時価と明朗会計

 お寿司屋さんでも高級店になりますとお品書きに『時価』なんて書いてありましてね。ハードルが高くなる訳ですが。

 そんなお寿司屋さん界隈で所謂“おまかせ”を従来の時価から金額を明示する定価に変更するお店が増えているんだそうですな。

 これはまぁ、お店に足を運ぶ世代が様変わりして、40代以下の多くが、

 鮨屋デビューは回転寿司

てある事と、所謂不景気によって自由に使えるお金というのが減少してしまい、手持ちのお金で足りるかどうかが判断し難い時価が敬遠されている表れであろうかと思いますけどね。

 バブル崩壊までは高級鮨屋さんに部下なり後輩なり、或いは行き付けのホステスさんなんかを引き連れて「何でも好きなもの頼んでいいぞ!」とか、いかにも慣れた通ぶって「板さん、オススメで!」なんて言うのが一つのステータスだったりしたんですが、今やパワハラ・アルハラ・セクハラの時代ですから誘い難い時代ですし、お店入って席に座った途端にスマホをガン見された日には誘って大枚はたく甲斐もあったもんじゃありませんしね。

 お寿司屋さんに限らずどんな食べ物屋さんの高級店でも「これは100g○○円の肉です」なんて価格を明示した上で有り難がる時代ですし、もしくは価格以外の素材の等級であるとか希少性に価値を見出す時代です。
 また、高級店のプライドを振りかざして「一見(いちげん)さんお断り!」なんてやってると客層がどんどん先細りしてしまいますから、創業者の頃は良くても2代目、3代目と続くうちに……となるのは自明ですわな。

 まぁ、私みたいにエエ歳して時価のお店に行った事が無く、好きなスシネタはタマゴとイクラ、それにハマチなんて人間は予め予算総額の目処が立つ明朗会計店の方が有り難いですし、食べ物屋さんで自分のステータスをひけらかそうなんて思いもせず、むしろそれって下品なんじゃないか?とすら思ってしまうんですけどね。

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