Mr.ウィークエンダー

 ざこば師匠がお亡くなりになったというのは、北海道生まれで長らく関東圏でしか過ごした事の無い私でもかなりショックな事でありましてね。
 
 まぁ、関西の落語事情に疎いものですから、ざこば師匠になられてから相当な年月が経っているのは知りながら、どうしても桂朝丸さんの記憶が蘇って来るんです。

 そんな生まれ育ちなものですから、どうしても土曜日夜遅くにやっていた『ウィークエンダー』の殆どの回で事件レポートのトップバッターを務めていた“朝丸さん”の記憶が鮮明でありましてね。
 当時私が抱いた朝丸さんの印象は、

頭の中に言葉や言いたいことが満タンにあるのだけど、それがスムーズに口から出せないことを自分自身が一番苛立っている人

でありました。
 頭の中で湧き出た言葉は口中まで降りて来て溢れてはいるのだけど、何につかえているのか不明ながら歯より先にはチョロチョロとしか出て行かない。
 そんな情況を誰よりも不満に思い「何しとんねん!」とイライラしていたのが朝丸さん本人。
 それを体現するように、いつも怒り口調の早口で、身体を小刻みに震わせながら事件レポートをしていた。その姿を今も鮮明に思い浮かべる事が出来ます。

 この『ウィークエンダー』は大ヒットとなり、事件を取材した原稿を取りまとめ、現場の状況や関係者の顔写真をフリップにしてスタジオで面白可笑しく説明するという形式の類似番組は他局どころか同じ日本テレビの全く違う時間帯の“主婦向け朝ワイド”でもバクリ企画がレギュラー化する事態となります。
 それら全ての番組のトップバッターを朝丸さんが務めていたのも驚きましたけれど。
 その意味では、確かに番組を束ねていたのは司会の加藤芳朗さんでしたけれど類似番組を含めて全てでトップバッターを務めた朝丸さんこそがMr.ウィークエンダーの称号に相応しいと思いますがね。

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