肺胞気-動脈血酸素分圧較差(総Ⅲ3C9)

いわゆるベタなテーマであるが、なかなか本質がつかめず、記憶に頼らざるを得ないがゆえに、悩ましい。

いまいちど整理してみよう。

まずは理想論から。
肺胞気酸素分圧は、動脈血酸素分圧と理想は等しいよね…
からスタートする。
健康な成人でも多少のずれは許容される(これが、A-aDO₂の基準値が15Torr以下の理由)。

しかし、特定の疾患では、それが開大する。
つまり、肺胞気酸素分圧-動脈血酸素分圧が15Torr以上となってしまう。
これをA-aDO₂の開大としましょう、と。

では、
大気圧=吸気圧(吸入酸素分圧)=肺胞気酸素分圧
であれば、計算が楽なのだが、現実は甘くない。

大気圧=水蒸気圧+吸気圧
=水蒸気圧+(吸入酸素分圧+吸入酸素以外の分圧)
=水蒸気圧+{(ガス交換で使用される酸素分圧+肺胞気酸素分圧)+吸入酸素以外の分圧}

つまり、
肺胞気酸素分圧=(大気圧ー水蒸気圧)×吸入酸素濃度ーガス交換で使用される酸素分圧となる。

ガス交換で使用される酸素分圧は、肺胞内二酸化炭素分圧(動脈血二酸化炭素分圧と等しい)を呼吸商で割ったものである。

最終的に、
肺胞気酸素分圧=(大気圧ー水蒸気圧)×吸入酸素濃度ー動脈血二酸化炭素分圧/呼吸商
となる。

ここまで読んで頂いてたにも関わらす、大変恐縮なのだが、キツネにつままれたような心地になったであろう。
実は、その間隔は正解である。

上記の式は、厳密には正確でなく、あくまでも近似式である。
正確な式は、大変複雑なので、noteでは省略する。

しかし、上記の近似式ですら、通り一遍には理解しがたい分野なので、そもそもこの当たりの出題は、常に合否を分ける貴重な一題となっていたし、今後もなっていくであろう。

換気分布は、血流・換気シンチグラフィで計測する。

血流シンチは、γ線放出核種である、99mテクネシウムで標識された、大凝集ヒト血清アルブミンを静注して計測される。

換気シンチは、キセノンやクリプトンなどの放射性の非活性ガスを吸入させて撮像する。

上記の血流シンチと換気シンチの分布以上は、肺塞栓症の早期診断に非常に有効である。

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