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対象年齢について。

「ここのねの対象年齢を18歳までにしたい」

学校の対象年齢を決めることは、とても重要なこと。だから、私たちは4月からそのことについて話し合ってきた。対象年齢は、オルタナティブスクールによって様々だ。幼稚園から始まって、小学校を作ったという学校もあれば、小学校をつくって、今中学校を作るか幼稚園をつくるか迷っているという学校もあれば、はじめから4歳から18歳までを対象(主にサドベリースクールなど)として開校する学校もある。どの対象年齢に対する考え方も様々だ。

ここのねは、何歳から何歳までにしようか。小学校と中学校で働いたことがある経験から、対象年齢は6歳から15歳までが良いなと考えていた私(ななえ)。スタッフのこうちゃんももちゃんも日本の義務教育が6歳からということもあり、6歳からという案には賛成だった。今の不登校の現状を考えると、中学生が一番多い。その現状を考えると、中学生まで対象年齢に含めるのは私たちの中で自然なことだった。

高校生を対象年齢に入れるかというところで、私には迷いがあった。当時私たちが考えていた学校の場所は、豊後大野市緒方町の結構な山奥の公民館だった。高校生という年齢を考えた時に、自分で交通機関を使って移動できること、バイトができること、様々な公共機関を自分で使えることが年齢のイメージとしてあり、その年齢の子たちがここのねに来るということは、その子たちの選択肢を狭めてしまうのではないか?と考えた。そして、高校生の勉強を教えられる自信が全くなかった。「まずは、小中学生。そして、ニーズがあれば、応相談で高校生も受け入れていこう」という私の意見に二人も賛同してくれた。それが今年の春のことだった。

夏がきた。私たちは、「イタチプロジェクト」を立ち上げ、チラシを作り、色んな所にここのねのことを知ってもらおうと話をしに行った。そのなかで、大分県の不登校親の会「星の会」のある支部に参加したときのこと。そこにいる10名ほどのお母さん、お父さんたちは、全員高校生の子どもをもつ親だった。わが子が不登校になったときからのエピソードを聞くと、そのほとんどが中学生の時がきっかけだった。そのあと受験を何とか乗り切ったものの、高校になって学校に行けずに不登校になったり、中退したり、家から出られなくなったりしていることがわかった。「勉強がとにかく嫌い」「人と会うのが怖い」…高校生が苦しんでいる現実を目の当たりにした。そこで私は、微力ながらここのねの場を創っていること、そして対象年齢は15歳だけれど、高校生は応相談でしていることなど、説明をさせてもらった。だけど、やはり15歳と書かれているチラシの壁を私自身が感じていた。

もう一つ、きっかけがあった。他県に住んでいる友だちの息子が高校生の夏休みを利用して、一ヶ月間竹田の方に一人で遊びに来ていた。その子にはじめて会ったとき、なんとなく表情も暗く、携帯の音楽を一人イヤホンで聞いている様子から、あまり人と関わるのが好きではないのかな?という印象だった。でも、それから竹田の町で色んな大人に会って話したり、豊かな自然の中で思い切り川遊びをしたり、バーベキューをしたりして遊んでいく中で、その子はどんどん表情が明るくなり、笑うことも多くなり、生き生きしていった。たった1カ月だったけれど、彼の変化は数回しか会っていない私の目にも色鮮やかにうつった。

田舎は確かに高校生にとって不便なところもあるだろう。でも、それ以上にここにある自然やそこにいる大人の価値観、生き方のモデルがその子に与える影響は、思っている以上に大きいのかもしれない。その子を見ていて、そう感じた。後日談になるが、その子は高校を卒業したら、こちらの方に移住したいと考えているそうだ。たった1カ月。その子にとっては人生の進路を左右するくらいの影響があったのだと思うと、子どもたちをとりまく環境の大切さを改めて考えさせられた。

私がこの夏に考えたことをこうちゃんももちゃんに話すと、大賛成してくれた。もともとは二人とも対象年齢を18歳までにしたいと考えていたのだ。春のときの私の気持ちを尊重してくれたこと、そして、今回の対象年齢を変えたいという想いにも快く賛同してくれたことが嬉しかった。

15→18。

対象年齢を決めてから、さっそく三人で今、手元にあるチラシの年齢を書き替えた。残り400枚ほどだった。今、できるだけ訂正してまわっているが、今まで配ったチラシに15歳までと書いてあるものもあるかもしれない。できるときにチラシを置かせてもらった場所に行って、訂正していきたいと思っている。

ここのね自由な学校は日本の法律上、公的な支援が受けられません。それは回り回って子どもたちの経済負担に重くのしかかっています。ここのねを「誰でも通える学校」にするため、ご支援をよろしくお願いいたします!ご支援いただいたお金は、給付型奨学金や施設設備の充実等に利用させていただきます!