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川添さんから音が鳴る

ココロテン
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ある日、あの人は言葉を捨てた。
言葉は間違って伝わるから。
川添さんはそう思ったのだと僕は思う。

だから今となっては川添さんと話すことができない。
川添さんは言葉を持たず、
川添さんにあるのは川添さんの真実、
それだけだった。

川添さんは言葉を捨ててもなお、僕の近くにいる。
そんな川添さんを見ていると、何か音がする。
そのことが僕には感覚できる。

音は川添さんの真実を表している。
いま、それが分かった。
言葉を捨てた川添さんから鳴る音を、
言葉を捨てずにいる僕は説明することができない。

その音を聴いてから、
僕はずっと幸せな気持ちでいる。
それだけはしかし、
絶対に確かなことだということを、
僕は知っている。

Photographed by maT_chanG
Narrated by 竹内 心
Story written by 田村将章
Music composed by maT_chanG

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