序、終わる燃えかす、残りかす
もう、日中はかなり暑い。
友人のツイートを頼りに、半袖に薄手のシャツを羽織る。
肌を食い破りそうな日光のあたたかさを久しぶりに思い出した私はようやく、2021年は4分の1を終えようとしていることを悟った。
ずいぶん駆け足で来てしまったみたい。
ゆらゆらと
自分だけを信じて過ごすしかなかった2020年
年が明け、部屋に篭って芝居をして。
月が変わり、なんでもないみたいに年齢を重ね。
そしてまた、部屋に篭って芝居をしていた。
季節の色や匂いに気がつく余裕も無く、そうしているうちに、冬が終わり、春が来ていた。
「ちょっと3ヶ月、芝居漬けで頑張ってみます。未知なので、どうなるかわかりませんが。」
年が明ける前、関係者各所にそう宣言をして、自分なりに戦い続けた日々だった。
その戦いは、自分の中で決着をつけられないまま終わってしまった。
『もしかして、濃厚なっちゃいました?』
どんな気持ちでそんな言葉を投げたのだろう。あたたかい言葉をかけたつもりだと思ってるのか。
そうだったら悪いのか。そうじゃなかった奴が偉いのか。そんな時代じゃ無いでしょう、もう。
「誰も悪くない」という根本を背負っているからこそ、言葉の境目は脆く曖昧だ。
確かに同じ空間にいたはずなのに、隣に座っていたかいないかで判断される世の中だって曖昧だ。
わたしは何を勘違いしていたのだろう。
いつの間にか、そんな世の中になっていたなんて。充分に恐さを知れていなかった。
本当に恐いのは、頼りきれない不十分さがあると気付いていながらも、何かの規定に寄っかからないと自分を保っていられない人間だ。
自分の頭や心で考える前に簡単に歪む概念だ。
こんなの、本当に大切な人たちと、好きな事をして、笑って、なんて、生きていけないじゃ無いか。
積み重ねたものが、やっと塀の先が見えそうだった気がした足場が、ガラガラと崩れていく感覚。
いつか漬け始めたぬか漬けを放ったらかしにして、忘れた頃にそのまま捨てた、みたいな。
放ったらかしにして、たしかに刻んだものへの気持ちが消えてしまうのが怖くて、こうして、誰にも渡せない殴り書きの手紙みたいに残してる。
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「寝たら夢の中あれもこれも見て、目が覚めたら恋に堕ちてることもある」
小学生の頃から大尊敬をしているaikoさんが曲中そう言ってるように、人の思考や感覚は一晩で変わってしまうものなのだ。
私はそんな、自分自身の変化を促すような一瞬一瞬を3ヶ月弱続けていた。
知らなかったこと、理解しなければならないこと、見ていかなければならないこと、向かうべき場所、細胞に叩き込まれるような刺激的な日々だった。
今、こんな風に言葉を紡いでいることに、大きな意味はなくて、ただなんというか、消化活動の一つのような。
待っていてくれる場所に戻りたい自分。
まだ見たことのない場所に進みたい自分。
変わってしまった(気がする)自分。
何一つ変われていない(気がする)自分。
ポッカリと空いた心とスケジュールに、そんなどうしようもない両極端の欲を、ぶっきらぼうに詰め込む。
進まなきゃならない。
前を向いて、進まないと。
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『スタッフルーム』末永凛子
『キスより素敵な手を繋ごう』長谷川由美
『Illya and Roy』イリヤ
1から3月毎月お芝居ができて幸せでした。
見守ってくださり、ありがとうございました。
次はもっと成長した私でお会いできますように。
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