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"Kokoro"の志 Vol.9 Rome was not built in a day

おはようございます。

先日、とあるラグビースクールのコーチとその学生(中学生)と「NZでのラグビーの環境や生活について」という内容で今流行りのZOOMにてディスカッションする機会がありました。

なぜこのような場が設けられたかというと、近年ラグビー留学をする選手は急増するものの、分母の増加ほど、成長して帰国する選手の割合が少ないという事を先輩が危惧しての事でした。

今回はNZで2シーズン目を迎えた私の、日本とNZとの違いについて幾つか感じた点をお話したいと思います。(大学生以降のラグビーについて)

私が感じた日本とNZの違いは、大きくシステム面とメンタル面の2つに分ける事が出来ます。

まずシステム面についてです。

NZでは高校を卒業すると、基本的に地域のクラブチームに入ります。クラブチームには大学生から社会人まで幅広い層の選手が在籍しており、現在世界で活躍するALL Blacksの選手も基本的には以下のようなフローで代表まで駆け上がっていきます。

クラブチーム→州代表(地域の代表)→Super Rugby→All Blacks(NZ代表)

日本では、大学卒業時にトップリーグやトップチャレンジリーグに入団出来なかった選手は、クラブチームや、下部リーグでプレーすることとなり、トップチームへの移籍や代表への選出の可能性は限りなく低く、非常に困難であるというのが現状です。

NZでは19歳でも30歳でもすべての選手に代表となるチャンスがあり、これは大変モチベ―ティブな仕組みであると感じるとともに、この仕組みこそがNZをラグビー大国たらしめる大きな要因の一つであると考えます。

注釈:ここで言いたいのは、NZの特徴を生かし、多くの人材を育成確保する事が出来る仕組みづくりへの評価です。この仕組みを日本に持ち込んでも上手くワークする可能性はとても低いと感じています。(特に都市部では)

もう一方のメンタル面についてですが、こちらは私からすれば日本のチームの方が優れていると感じます。
それは学生という遊びたい盛りの年ごろとNZの誘惑の多さの相性の悪さにあると思います。

上記にもあるように、やる気のある選手にはチャンスが回ってきます。その一方でこの国ではラグビーを楽しんでいるだけの人も大勢います。

クラブチームにベンスミスのような世界的な選手が所属する事もあれば、「このラグビー大国で、君は20数年間の間、一体何を学んできたんだ、、、」というような基礎の全くできていないチームメイトもいるわけです。

全体練習の量も日本の大学の半分以下ほどしかありませんし、練習に遅刻しようが欠席しようが基本的にそこまで言及はありません。
そして練習量が圧倒的に少ないため、自分の自由な時間の使い方によって大きな差が出てくるのです。アスリートとしてはよろしくない誘惑が、合法非合法含めて日本よりも断然多いことも、その点に拍車をかけていると感じます。

そう、すべて自己責任なのです。

ただ結果がすべてのこの世界。どんな私生活でも結果を出せばいい事は確か。ただ、ここで一つ忘れてはいけないことがあります。

我々は日本人であるという事です。
アスリートとしての体型や身体能力で劣る日本人が、努力をせずに勝てるはずがありません。

低いモチベーションで生活する選手らと同じような生活をすれば、体作りがおろそかになることは間違いなく、その差は大きくなる一方です。
組織の中でしっかりと育成されている日本の選手と比べた時に成長速度が遅くなることは火を見るよりも明らかです。

私はこれがラグビー留学の母数の増加に対し、芽が出る選手が少ないという問題の大きな要因である気がしてなりません。

「嫌でも成長できる」これは日本の大学ラグビーの方が当てはまると私は思います。

ただ、自律した選手(プロ意識)という点ではNZで活躍する選手の方が圧倒的に高くあると思います。

今日の日本では、トップレベルの大学には充実した設備があり、優秀なコーチ陣が在籍し、レベルの高いラグビー教育を受けることが出来ます。

身も蓋もない話ですが、現代の情報社会において、ほとんどの情報が共有され、トップ選手のやっている練習や、自身のやるべき事などの情報はどこにいても簡単に得ることができます。
要は自分がどのような選手になりたいか、その後どんな人生を送りたいかを考えて選択する事、そして「想いを強く持ち、毎日本気で正しい努力を続ける」これだけなんだと思います。

P.S 昨晩野生のハリネズミを見ました。野生のペンギンもいるそうです。もとより野生の動物嫌いの私ですので、改めて柵があるからこそかわいいと思えるのだと実感しました。


それではまたひとつ


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