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【記事紹介】子どもにゲイだと打ち明けられた時に読んで欲しい物語|新村公輝

前の職場で働いていた頃のとある昼休み、パートの女性陣が話をしていた。

「もし息子が交際相手に男を連れてきても私やったら全力で応援するわー!」と、誰かが陽気に笑いながら話している声が聞こえてきて、「万が一その状況が現実のものとなってしまっても、その想いが変わらないでいてくれるといいな」なんて勝手に思いながら、僕は遠くで一人カップ麺をすすっていた。

人口に占めるセクシャルマイノリティの割合は大体1割程度であるとか、それは左利きの人と同じくらいであるとか色々言われているが、当事者の僕からするとそっち側の感情しか知らないので正直あまりピンとこない。

逆に、異性との恋愛の末にゴールインまでたどり着き、子宝に恵まれ今まで大切に子育てをされてきた世の親御さん達からすると、そういった話題はどこか遠いコミュニティの問題だと感じられるのも当然だと思うし、それがまさか職場の同僚や友人とかではなく、よりによって自分の子供から当事者だと伝えられてしまった時の衝撃は半端ないのだろう。

今、子供からカミングアウトを受ける親御さんとなると、40代以上の年齢の方がほとんどになると思うので、その年代の時代背景を鑑みると尚更である。

そして、当事者としての主観的な経験則や「感情」として様々なことをインプットしてきた僕達とは違って、受け止める側は知識としての情報や想像力といった「理屈」が必要となってくるので、自分の子供のことであっても「どう受け止めたら良いのか分からない」となる方がいることもまた当然だと思う。

そして、その受け止める側に必要な情報って圧倒的に足りていないんじゃないかと思うのだ。

これは丁度一年程前の話であるが、当時の僕は周囲にカミングアウトしていない当事者がどの様に会社員として周りと折り合いをつけていけば良いのかとか、日々を過ごしていく上でのマインドだったりとか、色んな事を知りたくて一日何時間もネットを見ていた時期がある。

「会社員 ゲイ」とか「ゲイ 組織 向いてる 職種」とか、悩める羊として相応しい組み合わせはほとんど検索した筈だ。

それでも、やっぱりカミングアウトをしていない人の情報というのは中々出てこないものであり、「ロールモデルが欲しいんだけどなぁ」と本気で考えていた時に一つの動画にいきついた。

それは、セクシャリティに関する情報を色々と発信されている有名な当事者のライターさんがいらっしゃるのだが、その方のお母さまにメディアがインタビューをしている内容だった。
そこで、そのお母さまが息子さんからカミングアウトをされた時の気持ちなどを聞かれた時に話されていたのが、「私達も(受け止める親としての)ロールモデルが無いんですよね」と、いった言葉であった。

この言葉がやけに心に残って、そう言われると確かに我々当事者よりも、受け止める側の親の方が、自分事ではないのも相まって、より孤独で不安だということもあり得るんじゃないか、と思った。

(呼び寄せの法則を信じるついでに書かせてもらうと、僕が自分の経験も踏まえてセクシャリティのことを発信しようと思い至ったのはその動画があってこそである。
自分の子供、自分が担任を任されているクラスの生徒、会社の部下などから、カミングアウトされた側がリアルタイムで相談できる先がもっと増えるべきだと、個人的には思ったし、将来的にはそういったことが出来たらな、と心の片隅では思っている)

そんな感じのことを色々考えながら、僕が運営しているサイト(SEICHOTSU magazine)で一つ、記事を書いてみた。

カミングアウトする側と、受け入れる側。
互いの勇気を出し合った先に、本来の正しい姿での親子関係を築き始められることを願って。

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