見出し画像

VOICE for FUTABA オンライントークイベント《レポート》 前編

2シーズン目の全4回のトークセッションを終えたVOICE for FUTABA。1年間の活動の締めくくりとして、2023年1月22日にオンラインでのトークイベントを開催しました。 2022年度のトークセッションに登場いただいた方々にご参加いただき、それぞれの想いを改めてお話しいただきました。また、双葉町でUR都市機構が開催した「ちいさな一歩プロジェクト」の会場でもトークイベントの模様をライブ中継。多くの町民にも観覧いただきました。

[参加メンバー]
・キャンドル・ジュン
アーティスト/フィールドデザイン/ディレクター。1994年、キャンドル制作を始める。
「灯す場所」にこだわりさまざまなフィールドで空間演出を行い、キャンドルデコレーションというジャンルを確立。2001年、原爆の残り火とされる「平和の火」を広島で灯してからは「Candle Odyssey」と称し、悲しみの地を巡る旅を続ける。2011年、東日本大震災を受けて「一般社団法人LOVE FOR NIPPON」を発足し支援活動を始める。月命日の11日には、毎月福島各地でキャンドルナイトを行い、3月11日には「SONG OF THE EARTH 311 FUKUSHIMA」を開催。

・山根 辰洋(福島県双葉町議会議員/一社双葉郡地域観光研究協会 代表理事)
原子力被災地での平和産業(観光業)創出を通じた地域再生を目標に日夜奮闘中。

・小林 雅幸
任意団体Rurio(ルリヲ)代表。東北大学工学部機械知能・航空工学科に在学中。双葉町を「人類最後のフロンティア」と考え、バイリンガル体験型ツアー「PaletteCamp」やバイリンガル雑誌「iro」を発案。なお、東北大学スタートアップ事業化センターと提携し、大学に登記しての起業が決定。

・Trishit Banerjee(トリシット・バナジー)
任意団体Rurio(ルリヲ)副代表。東北大学大学院理学研究科博士課程に在学中。PaletteCampの共同発案者であり、Rurioの運営全般の業務に携わることで双葉町に関わる。

・Swastika Harsh Jajoo(スワスティカ・ハルシュ・ジャジュ)
任意団体Rurio(ルリヲ)に参加。東北大学大学院国際文化研究科博士過程に在学中。PaletteCampの共同発案者であり、Rurioの運営全般の業務に携わることで双葉町に関わる。

・川上 友聖
立命館大学産業社会学部に在学中。「双葉まるごと文化祭」プロジェクトの共同代表を務める。

・小泉 良空
双葉町でまちづくりを進める一般社団法人「ふたばプロジェクト」の若手メンバー。双葉町の隣町である大熊町出身。

・加藤 奈緒
双葉町でまちづくりを進める一般社団法人「ふたばプロジェクト」の若手メンバー。双葉町出身。

・髙崎 丈(ファシリテーター/KIBITAKI代表)
双葉町出身。元「JOE’S MAN 2号・キッチンたかさき」のオーナーで、2022年に「髙崎のおかん」をオープン。日本酒のお燗を広める活動を展開中。株式会社タカサキ喜画を双葉町に設立、その中でKIBITAKI プロジェクトを立ち上げて双葉町の再出発におけるさまざまな活動を企画・プロデュースしている。

・五木田 隼人/町井 智彦
UR都市機構 東北震災復興支援本部 福島復興支援部 地域再生課
原子力被災地での持続的なまちづくりに向けて、関係人口の拡大や誘導による地域再生に取り組む。町内外のさまざまな人が関われるコトづくりを目指し、多様な主体との協働・連携を進めている。

・島野 賢哉
株式会社サムライジンガ 代表取締役/プロデューサー
ブラジル、台湾における芸術文化を中心としたプロジェクトに携わる。クリエイティブサウンドスペース『ZIRIGUIDUM(ジリギドゥン)』創設者。髙崎とともにKIBITAKI プロジェクトに参画し、さまざまな事業推進に携わっている。

今後の双葉町との関わり方について

髙崎 今日はご参加いただきありがとうございます。今年度もみなさんとトークセッションを開催でき、いろいろと有意義なお話をお聞きできました。そのおかげで、昨年度よりもさらにプロジェクトを前進させられたと感じています。

島野 まずは、トークセッションにご参加いただいた後のみなさんの活動や、今後の取り組みの予定についてお聞きしたいと思います。

小林(Rurio) 「双葉町ダルマ市」にブースを出展して、双葉町の町民をはじめとしたさまざまな方々とお話しできました。町民の方々の気持ちも伝わってきて、双葉町は温かい人柄の住民が暮らしていた町だったことを再認識しました。今後については、そうした双葉町の住民や文化についての情報を世界に発信していきたいと思っています。マスメディアは“復興”という視点からの報道が多く、町の文化や歴史、人々の露出が少ないように思うので、私たちRurioはそのような報道されていない双葉町の魅力について伝え、「双葉ブランド」を創っていくことを目標にしています。そして、地域の正しい姿や魅力が伝わっていないという問題は双葉町に限らず世界共通だと思うので、私たちは双葉町を中心に活動しながらも、世界中のさまざまな地域の課題を解決していきたいという目標もあります。

トリシット(Rurio) 私はインド出身ですが、小林くんが言っていたようにまちづくりの課題はどこの国にもあるものだと思います。ゼロから再スタートを切る双葉町のまちづくりは、世界各地の地域振興に影響を与えられるはず。双葉町は世界中の自治体とつながることができると考えています。

川上(まるごと文化祭) Rurioと同様に、僕たちも「双葉町ダルマ市」に出展し、地元の方々の想いを聞くことができました。こうして住民の方々の声を聞く活動をこれからも重視したいと思っていて、僕は「双葉まるごと文化祭」プロジェクトのメンバーと一緒に、双葉町に滞在する機会をつくろうと思っています。そして、双葉町に戻ってきた住民の方々の声をじっくり聞きたいです。現在取り組んでいる就職活動が一区切りついたら実行に移したいと考えています。また、Rurioとはお互いの強みを活かし、協力しながら活動していけたらいいですね。

小泉(ふたばプロジェクト) 私は、双葉町に観光に来た方に充実した一日を過ごしてもらえるようになるといいなと思っています。具体的な計画があるわけではないのですが、観光地を訪れたり、なにかを体験したりすることで、新しい刺激を受けられる町にしていきたいです。双葉町は、震災や原発に関する「学びの町」とだけ思われがちなので、そこを少しでも変えていければと。

島野 山根さんは以前のトークセッションで、復興には「喪失したものを取り戻す復興」と「新しいものを創出する復興」の2つがあるとおっしゃっていました。今後、その2つをどのように融合させていこうと考えていらっしゃいますか?

山根(町議会議員) 観光で双葉町を盛り上げていこうと思い、私は2019年に会社を設立しました。どうして観光事業を選んだかというと、双葉町の個性を残さなければ外から来る人にとって魅力的な町になりませんよね。双葉町固有の文化などの地域の資源を再定義することを観光業でやりたいと考えていて、それによって2つの復興の融合が可能になると思っています。私は今、神社の氏子青年会みたいな組織に所属させてもらっていて、お祭りを新しい形で再び開催しませんかと提案しています。もともとあった文化を踏襲しながら、新しいものを創出する。そのように、喪失した昔の双葉町を再生するには、部分的には以前の双葉町になかったものを創造していく必要があるはずです。

髙崎 みなさんの話を聞いて、ジュンさんはどう思われますか?

キャンドル・ジュン Rurioさんが制作している雑誌を私も読みました。社会課題を克服する糸口が双葉町にあるのではと考えている点などは、私の考えとも近いのかなと感じました。そして、双葉町への想いがあるのは、本当に全員に共通していますよね。3月11日に開催するLOVE FOR NIPPONのシンポジウムにもぜひみなさんに参加してほしいです。

ただ、私がまちおこしのためのイベントなどに数多く携わってきたなかで感じるのは、理想と現実は異なり、その間には大きな壁があるということ。みなさんが双葉町の魅力や個性と思っていることも、外の人から見たら「他の地域と大きな差がない」と見られてしまうものです。そうしたときに、双葉町の最大の特徴はなにかと言えば、原発があった町であり、帰町が一番遅れている町であるということ。双葉町=原発のイメージがつくられていることが、むしろこれから双葉町のまちづくりを行っていくうえで強みになると思います。

「双葉町ダルマ市」の様子。震災前から続く伝統的なお祭りに多くの町民が訪れた。

双葉町の復興へ向けて課題に感じること

キャンドル・ジュン まちづくりの活動も収益事業にしていくことが不可欠だと思っています。収益化できないと継続していくことができません。また、大学生がいろんな地域でまちづくりの活動をしてくれていますが、熱量を持った大学生が卒業してしまうと、その団体の精神性みたいなものが失われていくのを何度も見てきました。なので、双葉町のまちづくりを進めていくうえでも、継続性が非常に大切になってくると思います。

小林(Rurio) 学生が団体を立ち上げても継続性に問題があるというジュンさんのご指摘は、まさにそのとおりだと思います。福島における活動でもそれを感じていて、補助金を使ってイベントを開催しても、その後になにも続かないケースがたくさんあります。僕たちRurioは、その補助金ありきになっている現状を変えていきたいと思っています。そして、それを解決できる場所が双葉町だと思っています。Rurioの雑誌も今は補助金で制作していますが、企業とのスポンサー契約などによって資金を調達し、持続可能な体制をつくっていきたいですね。

髙崎 どの地方にも素晴らしいプレーヤーはいるけど、それを縦割りの組織である自治体では上手くフォローできないのが問題だと僕は思っています。双葉町のまちづくりにおいては町とうまく連携し、ボトムアップの熱量が続く体制をつくりたいと思っていて、そのために必要なのは実績づくり。まずは民間で実績をつくれば、自治体がそれをサポートしてくれるはずです。だから、今年は実績をつくりたいと考えていますが、ひとりでつくるのは難しいので、みなさんと一緒につくっていきたいです。

島野 川上さんは先程、就職活動中と言っていましたが、就職後は双葉町での活動はどうする予定なのでしょうか?

川上(まるごと文化祭) 就職してもずっと双葉町と関わり続けたいと思っています。就職活動も、テレワークと副業を認めてくれる企業から就職先を探していて、いくつかすでに内定をいただけました。なので、卒業後は就職先の仕事と双葉町のまちづくりの両方に携わっていきたいと思います。

山根(町議会議員) 継続性を実現するには、川上くんの方法がひとつの「解」ではありますよね。私の会社も、メンバーの住む場所や働く時間に縛りを設けていません。さまざまな地域に居住しながら、双葉町での仕事に携わってもらえる体制をつくっています。

島野 トリシットさんとスワスティカさんは、卒業後はどうされますか? インドに帰国されるのでしょうか?

トリシット(Rurio) 私は今、博士課程の2年なので、来年卒業予定です。卒業後も双葉町に関わっていきたいので、帰国する予定はありません。もし帰国しなければならなくなったとしても、双葉町とはつながっていたいですね。インドのどこかのまちでコミュニティをつくり、それを双葉町とつなげていきたいです。

スワスティカ(Rurio) 私はインドに戻ったら、小学校や中学校で双葉町のまちおこしやコミュニティづくりについて紹介したいと思っています。双葉町のことを子どもたちに知ってもらいたいですね。


後編に続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?