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開かない踏切と、拾う人たち

 画像は、僕の能力不足によって生まれたフードロス。

 散歩をしていると、駅前に救急車が止まっていた。電車内で具合が悪くなった人でもいたのかな、と思って通り過ぎた。そもそも、どうして散歩をしたかというとぉ、うるせぇ! 散歩をするのに理由なんてありません! ただ、生活リズムを直すために、少し疲れておく必要があったのです、これを書いている今はめちゃ眠いです。えと、要するに時間つぶしですね、ゲーセンにでも寄る予定でした。
 そんな僕が、帰り道に機嫌が良かったのは、音ゲーの調子が良かったからでした。これはあまり言いたくなかったですが……(音ゲーをしているのは恥ずかしい事なので)。1時間ほど遊びましたが、駅前には、いまだに救急車が止まっていました。救急車が動いていないという事態には、いくつか理由があります。大量に止まったパトカーから察するに、まだ病人怪我人が運ばれていないということなのでしょう。駅構内には人だかりが出来ていました。
 交番の横には、昨日の都内での交通事故による負傷者数は85人だと書かれていました。僕はその内の一つも知りません、どこか知らない所で起こった関係のないことです。
 マクドナルドに寄ってシェイクを買い、帰路を辿っていると、開く気配のない踏切に行く先を阻まれました。目の前には停止した電車、踏切前に溜まった車の台数から、事態が長引いていることを読み取れました。
 僕みたいな害人間は、存在する代わりに世の役に立つ必要があります。ひとまず、溜まった車を何とかするべきでしょう。駅前まで戻って、手の空いていそうな警察の人に話しかけます。

「こんにちは、あちらの踏切がなかなか開かないのですが、何かあったんですか?」
「アッハイ、駅で人身事故があって……」
「そうなんですね、踏切、あとどれくらいで開くとか分かりますか? 車が溜まっているので、暫く開かないのであれば、その旨を伝えようと思うのですが」
「そうですね、拾っ……えー、処理している最中ですので、暫くは開かないでしょうね、すみません」
「そうですか、ありがとうございます」

 まぁ、少しショッキングではあった。明らかに拾っているって言おうとしていたから。え、えぇ~~誤魔化せてませんよ。ニュースで全身を強く打って死亡と書いてあった場合は、バラバラになってしまっていたりグシャグシャになってしまっていたりドロドロになってしまっていたりしているらしいし、電車の人身事故なんてのは殆ど全身を強く打って死亡している。その状態になってしまったのを、どうするって……そりゃぁ、”拾う”なのかもしれないけれど、本当にそんな状態になるんだなぁってのと、警察の方々の中には、慣れてしまった方もいるんだろうなぁ、と思った。目の前で亡くなったわけではないから、それはもう、拾うモノでしかない。

 踏切の前で溜まっている車の人達に、「人身事故があったみたいで、暫く開かないみたいですよ」と伝えて回った。踏切の前に誰もいなくなったら、道路の向こうから車が来たので、その中の人にも伝えた。すると、また車が来たので、その人にも……それを繰り返し続けていた、多分……20分くらい。RPGとかの同じことしか喋らないNPCってこういうことだったのか……ここは、エコダの村だよ! みたいなのも、来訪者が多いから退くに退けなかったんだろうな……キリがないので、一段落したら場を離れた。

 午後五時になると、街中のスピーカーが童謡を鳴らし始めた。兎追いしかの山……目の端……柵越しに見える駅のホームでは、警察官がブルーシートを囲んでいる……最早、青いのは片側だけ、だったり。あくまで僕は無関係だから、ストロベリーシェイクを飲みながら、歩いて帰ることが出来た。

 なんか中身ないな!!!


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