メンタルモンスター
【陽のモンスター】
言わずと知れた【大谷翔平】選手の事ですがね。
勿論現在進行形で、それもメジャーリーグで打ち立てられ続けている記録が凄いのは言わずもがな、ではありますがそれよりも私が驚愕しますのは彼のメンタリティーであります。
過去の日本人、すなわちNPBでは新記録ですとか節目の記録なんかがかかりました選手は例外無く《足踏み》という名の一過性スランプに陥ったものです。
具体例を挙げますなら王選手の日本人としては前人未踏の節目700号、ベーブルースに列ぶ714号、それまでの世界記録ハンク・アーロンに列ぶ755号のホームラン。
他の選手で言えば名球会入会基準である、打者なら2000本安打・投手なら200勝を目前にした時。
本人の『到達したい』という想いと周囲からの期待と注目度が強すぎて、その重圧から自らが無意識に作り出してしまった【呪縛】に縛られてしまうんですな。
でもこれは日本の国民性なのでしょう。一昔前までのオリンピックでも、それまでの実績や直前までの充実ぶりからして金メダルは間違いないとされていた選手が《本番》では緊張と『失敗した(負けた)らどうしよう』というマイナス思考に陥ったのとで惨敗する、を何度も繰り返してましたし。
典型的な例が1964年の東京五輪のマラソンで金メダルを期待されたものの銅メダルに終わった選手が『日本中の期待を裏切ってしまった』事を苦に自ら……
しかし、メジャーリーグでも前人未踏の大記録『50(本塁打)ー50(盗塁)』を野球を知る全ての人から期待される中で大谷選手は、
リーチ(49号)一発ツモ(50号)ドラドラバンバン(51号)
をアッサリとやってのけた。
直前の48号から4試合ホームランが出なかったとは言え4試合程度はスランプの内に入りませんし、その間も盗塁はコンスタントにしてましたからね。
しかも、これまでの日本人選手なら記録達成直後は気が抜けるというか安堵感からか、調子を落とすケースも多々ありましたが、彼は次の試合ですぐに52号を打ってますしね。
まぁ、恐るべき【メンタルモンスター】ですよ。
無理矢理推理しますに、今の彼の最大の目標があくまでも『チームを頂点に持っていく』事であって個人記録にはそれほど重きを置いていないのではありますまいか?
もしくは、むしろ今年は《二刀流》ではないのだから「行けるとこまで行ったれいッ!」の精神で、それこそ『打者専念の自分が本気出したらどこまで行けるのか』を自分自身が知りたくてワクワクしている最中なのかもしれません。
これまでは自分なりに、投手との兼ね合いで自重していたりもしていた部分があったのかもしれませんしね。
まぁ、《リミッターを外した》彼が最終的にどんな数字を残すのか、を楽しませて貰おうじゃありませんか!
【陰のメンタルモンスター】
ま、兵庫県知事のサイトーさんでありますけど。
これもまた無理矢理推理しますに、彼は学生時代から霞ヶ関の役人、そして大阪府職員時代までを通じて【他人に勝つ】事だけを追求し、それを完遂し続けて来た人なのではありますまいか?
彼に付き纏うキーワードは『優秀な人』であります。
能力と成績こそが正義で、他人の事などどうでもいい、と。
大阪府職員時代は仕えていた松井、吉村両歴代知事にかわいがられていたと聞きますが、それとて彼にとっては他の職員より抜きん出る為の手段であって、決して両氏を敬う心の発露からでは無かったし、何なら知事選挙を年頭に関西圏で強固な地盤を誇る《維新の会》の支持を取付ける『手段』に過ぎなかったのかもしれません。
しかし、学歴至上主義であり能力至上主義の権化と化した彼は兵庫県知事という『一国一城の主』に上り詰めた途端に【とんだ裸の王様】へと転落します。
信頼し支えてくれる部下は居ない。能力さえあれば、頂点たる地位に上り詰めさえすれば何をしても許されると信じ切っていた彼の人生観は『とてつもない誤解』を生んだのです。
自分の能力さえ高ければ何でも出来る。そんな自分に部下達は盲信的に従うのは当然で、常に自分に気に入られるよう顔色を窺って生きていればいいんだ!
……それは典型的な【独裁者】の発想です。
彼はおそらく、今後も自戒や反省とは無縁な人生を歩むのでしょう。
『他人の事など糞食らえ』で邁進してきたこれまでの半生を反省する事は、それこそ完全なる自己否定になるからです。
世界的に見ても最近の世の中は独裁者が生まれにくく栄えにくかったのですが、歴史は繰り返すとも言います。
例えば、片寄った価値観に凝り固まったトランプ氏が再度アメリカ大統領に就くような事があれば、彼が前回大統領であった時にした事を思うと、形を変えた《ネオ独裁者》になりかねません。
そして長らく能力主義・学歴至上主義で来ていた我が日本とて、成績や能力こそが正義とする『個人至上主義者』を生んでしまっている……サイトーさんこそが具体例であり、その証拠と言えますな……以上、《日本版ネオ独裁者》が政治・行政の実権を握る懸念がより具体的に差し迫って来ていると考えるべきなのかもしれません。
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