森友学園 偶然をめぐるドラマ

 政治の世界ほど「偶然」の多いところもないだろう。最近起こった「偶然」をめぐるドラマ。どこでも話題の「森友学園」が舞台である。

 2015年9月3日首相官邸。財務省の迫田英典理財局長と岡本薫明官房長が安倍首相に会う。財務省の次官、主計局長や主税局長は首相に会うのはめずらしくない。しかし理財局長や官房長が官邸に来るのは珍しい。理財局長は国有財産の管理など、また官房長は省内の人事などが主務だから政策とは関係ない。官邸に呼び出されたものと考えられる。

 翌4日、大阪の近畿財務局9階会議室で打ち合わせが行われた。出席したのは財務局の池田統括審議官、それに土地所有者の大阪航空局管理官と森友学園の「瑞穂の国小学校」の設計した会社の社長と校舎建設にあたる建設会社の所長ら。

 この日、安倍首相は近畿財務局からほど近いよみうりテレビに出演していた。国会審議を脱けだしての大阪入りである、そしてこの日、森友学園に補助金6200万円が決まった。翌5日、大阪で安倍昭恵夫人が瑞穂の国小学校の名誉校長就任の挨拶をした。

 上に記したことは何かつながりがあるように思われるかもしれないが、すべて「偶然」である。こうやって並べたてることは、安倍首相に言わせれば「すべて印象操作で私と妻の名誉を傷つける」ことになるのである。「名誉校長に安倍昭恵と書いてあるからといって、だれがははーっ恐れ入りましたなどとなるものか」と首相。名門の御曹司の安倍首相、下々の心理はわからぬらしい。だれもがははーっとなるのである。特にお役人さんは。それをねらっての名誉校長への依頼だということに気がつかないほうがおかしい。

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