福袋の中身
皆さんは福袋、買われましたでしょうか?
最近の福袋はどれも予め中身が公開されている物が殆どで「損した」「得した」で一喜一憂する事は無いんだと思いますが、福袋とは本来『一年最初の運試しを空クジ無しで』という意味合いで売り出されたものであります。
私が子供の頃の福袋は家に持ち帰って開封するまで何が入っているか分からない物で、まぁそれにカコつけて在庫処分しちまおうという不届きなお店も多かったんですがね。
だいたい一袋に10品入っているとすると、2~3品が目玉商品とも言える高価な物でそれ以外は在庫処分…でもこれはまだマシな方のお店で、悪質な店になると目玉商品が1品有るか無いか。
ある年、母が商店街の洋品店から福袋を珍しく購入しましてね。
何故“珍しく”かと言うと、ウチの家族は全員揃って『クジ運』というものがありません。お年玉クジ付き年賀状ですら切手シートより良い物が当たった試しが無い!
ですから父と私は「またそんな無駄な買い物してからに」と冷ややかな目で見ていたんですがね。
母は袋の中身を一つづつ取り出しては「品」の字に分類していきます。
左手側が『当たり(=得した)』、右手側が『まあまあ』、そして遠くの一山が「ゴミ、掴まされたわい!」のコーナー。
まぁ、案の定左手側のコーナーには何も無く、右手側にはウチでは不要でも赤ちゃんや年寄りの居る親類や知り合いに譲ったらエエやん的な物がそれなりに、そして遠い方には“ゴミの山”が着々と嵩を増して行っております。
そしてアッという間に最後の一品。
母が重々しく取り出しましたのは木彫りの熊!
それも二頭の熊が立ち上がり「ガオーッ」言うて取っ組み合いを始める寸前の場面で、足許の空間には御丁寧にアナログ時計型の温度計が付いているやつ。
どっからど~見ても洋品店のオヤジが自分チの不用品を袋の中にしのばせたに違いないんですよ!嵩と重さは稼げますからね。
ま、登別の熊牧場のお土産品コーナーならそれなりの値段が付いている逸品、ではあります。
それをしばし熟考しながら見つめた母がゆっくりと左手側に。
…………母よ、どんだけ負けず嫌いやねん!?
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