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夏の思い出

今年の夏はとても暑かった。日焼けしないように帽子を被り車の中では長袖を着て対策は欠かさないが、若い時は無頓着だったためかすでにできてしまった手の甲にはシミがある。暑いなか出掛けるのも水着になるのも億劫だが、「誰かが踏んだマットに足を乗せられなくなったんだよねー。お風呂とか温泉とかホント無理―」というよくわからない理由と施設からお断りされるというもっともな理由とでプールに行けない娘の代わりに、夏になると孫達をプールへ連れていくようになった。

昨年も一緒にプールで遊んだが、子ども達はその時より成長していた。そう感じたのは、少し泳げるようになっただとか、昨年は一緒でも怖がっていたのに、ひとりでスライダーを滑って得意げな顔でこちらを見て手を振ったりだとか、そんな様子からだ。小学4年から幼稚園児まで5人もいると成長度合いはそれぞれ違うが、上の子二人は水しぶきをいっぱいあげてどっちが早いか競争している。一番下の女の子は水すら怖がっていたのが、お兄ちゃんお姉ちゃんと混じって遊んでいるうちにだんだんと大胆に浮輪に乗ったり水を掛け合ったり、浅いところから少し深いところへ行ってみたり。短い時間なのに変化が大きくて、見ているだけで子ども達のワクワクが伝染して胸が高鳴るようだ。

いろんなことがあった人生だったが、こうして平和な時間を過ごせるようになったことにも隣にいる夫にも感謝しかない。自分が子どもの頃に海やプールで遊んでいた時の夢中だった気持ち。大人になるにつれ、手放してしまったような気持ちを、プールに行くくらいたいしたことではないものの、孫達に体験させてあげられたこと、みるみる変化成長するその場にいられたことが嬉しかった。

生きていることは本当に愛おしい。子ども達は大きくなったら忘れてしまうかもしれないがそれでも良い。わたしはこの夏の日の思い出を何度でも胸の奥底から取り出して微笑むだろう。年老いて身体が言うことを聞かなくなり、プールに連れていく子らがいなくなっても、いつでも幸せな時間に戻れるのだから。

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