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薮宏太がHey!Say!JUMPにもたらしてくれたこと

 「Hey!Say!JUMPといえば誰?」と非ファンorライトオタに聞けばきっと「山田涼介」「中島裕翔」「知念侑李」「伊野尾慧」「有岡大貴」あたりの名前が挙がることだろう.前3人はデビュー当初から人気を博しており,現在でもその熱量は衰えていない.後2人は主にバラエティ番組などの出演によって,徐々に知名度を獲得していき,今や誰しもが知るアイドルとしてテレビなどで活躍している.

 他にも現在留学休養中で屈指のギターマン岡本圭人であったり,有名なドラマシリーズ「ごくせん」でも有名な髙木雄也,「ヒルナンデス!」に出演する八乙女光も人によっては挙がることだろう.

 そしてもう1人が今回のnoteのメインとなる薮宏太だ.ボクの力不足ながら,JUMP9人の紹介を例えば非ファンに向けてする際,薮ちゃんの説明が一番に難しいと思ってしまう.彼の特徴をつらつらと話すの簡単だが,「薮宏太」という存在がその人のこれまでの人生のなかで一度たりとも触れたことがないとなると最早不可能である.

 2015年にJUMPから裕翔,圭人,伊野尾ちゃん,雄也,そして薮が「嵐にしやがれ」でゲスト出演した際,ナレーションベースでそれぞれのメンバーを一言で紹介する枠が設けられていた.その紹介の仕方が以下の通りだ.

裕翔 … 俳優
圭人 … 帰国子女
伊野尾ちゃん … インテリ(この時はまだマッシュルームカットの「かわいい」系キャラはなかった)
雄也 … ムードメーカー・俳優
薮 … 最年長

 「嵐にしやがれ」のみならず,薮がゲストで出演するバラエティ番組を観てるときまって彼の紹介のされ方は「Hey! Say! JUMPの最年長」だとか「JUMPのしっかり者」といった紹介をされていて,その度にボクはいつも「もっと踏み込んだ紹介の仕方があるだろ!」と思ってしまう.歌唱に定評があるため,歌を評価するだとか,舞台の経験も多くあるので「舞台で活躍」とか,たしかにJUMPのなかで前に前に出たり出されたりする人ではないが,なんかいつもモヤモヤする.

 とはいえ「最年長」という紹介の仕方は100%反対かというとそうでもなく,その行間を読むと「しっかり者」というイメージを暗に仄めかしている感触もあるだろう.それはまさしくその通りで,ボクは常々彼のことを「JUMPをいつも後ろから見てきて正しい道へと導いてくれた影の功労者・リーダー」としてみている.

 JUMPに正式なリーダーはいないが,藪は歴代のリーダーたちと比べて,自身が所属するグループのなかで多種多様な背景を持つメンバーたちを同じ方向へと導く役割を担ってきたのである.デビュー当初は長らくJr.として活躍してきた薮自身や光であったり,少し下がるが涼介や裕翔,全然見ず知らずの圭人がいたりした.彼らがデビューした2007年はまだみんな小学生・中学生・高校生の年齢だ.ジャニーズJr.には年齢一桁のちびっこもいれば20代そこそこのベテランのJr.だっている.そんな環境のなかで今まで過ごしてきたとはいえ,これからグループとしてずっと活動していくなかで,Jr.からごちゃ混ぜに集めさせられた学年も年齢も違う彼らは相当ドギマギしていたということは今となっては何度か告白されている.

 今回のnoteでは,混乱からはじまったHey! Say!JUMPの最年長である薮宏太が,JUMPに何をもたらしてくれたことを振り返り,これまでの感謝の気持ちとこれからの想いを薮ちゃんに馳せていこうじゃないかとボクは主張していきたい.

末っ子でみんなから愛される「薮ちゃん」

 薮がまだまだ幼いJUMPとしてデビューするより前,光を含めた年の近い4人組のアイドルユニットYa-Ya-yahとして活動していた.そもそも,彼はジャニーズ事務所に所属する前はサッカー少年として毎週土日はサッカーの練習に精を費やしており,自身の姉が勝手に応募した履歴書をきっかけに嫌々ながらJr.として活動することとなる.それから,サッカーへの熱い気持ちであったり,学校で友人に自身のやっている活動を告白できないまま,あれよあれよとYa-Ya-yahとしてCDをリリースしたり歌番組の出演をしたりして,葛藤こそあれどまだまだあどけない藪ちゃんの魅力は世に広く放たれ,ジャニーズファン界隈をメロメロにさせてきた経歴がある.

 薮家の末っ子として生まれた彼は,根っからの甘え上手だ.当時,A.B.CやKAT-TUNのメンバーたちに可愛がってもらったエピソードはしばしば言及され,薮がそれなりにいい年齢になったときにもよく懐かしい話として「薮の可愛いエピソード」が多く語られた.そのなかでも,元KAT-TUNの仁は本当に彼のことをよく可愛がり,その度が過ぎてしまったのか,執拗な仁からの絡みに段々耐えきれなくってきた幼き頃の藪ちゃんは,仁からの着信に出て一言「今ゲームやってるから」とすぐに切ってしまったというエピソードをとある雑誌で告白していた.その時の薮の心情であったり,切られた後の仁はどうしたんだろうと考えると何とも,人間らしくて微笑ましく思うのと同時に,今の薮ちゃんを鑑みると「薮ちゃんにもそんな時期があったんだなー」とつくづくそう感じさせられる.

  ファンからもかわいいと言われ,同じ事務所の先輩たちからも言われる.当初は「かわいい」と言われて頭をわしゃわしゃされるのがあまり好きでなかったと本人は言うが,とはいえステージに立っていない時間のときには専ら年上の人たちにかわいがられていた時間のほうが長かったと振り返る彼のその時を想像すると,事務所に入ってすぐにユニットを組んだことも相まって,少なからず薮にとっては比較的生きやすい環境だったのではないかと,ボクはそう思っている.

大きな壁にぶち当たる「薮くん」

 彼が変声期を迎えるくらいの時期,依然としてYa-Ya-yahの一員として活動していた薮は「デビュー」であったり「進路」のことについて考え始めていた.それと同時に,自身を取り巻く環境も段々と変化してきており,本来はグループとして歌番組で活動することが多かったものが,メンバーをシャッフルさせて歌う機会が増え,そしてついに薮がこれまでのアイドル生活を共にしてきた光がKitty GYMという期間限定のグループに抜擢され,事務所が寄せている自身のライバルへの期待をそばで感じ,さらに自身の焦りに拍車をかけるのであった.さらにはJ.J.ExpressやKis-My-Ft2,A.B.Cの台頭であったり,さらにはHey! Say! 7という自身の後輩の所属するグループが結成されるなど,Hey! Say! JUMPが結成される2007年の中旬あたりまでにかけての彼の心境は不安に満ちていたことだろうと容易に想像できる.

 薮ちゃんが答えた,とあるロングインタビューのなかで「今振り返ると,あのときはHey! Say! JUMPのメンバーを決めてたんですよね」と回顧する.そのなかでのインタビューで語られたエピソードに,ある日ジャニーさんからメンバーの名前を書かれた紙を提示され「どう思う?」と聞かれる.そのメンバーのなかには森本龍太郎を含むHey!Say!JUMPの選抜メンバーが書かれていたのだ.当時の薮はYa-Ya-yahとして活動していて,Ya-Ya-yahとしてCDデビューすることを夢見ていた.しかしながら,ジャニーさんからのこのような突然の申し出に対し,心のなかでは様々な葛藤が生まれたのであるが,当時17-8歳の彼は「今から俺が発する言葉で、このコたちの人生変わっちゃうんだな」という思いで「うん,いいんじゃないですか」と答えるのである.彼のこの発言によって“Hey! Say! JUMP構想・計画からHey! Say! JUMP実現”へとフェーズが移る瞬間だ

 葛藤があったとはいえ「CDデビュー」はJr.全員にとっての目標だ.当時のジャニーズJr.の数を正確に出すことは難しいが,薮本人の「誰かがデビューするってことは、その何十倍の人間が落ち込んでるんですよね。」というコメントを受けて,決まってもなお様々な葛藤に苛まれてきたに違いない.Ya-Ya-yahとして今まで頑張ってきた自分と光以外の2名のメンバー,既存のユニットからメンバーが選抜されて継続不可能となるグループ,Jr.の先輩として自分たちのことを見てくれたA.B.Cやキスマイら,そしてこれからのアイドル人生を共に歩むこととなるまだまだ面識の浅いJUMPのメンバー.ジャニーさんからは薮くんと光に年上としてしっかり頑張るようにと期待されるが,光含め薮くんはそれまで自分がお世話を“見られていた”ことが多かったため「うれしいけど,つらいみたいな」と口にしている.

Hey! Say! JUMPの最年長として活躍する「薮」

  JUMPがデビューを果たしてからも予想通り様々な問題にぶち当たることとなる.デビューライブを開催した東京ドームには今までJUMPメンバーのことを見てきてくれた先輩たちや仲間が勢ぞろいしライブを行うのだが,そこへやってくる観客は全員がJUMPファンであるかというとそうでもなく,バックで踊ったり煽ったり歌ったりするJr.を一目見るために駆けつけた人も少なくなかったようだ.

 最年長として自身の抱える責任を感じ始めていた薮ちゃんは,どうにかして自分たちだけの力でお客さんを笑顔にさせたいという気持ちで,メンバーの士気を高めるポジションとしてグループの先頭に立つこととなる.幸いなことに多くのライブ・公園を任せられるなかでのレッスンということで,当初は本当に踊りがバラバラだったJUMPは徐々に1つのグループとしてのパフォーマンスに磨きがかかっていくこととなる.

 問題はグループ全体だけでなく,個人単位のものもあった.例えば,JUMPがデビューしてからすぐに雄也が「ごくせん」の出演者として大抜擢され,主役を張ることとなる.本人もこの大抜擢に対して非常に緊張してしまったのか,不良という役を現実にまで引きずり,何かの用でグループが集まっているときに1人別のところでたたずみ冷めた目線で他のメンバーを見てメンチを切らせたり...温厚な薮ちゃんはそれに対して怒ったり怒鳴ったりすることはなかったが,後に雑誌の取材で振り返った時に「あれはひどかったですね(笑)」と優しい笑顔でそう語っていた.また,問題のベクトルはまた違うが当時の圭人はまだまだ未経験なことも多かったため,メンバーの素質になかなか追いつけず,時に薮が叱ったりするとその度に泣いていたのである.ボクらが薮ちゃんのその説教シーンを見ることは残念ながらできないのだが,そんなパワハラ上司のように怒鳴り散らかすといった感じではきっとないと予測ができる.冷徹な感じなのかな...?? そこはボクの知識だけではなかなか自信を持った予測は言えない...

 グループ全体を見つめる彼の視線,そしてメンバー個人個人を見つめる彼のまなざしは「監視」でもあれば「見守り」でもあるように感じられる.グループが順調に進んでいくにあたって,メンバーたちのドラマ出演やソロやJUMP外とのユニットで活動する姿を徐々に見せつつあるその頃,最年長である薮ちゃんはじめ,その指揮についてきたその他のメンバーは決してそれらに対して嫉妬を覚えるわけでもなく,応援というか「外で頑張ってJUMPに還元しろよ!オレらも頑張る!」といった目線で見つめていたと語る.グループ全体がそのような眼差しを持てたという点で薮ちゃんの功績は本当にでかい.

 冒頭でも述べたようにJUMPには「リーダー」という正式的な存在はいないのだが,以上のようなエピソードを聞くと「そろそろ薮ちゃんリーダーっていう冠をもらってもいいんじゃないの?」とどうしても思ってしまう.彼のリーダー性を表す代表的なエピソードのひとつに,どのメンバーだったか忘れてしまったが,ダンスレッスン中にそのメンバーが振り付けを間違えてインプットしてしまい、それをさもありなんとその通りに踊るのだが,薮ちゃんはそこで直接的に注意をするのではなく,わざと自分もその間違った振り付けを踊り,わざとそこで振付師の方の注意を誘い,わざと怒られるという行為を行なっていたというエピソードがある.自身の身を挺してまでなるべく良い方向へとメンバーやJUMPを引っ張っていくまだ若かりし彼のこのエピソードには,側から見ると「最年長だけどなんかやってるの?」と思われてしまうのではないかとボクは勘ぐってしまうのだが,この一見的な印象からは嵐のリーダー・大野を沸騰させ,影でリーダー性を存分に発揮してみんなを導く姿には若かりし頃のV6のリーダー坂本やSMAPのリーダー中居を連想させる.つまるところ,薮宏太のリーダー性には大野的要素と坂本・中居要素が同時に混在しているのである.これ以上に最高なアイドルのグループリーダーはいるのだろうか.彼の有するこのイニシアティブが一般からの評価を得るために早くJUMPにはリーダーという肩書きを設けてほしい.ボクはそろそろ薮個人が羽ばたき輝く姿が見たい.

薮宏太がJUMPにもたらしてくれたこと …ボクの考え

 デビューしてから数年間,伊野尾ちゃんはなかなか日の目を浴びることができず,デビュー後6,7年が経った時に自身のマッシュルームカットが世間からの公表を買い,後に「伊野尾革命」と呼ばれるバズりによって現在では様々な番組にレギュラー出演している.伊野尾ちゃんも伊野尾ちゃんで彼独自の苦労話等々は必ずある気もするし,今度はそれについて考えてみるのもまた一考なのだが,それでいうとボクは早く「薮革命」が起きないかなと密かに願っているのである.

 グループでフォーメーションを組むときは,薮ちゃんの高身長という性質もあるからか,一番後ろや一番時端っこになることも多く,曲でソロパートこそあれどなかなかカメラにすっぱ抜かれることは少ない.サッカー番組に出演することがあるにせよ,彼の見るからに好青年で優しい男性を彷彿させるような,声色は舞台だけでなく,もっと多くの人たちのみる感動的なドラマ作品や映画作品に出演する機会とかないのかなーと毎度彼を見る度に思ってしまう.

 ボクがこんなにも薮ちゃんのことを応援するのには,やはりこれまでに語ってきた,彼がこれまで影で行なってきた努力に裏打ちされたものがある.そしてその努力はHey! Say! JUMPというグループにしっかり還元されており,当時年齢も考え方も経験値もバラバラだったグループをたったの数年間で1つにまとめあげ,10数年経った今では「JUMPって人数多いけど,本当にみんな仲良いね!」と1つのパッケージとして広くみなされるようになり,そして段々と9人の顔と名前が合致してくる人々も多くなってきた。このような今の現実はそう簡単に叶えられることはない.

 今日現在までの薮宏太という1人のアイドルの人生は,今の所「JUMPのため」「JUMPのみんなのため」「JUMPを愛するとびっこのため」といった感じで,他者のために様々な経験を培い,自身よりも仲間のことを尊重して選択肢を選んできたように思える.令和に突入し,多くの後輩グループができているなかで,JUMP自身も新しい「らしさ」というものが求められてくる.今までの傾向でいくときっと薮ちゃんはグループのために陰ながら尽力を果たすのだろうが,ボクは彼が中心的に輝いている姿を早くみたいと強く思う.きっとそれはJUMPのことを心の底から愛しているとびっこみんなの願いだろうし,メンバーだって必ずそれに賛同の意を示すことだろう.あとは薮ちゃんに迷いに迷ってもらってその答えを待つだけだ.


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