にわかに「解散風」 森友学園籠池理事長証人喚問後のゆくえ

 「それなら籠池を呼べ!証人喚問だ」と安倍首相の鶴の一声で、参考人招致さえ拒否していた与党が、森友学園籠池理事長の証人喚問に応じた。側近の菅官房長官は反対したが、“殿”の怒りは収まらぬ。

 ここで収拾しないと大変なことになりかねないと与党は綿密な作戦会議を開いて証人喚問に臨んだ。結果は大失敗。安倍首相をかばおうとする与党の姿勢が見え見えでかえって逆効果だった。

 おまけに「昭恵夫人の証人喚問を」という声まで出てきた。破天荒な昭恵夫人をそのような場に出したら、何を言い出すかわからない。「首相夫人が嘘をいうはずがない」と政府自民党サイドは口をそろえるが、国民の過半数は逆に疑いを強めている。打開の道はまったく見えない。そこで、やぶれかぶれの衆院解散か、という声が与党から聞こえる。

 「森友解散」とか「(死なば)もろとも解散」とかかまびすしい。やれば自民党は議席を減らすが、ま、20議席ぐらいでは、というのが自民党の読みだ。安倍内閣の支持率は急低下しても、民進党に投票する有権者が増えるとは思えないというのが皮算用だ。しかし、それは甘い。小選挙区制を軸にしたいまの衆院の選挙制度は、風向きで大きく議席が動く。郵政選挙や鳩山政権樹立につながった総選挙を見るまでもなく、地すべりが起きやすい選挙制度なのだ。仮に与党が過半数を維持したとしても内閣の求心力は弱まり、かつ森友問題はその後も尾を引くことは間違いない。進むも退くも地獄。安倍内閣は胸突き八丁にさしかかっている。「私や家内が関与したということが明らかになれば、総理大臣はもちろん、国会議員もやめる」。あんなこといわなければよかったと安倍首相悔やんでいるのではないか。

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