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ポートランドと鎌倉をつなぎ"たい"

自分は活字中毒とまではいかないが、本を読む事が好きだ。特にこのブログを書くようになってからは、他の人がどのような言葉を組み合わせて文を生み出しているのかを勉強するために日本語の文章をよく読むようにしている。


この本に出会ったのは日本庭園のボランティアでの事。ライブラリーでの仕事を務めていた自分は書庫の中にあるたくさんの本の中からこの本を見つけた。

「<暮らしやすさ>の都市戦略〜ポートランドと世田谷をつなぐ」


アメリカの数ある州からこのオレゴン州、そしてポートランドを選び、現在生活しているわけだが、それにはいくつかの理由がある。

"自然と一緒に暮らせる街"

そんなイメージが自分の中にはある。

街にも魅力を感じているが、もちろんここに住む人々にも魅力を感じている。
ここではみんなが自由に生きている、そんな風に感じるのだ。

“Keep Portland Weird”
という言葉を聞いたことがあるだろうか。
「"Weird”=変わっている、奇妙な」という意味なのだが、まさにその言葉通り。いい意味でこの街はFreedomである。

色々と語っているがまだ住んで数ヶ月の新参者。ポートランドのポの字も理解できてはいないだろう。
だが、意外と第一印象というのは大切なものなのだ。


このポートランドという街はアメリカの中でも変わっている街であるだろう。

アメリカに長年住まれている友人の方も、
「ここはアメリカじゃないよ」
というのだから間違いない。

ただこればっかりはアメリカで多少の時間を過ごしてみないと分からないものだ。観光地を巡っただけではどうしても見えづらいアメリカの本当の姿である。

話をこの本に戻す。なんと、この本では変な街ポートランドと日本の街をつなげようとしているのだ。

いつか、地元の鎌倉も
"ちょっと変わってて面白い、だけど自然もあって住みやすい"
そんな街になったらいいなーと、うっすらとした希望を抱いている自分にはうってつけの本だと思い、読み始めた。

この本を読み始める前から、日本とポートランドは深い繋がりがある事には気付いていた。

札幌とポートランドは姉妹都市であり、その関係は1959年から続いている。他にも日本との姉妹都市関係は約20都市にも登る。オレゴン日米協会は1907年に設立。
人口当たりの日本語学習者はハワイ州に次いで全米第2位。
さらにポートランドは本当に素晴らしい日本庭園を持っている。(関係が深いからこそ、ここまでのものが出来たのだろう)
日本からの留学生、駐在員の方、日系の方、街を歩けば日本と関わりがある方もかなり多い事に気付く。

ここまでは以前から知っていたが、世田谷とポートランドの繋がりはこの本を読むまでは知らなかった。

この本では、ポートランドの街システムをいかに世田谷区が活用しているかが主に書かれている。その他にも筆者がポートランドを訪れた際の感想や、講演会を行なった時の話。様々な話が盛り込まれている。


ポートランドについてを日本語で読む事はかなり新鮮であった。"こういう視点があるんだ"新たな発見もある。

中には、
"都市成長限界線"
"TIFによる資金調達"
"ローカルファースト"
ポートランドの街作りを理解するには必要なキーワードが登場する。こういう初めましての言葉に出会うと、まだまだ勉強が足りないなと思わされる。

今は、全米一住みたい街と言われているが、かつては環境破壊に襲われた街でもある。それをきっかけに
「人間が尊重され、健康に暮らしを楽しむ街づくり」
へと変換を遂げていったそう。

この過程で自分にとって一番響いた事は
「都市計画の鍵は住民参加」という言葉だ。

日本人は何かと新しい運動を起こそうとする人にネガティブなイメージを持つ体質にある気がする。
自分だってそうだった。
今まで駅前で何かを必死に訴えている人に冷ややかな目を送っていた過去の自分がいる。
「怪しいな」「胡散臭い」「どうせ実現しない」
そんな負のイメージが先行してしまっていた。

世田谷では「無作為抽出型区民ワークショップ」と言って無作為に1200人に招待状を送付するという試みが行われた。(2013年時)
だが実際に参加したのは88人。

ポートランドは街づくりに注目されがちだが、こういった住民の活動、
「自分たちの暮らしから楽しんでしまおう」ということにも注目してほしい。
その一つの例として世界最大規模のネイキッドバイクライドが挙げられるだろう。調べてもらえれば分かるのだが、あのイベントも元は石油依存社会への抗議から始まったものだ。



この一冊の本を読んだからといって、じゃあ今の自分に何かを変えられるかといったら、そんな力はない。

ただ、ポートランドが注目され続けてきている事を知ってほしいし、実際にすごくいい街だ。
将来的にはポートランドの事も、鎌倉の事も、もっと勉強して、
こんな"一風変わっているが、住みやすい街"に鎌倉が変わっていければなと本を読んで率直に感じた。


リンクを貼っておく。
少しでも多くの人が自分達の住む環境について考えてくれたら嬉しい。


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