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スポーツ×語学という名の"さらに高い壁"


前回のnoteでは「語学」について触れた。

近年、、なのかは知らないが、留学を経験する大学生は昔と比べて増えてきていると思う。
事実、ポートランドの街中で日本語を聞く事はよくある事だ。

自分は大学生の時に留学した事がないので、彼らが何を留学に求めて、どのようなモチベーションで来ているのか正直分からない。
だが、少なくとも学生として来るのと、卒業して来るのとでは間違いなく"違い"があると思う。

とりわけ自分はサッカーをしにアメリカに来ていたので、"海外に触れたい"という気持ちよりは、"絶対負けられない"という方が強かった。
なので、優劣の話ではなく単純に人とは少しだけ"違う"経験が出来ているように感じる。


その中の1つが"スポーツの中での語学の壁"を感じた事だ。

自分のブログを読んでくれている人の中には海外に挑戦する事を考えている人がいるかもしれない。
そういう人に少しだけ参考になればよい。



最初からプロとして海外に行く選手でも言葉の壁を感じるというニュースを見た事があるだろう。プロとしての力を持っている選手でさえ、言葉の壁は高いのだ。

「アマチュアやセミプロから始めて、努力して、努力してようやくプロ選手という肩書きを手に入れる」

海外に挑戦するほとんどの選手がこのパターンだろう。

そういう選手にとって"言葉の壁"ははるかに高くなる。

アメリカに来て1年目は特にそれを感じた。

1つの理由は専門用語が多いという事。ポジションを番号で呼ぶのは海外を経験した選手なら知っているだろう。監督が要求している事、味方が話している事、全てを理解するには英語力+αでサッカーに必要な専門用語の知識が欠かせない。

ほとんど英語が話せない状況で行った1年目は、

監督が要求している事が分からない。

点は取れても周りと合わなくて交代させられる。

使われ方に不満感じる

自分の考えを言いたくても、持っているボキャブラリーでは説明できない

パフォーマンスも低下してくる

このような"自分の力のなさ"と戦っていた。特に通訳してくれる人とかもいない(エージェントがその場にいない)状況だと、こういう事が起きるというのは頭の片隅に置いておいた方がいいだろう。



2つ目の理由は、普通の会話とは比べ物にならないくらい会話のスピードが速いという事。試合中はほとんどの選手が興奮状態にあるので、FワードやSワードが飛び交い、怒鳴り散らしてる。言い返そうとしたらもう走り始めてどっか行っているなんてよくある事だ。

つくづく、「日本で受けていたリスニングテストの会話なんてほとんど感情0だな、イージーだな」と感じる。それほど感情の起伏で話す言葉もスピードも態度も変わってくるのだ。



3つ目は訛り。これはかなり特殊なパターンかもしれないが、周りの選手はメキシコ出身が多い。スペイン語訛りが強すぎて、英語なのかスペイン語なのか分からないほどだ。英語圏にいるが、みんながみんな綺麗な英語を話す訳ではない。国々に独特のアクセントがあり、それを恥ずかしがる事なく堂々と話している。


いくつかの理由があるが、そんな困難に屈してはいけない。
自分が1番意識している事は絶対に笑って誤魔化さないという事。日本で自分はあまり喋る選手ではなかったのだが、発言する回数は確実にアメリカに来て増えた。
というのもアジア人は英語なんて話せないだろうと大抵の人が思っている。だからどんどん発信して要求しないと、
「こいつなんも分かってねーんだな」と思われて舐められるのだ。

自分はポートランドに来た時、エージェントも何もいなかったので全てを自分で証明するしかなかった。
トライアルも一発勝負。短い時間で自分をアピールするにはコミュニケーションは必要不可欠だ。
そう多くないチャンスを手に入れる為に、前もって"言葉"の問題にはしっかり向き合っておいた方がいい。
偉そうに語っているが、自分もまだまだ乗り越える為には努力が必要だ。



もちろん、きつい事ばかりではない。

サッカーという共通言語を持っている自分達は、普通に留学している人達よりもネイティブの人と話すチャンスが多いと思う。

実は留学をしても、ネイティブのアメリカ人と話す機会はそう多くない。どんどん自分から飛び込んでいかないとずっと日本人コミュニティの中で終わってしまう。
日本語だけで過ごそうと思えば、いくらでも逃げ道はあるのだ。

だからこそ、サッカーという共通言語を持っている自分達は普通に留学に来ている人よりも、はるかに英語を話すチャンスを作りやすい。


(サッカーだけに限らず、スポーツでも、音楽でも、アニメでも、英語×○○が本当の留学の価値を決める。)

1年半経って、日常生活でほとんど困る事はなくなったが、やはりサッカーの中でたくさん発言するのは未だに難しい。
でもやらないとプロにはなれないのだ。

その為に自分はサッカーコーチを英語でしているし、サッカーを観に行く時もアメリカ人の友達と見るし、チームメイトに誘われたご飯は絶対に断らないと決めている。


これらは全て"サッカー"が与えてくれたチャンスだ。
日本では単なる部活動でのサッカーが、海外に出るとこんなにもたくさんの学ぶチャンスと出会いを与えてくれる。

まだ成功したとは思っていないが、海外に来てよかった、サッカーという世界共通の事をやってきてよかったと思う。

海外でサッカーをするという事は困難と共に、成長にも満ち溢れている。




サポートして頂いたお金はアメリカで誰もしたことがないような経験と挑戦をする為に遣わせていただきます。どのように遣わせて頂いたかはnoteで必ず紹介します。よろしくお願いします。