スタッフ3人の出会い。
そもそも、「ここのね自由な学校」の3人って何者?3人は、どうやって出会ったの?ここでは、チラシを配っているときに何度も聞かれた質問について書いていきたい。
半年前まで「ほぼ他人」だった。
「え?他人?前々からの知り合いじゃないの?」と驚く人もいる。私(ななえ)とこうちゃんは、この二年間で2回くらい会ったことがあるくらいの関係だった。豊後大野市の地域おこし協力隊として東京から移住し、ゲストハウスLAMPで働いていた、こうちゃん。二年前のクリスマス会に家族で参加した私。そこでこうちゃんが私の当時4歳の息子と全力でたくさん遊んでくれて、「子どもが好きな優しいお兄ちゃんだなぁ~」という印象だった。それから会うことはほとんどなかったが、facebookやInstagramではつながっていた。
一年前、突然こうちゃんのInstagramに可愛い女の子発見!どうやら彼女らしい。岡山との遠距離恋愛。その彼女がももちゃんだった。それまで、こうちゃんの投稿にコメントしたことがない私(笑)だったが、ももちゃんが出てくるたびに「ももちゃん可愛い♡会ってみたい♡」とコメントしていた。そしたら、「森の幼稚園のことに興味がある子なので、ななえさんと気が合うかもしれないですね。」とこうちゃん。「そっか~いつか会えたらいいな♪」そんな感じでやりとりは終わっていた。
おひさまのたまご土曜部
今年の二月。こうちゃんがFacebookで突然「地域おこし協力隊を辞めて、新たな道に進みます」と発表した。そのとき、私は密かに学校を辞めることを決意していた。「こうちゃんも新しいことに挑戦するんだな。何をするんだろう?」と思い、同じように新たな道に進もうとしている存在に心強くもなった。
ちょうどそのころ、「おひさまのたまご土曜部のスタッフになってくれない?」と声がかかっていた。「おひさまのたまご土曜部」とは、私の息子が通っている「おひさまのたまご」幼稚園の卒園生が、月に一度土曜日に集まって自然体験活動をしている自主サークルである。大人がつくったルールは何もない。子どもが「やりたい」と思ったことを子どもたちどうしで話し合って決めるスタイルは、自分がつくりたい学校のモデルでもあり、とても興味があった。「3月末に次年度にむけての保護者会をするから、それに参加してね。」という言われて、ドキドキわくわくしながら保護者会に参加した。するとそこになぜか、こうちゃんとももちゃんが座っていたのだった。
「学校を創りたいと思っています。何かお手伝いができることがあればと思って来ました。」と、こうちゃん。「えええ!!!」と内心ドキドキの私。久しぶりに会ったこうちゃんと、Instagramでしか見てなかったももちゃん。ももちゃんは、こうちゃんの「学校を創りたい」という夢に賛同し、一緒に活動したいと岡山県から移住してきたばかりだった。保護者会では、私も学校を創りたいと思っていることをみなさんに伝え、これから土曜部で学ばせてもらいたいという意思を伝えた。保護者会が終わって、3人で集まり、「一度ゆっくりお互いの話を聞きたいよね」と、後日集まることになった。
「ゲッチュゥ~♡」
初めて3人でうちに集まった。幼稚園がお休みだった2人のわが子も一緒だった。「学校を創りたい」という共通の目的をもつ3人。まずは、お互いにどんな学校を創りたいのか、考えを交流し合った。すると、3人の考え方の中でたくさんの共通点があった。「子どもたちがやりたいことをとことんできる場にしたい」、「子どもと大人が対等な立場で関われる場にしたい」、「色んな価値観をもつ大人との関わりがもてる場にしたい」などなど、「子どもはそのままで天才!」という子ども観や「大人が子どもの育ちを邪魔しない」という教育観がぴったりと合ったのだった。これは、今となればあたり前のような感じもするが、私にとってはすごいことだった。こんなに価値観の合う人と会えたこと、しかも同じように「学校を創りたい」と行動しているときに3人が会えたことは、奇跡だと思った。
ひとしきり話した後、近くのピザ屋さんにみんなで歩いて行った。ピザを注文し、待っているとき、ふいにうちの息子が小さな声で「ゲッチュゥ~♡」とつぶやいた。そこですかさず、「それ、クレヨンしんちゃんの『ヤキニクロード』じゃない?」と冷静につっこむ、ももちゃん(笑)最近息子がハマっていたクレヨンしんちゃんの映画のセリフ一言で、映画の名前まで当てるももちゃん、何者!と驚く私(笑)「私もクレヨンしんちゃんの映画大好きなんよ~。おもしろいよなぁ。歩人(息子)、今度一緒に観ようや!!」とももちゃん。それからは、クレヨンしんちゃんの映画の名場面集で爆笑の連続の5人だった。
一人の人間として関わる。
こうちゃん、ももちゃんが子どもたちと関わっているとき、気づかされることがある。それは、無意識に自分が子どもたちを「子ども扱いしている」ということだった。「ゲッチュゥ~♡」のときも、その他のときも、2人はうちの息子たちと関わるときに「大人が子どもと遊んであげてる」という感覚が全くないのだ。もうほんとに心から楽しんでいる。そして、逆に子どもから嫌なことをされたときは、真顔で「歩人、こうちゃんそれは嫌だな。やめてほしい。こういうときは、こうしたらどう?」と同じ目線で話していた。ついつい、わが子がダメなことをしたら頭ごなしに叱ってしまったり、ちゃんと説明もしないで「ダメだからダメなの」と強制したりしてしまう私。二人の子どもたちとの関わりを見ていると、「子どもだから大人が注意すべき」とか「子どもたちが楽しいことを大人が用意してあげる」とか、そういう上から目線は全くなく、対等な一人の人間として関わる姿に、私自身学ぶことが多かった。
一緒に学校を創ろう!
その日1日で意気投合した私たちは、さっそく「おひさまのたまご土曜部」の活動を今年度どのように運営していくか考えた。今までは、月に一度学び舎に集まって、自然体験活動をしていた子どもたち。今年はスタッフも増えたことだし、月に2回にしたらどうか。そして、今までドネーション制だった会費もきちんと値段を決めて活動費を確保して、その予算の中から子どもたちがやりたいことを話し合って決めるスタイルにしたらどうか…。3人で色々考えた。そして、保護者会で提案したり、実際に子どもたちが活動する中で取り入れようとしたりした。
しかし、4月から5月までの3回の活動の中で、徐々に「おひさまのたまご土曜部」の中で子どもたちが求めている「久しぶりに会った幼稚園の友だちと思いきり遊びたい」という想いと、私たち3人が求めている「できれば、平日開校にして、学び場としての選択肢にしたい」という想いのずれを感じ始めた。「このままでは、自分たちのやりたいことを押し付けてしまうのではないか」そう考えた私たちは、「おひさまのたまご土曜部」の方たちに申し訳ないと思いつつも、きちんと3人の想いを説明し、土曜部を離れることを決意した。
「ここのね」が生まれた。
3人でゼロからのスタートになった。夜、こうちゃんももちゃんちに集まり、学校の名前を考えることにした。お互いに大事にしたいことのイメージを言葉にして挙げてみた。「木の根っこ」「はだかんぼう」…いろいろな言葉が出てきたが、これと言ってピンとくる言葉がない。だけど、話の中で「自分を見つめること」「自分の気持ちを大切にすること」がキーワードとして出ていた。そこでももちゃんが「私、”ここ”っていう言葉が好きなんだよね。響きがやわらかいし、自分という意味もあって。」「ここ、かぁ~。いいね、ちょっと調べてみよう」と、ネットで調べるこうちゃん。すると、全国に「フリースクールここ」や「NPO法人ここ」があり、泣く泣く断念。やはり、どこにもない名前がいい。「うーーーーーん。。。」と黙り込む3人。長い沈黙。寝転んで考えるななもも。パソコンの前で固まっているこうじ。長い長い沈黙のあと、フッと何かが降りてきた。
「あっ…」と小さく私。
こうちゃん「なんですか!?」
私「いやー、うーん。」
こうちゃん「とりあえず言いましょ!!」
私「……ここのね?」
2人「ここのね!?」
「なんか、いい!!響きもやわらかいし、覚えやすい!✨」ネットで調べても全くヒットせず、オリジナリティもある。3人で大喜びして、「ここのね」に決まった。
このあと、「ここのね自然学校」か「ここのね自由な学校」かで議論が始まるのだが、長くなるので、また次回(笑)
「ここのね自由な学校」3人の出会いと名前が生まれたときのエピソードでした♡
ここのね自由な学校は日本の法律上、公的な支援が受けられません。それは回り回って子どもたちの経済負担に重くのしかかっています。ここのねを「誰でも通える学校」にするため、ご支援をよろしくお願いいたします!ご支援いただいたお金は、給付型奨学金や施設設備の充実等に利用させていただきます!