものです。

アボリジニの女性 「私はテレパシーが使えるのよ、彼氏から電話こないかなあって考えてると、電話が来るのよ!」

知人 「(心の中で) え? それじゃ、そのままテレパシーで会話すればいいんじゃない?」 
※実際はアボリジニのネタなのかもしれません


これは、常に彼氏のことを考えていると、電話が来たときに「願いが通じた!」と勘違いしてしまうパターンで、冷静に考えるとテレパシーでもなんでもなく、人間の思い込みなどによる心理的な現象だとわかるんです。
つまり、人間の無知が起こす「偽テレパシー」なんです。
「彼氏とつながっていたい」という気持ちが強いほど、その電話をテレパシーの効果だと思う傾向がありますが、ちゃんとデータをとると、心理的な現象だとわかります。
そういうことを落ち着いて冷静に考えられる人たちが電話を開発し、それをグルやアボリジニが使っているわけです。
考えることを続け、ニセモノの神を排除し、本物の神に近づくのはいつも探求者です。
お金を集めたり、ナンパしたりのグルでは、生徒はもちろん、本人も本物の神に近づくことはできません。


将来の人間は、今で言う「テレパシー」を使えるようになりますが、それはその時代では「当たり前」のことになります。
千年前はありえなかった「小さな板(スマホ)を操作して地球の裏側の人と話す」というのが今は当たり前なのと同じことです。




4:グルにはオーラが見えるのか

「オーラ」という言葉の解釈はとても広いので一概に言えませんが、身体の周りにあるオーラの色が見える人はいないようです。
「オーラ(身体の周囲の光)が見える」と言う人でも、身体の大きさのついたての向こう側に人がいるかどうかを当てられないそうです。
以前、アメリカの研究者、ジェームズ・ランディーが「当てられたら1億円あげる」という企画を立ち上げたんですが、参加者は一人も当てられなかったそうです(※)。
また、「当てられる」と言う人に「挑戦状」を送っても、誰も参加しなかったそうです。
マスター個人の見解ですが、「自称グル」が挑戦しても当てられなかったと思います。
※「ジェームズランディー 100万ドルチャレンジ」などで検索してみてください




5:「自称グル」の多くは

自分の目先の利益のために、普段自分が言っていることと違うことをするのってどうでなんでしょう・・・
たとえば、タバコの反対運動をしている団体の職員がタバコを吸うとか、不倫をしてはいけないと言っている女性団体の職員が不倫をするとか、警察官が犯罪を犯すとか、宗教者が性的虐待をするとかです。


たとえばカトリックの司教が少女への性的虐待をするなんておかしな話ですが、それは実際に起こっていて、以前、約400人の司教が一斉に辞職・解雇・停職などの処分を受けたというニュースがありました。

もう少し小さな話だと、テレビ番組の情報偽装などは、「真実を伝えます」と言っている本人がウソをついて利益を上げようとする典型例ですし、メタボを撲滅する立場の内科医が太っているのも、言葉とは裏腹に自分の欲のまま食べているのが原因で、これは患者に対する愛ではありません。

自分の収入を支えている医療界の信用を失う行為ですから、患者への裏切り行為・自滅行為と言えるわけです。

「自称グル」も例外ではないということは忘れないでください。




◎グルはどこにいますか?

以前書いたように、マスターは自分の難病を治したいと思い、25歳でネパールに渡りました。
しかし様々な経験の末、「このままでは病気を治すための人生になってしまう」と感じ、病気と共存することを選びました。
病気を治しに行って、「病気は治さなくていい」と悟ったわけです。


グルについても同じことが言えます。
現在あなたは、自分の心の問題を解決するために、インドやヨガに「グル」を探し求めているかもしれません。
しかしそれを続けていたら、あなたの人生は「グルを探すための人生」になってしまいます。


「これも違う、あれも違う、あの人も違った、私はグルに出会えなかったから不幸な人生だった」


・・・こんなことを言いながら生涯を閉じるつもりはありませんよね。


あなたの人生はあなたが主役ですから、グルがいなくても幸せになってください。


たとえば、テニスがしたいなら、あなたのグルはテニスのコーチです。
テニスのコーチを探すのは簡単です。
経歴を調べればいいからです。
また、料理をしたいなら、あなたのグルは料理教室の先生です。
これも経歴を調べればすぐに見つかります。
そして・・・幸せになりたいなら、あなたのグルは「幸せな人」です。
しかし「幸せ」には経歴などありませんから、あなたのグルは、あなたが幸せだと感じることを先に実践している人です。
あなたがなにを幸せかと定義するかによってグルが変わるわけですから、グルをグルにしているのはあなた自身です。


・・・さて、グルがどこにいるのかわかってきたと思いますが、もう少し続けます。


マスターは以前、マスターの店で8年ほど修行していたN子さんに以下のように伝えました。


「N子は玉ねぎのみじん切りは上手だから、もうオレとみじん切りバトルをする必要はないよ」


N子さんは素直に「はい」と答え、その後、「マスターの言葉を信じることができます」と言いました。
この時点で、N子さんの玉ねぎのみじん切りのグルは、N子さん自身になったんです。


N子さんがマスターの言葉を信じることができたのは、「マスターが年上だから」とか「マスターは約束を守る人だから」とか「マスターは言葉を選ぶ人だから」ではないんです。
N子さんが自分で納得できる努力を続けたからです。


「マスターの言葉を信じるに値する努力をした」という根拠があったわけです。
努力していなければ、「上手だからもうバトルしなくていいよ」という言葉を、「見放された・お世辞でしょ・疑わしい・どうせ褒めてるだけ」などと思ってしまい、マスターの言葉を素直に信じることはできなかったはずです。


N子さんの玉ねぎのみじん切りを上手にしたのはなにか・・・それは「マスター」ではなく、「N子さんの努力」です。
そしてN子さんに自信をつけさせたのはなにか・・・それは「マスターの言葉」ではなく、やっぱり「N子さんの努力」なんです。


同じように、「あなたはいま幸せです」とマスターから言われても、あなた本人が心からそう思える努力をしていない限り、あなたは幸せになれません。
あなたを幸せにするのも、あなたに自信をつけさせるのも、マスターの言葉ではなく、あなたの努力です。


あなたの幸せは、あなたの努力によってしか実現できないんです。


言い換えれば、「幸せになりたいなら努力が必要」ということです。


ですから「外側にグルを探す」ということは、「幸せは外側にある」「自分の責任で幸せになろうとしていない」「幸せにしてもらおうとしている」と言っているのと同じです。
みなさんは、そんな人とかかわりたいと思わないはずです。




◎答え

マスターは前回の投稿の終わりにこう書きました。


では、愛を実践している人・長く愛されている人は、どこにいるんでしょう。
それを見つけることができれば、それがあなたのグル、あなたの「教師」ということです。
「長く愛されている人」とは、プレゼントをたくさんもらっている人とか、単に結婚生活が長い人でもありませんよね。

あなたが愛を理解し、実践する努力を続ければ、グルと呼べる人を見つけることができます。
そしてその人は、自分のことをグルとは言わないはずです。


愛を学び実践することができれば、あなたの周りに「グル」がいることに気付きます。
しかしあなたが最後に求める「グル」は、外側にいるグルではありません。
そうでなければ、外側のグルがこの世を去ったとき、あなたは不幸になってしまいますからね。
愛を学び実践を続ければ、外側のグルがこの世を去っても、あなたの中に「あなた」というグルが存在し続けます。


そのグルこそ、「本物のグル」です。


そしてあなたはそのグルと、「愛」について対話を続けます。


人はグルを求め、まず自分の外側を探しますが、誰もが自分の中にグルを持っていて、そのグルと出会えるようになっています。
あとはそれを求めて行動するかどうかです。
ムリだと決めつけたら出会えませんし、方法を間違えても出会えません。
あなたが本質的な努力をするかどうかにかかっています。

「グルはどこにいますか?」

その答えは、

「あなたの中」です。



余談:
マスターの店で修行したN子さんは、多くの努力を積み重ねた結果、玉ねぎのみじん切りについては「私のグルは私自身」と思えるようになりました。
人生について「私のグルは私自身」と思えるのはいつのことなんでしょうか・・・

・・・

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