一番印象に残っているオリンピック

世界が熱狂する4年に一度の祭典、それがオリンピックである。各種スポーツを極めた世界中のアスリートが一堂に会し、多くの感動や時に悲劇を生み出す平和の祭典を楽しみにしている人も少なくないだろう。ここ1年は東京オリンピックの開催可否や訪日観客の受入れが常に議論されており、ふと私にとって最も印象に残っているオリンピックのシーンは何だろうかと振り返ることがあった。

私の記憶に残っているオリンピックといえば夏季はシドニー以降で冬季は長野以降となる。つまり、夏季はシドニー、アテネ、北京、ロンドン、リオという5大会をリアルタイムで観ていることとなる。各大会ともに代表的なシーンがあり甲乙つけ難いが、最も印象に残っているオリンピックのシーンは日本が金メダルを獲得したアテネ五輪の体操・男子団体決勝の鉄棒である。

私は器械体操をやっていた訳ではないが、小学生の頃にガンバリスト駿という体操の漫画を読みアニメも観ていたので世間一般の方よりは体操の知識はある方である。全くバク転が出来ないのに「バク転は胸で回る」みたいなことをほざく小学生であった。今思うとかなりウザい。

そんな私はシドニー五輪から体操を見ていたが、アテネは格別であった。優勝候補の中国に失敗が相次ぎ、最後の鉄棒を迎えるまで日本・アメリカ・ルーマニアがかなりの僅差で優勝争いを行うという展開は文字通り手に汗握るものであった。そんな競技を当時高校生の私は夜通し自室のテレビに噛り付いて競技を食い入るように見ていた。今思うとその時が人生で初めての徹夜だったかもしれない。

最後の冨田選手の着地シーンでは「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への懸け橋だ!」というNHKのアナウンサーの名セリフもリアルタイムで聞いていた。優勝が確定した瞬間は喜びのあまりリビングを駆け回り、起きてきた母親へ興奮を伝えたことを今も鮮明に覚えている。

ソチ五輪での浅田真央さんのフリー演技や北京五輪の100m x 4リレーも記憶に残っているが、アテネを超える感動とは出会えていない。今後もオリンピックでは多くの名場面が生まれるだろう。アテネ五輪の体操・男子団体決勝を超える感動に出会えること願って止まない。

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