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【面白数学】07-バラバラになったコピー

ベネッセに入って1年目。

教材の企画を説明する大人数の会議に向けて、会議ギリギリまで粘ったパワーポイントの資料を複合機でコピーしているときだった。

やばい、ギリギリ。

気持ちが焦る。会議まであと5分のときだ。

早くコピー終わってくれ!と通じぬ思いを複合機に送りながら、できたものからホチキスで留めようと取り出した。

そのとき!


バラバラバラバラ...


うわああああ、最悪。
慌てる気持ちが災いして、資料を床にばらまいてしまった。

急いでバラバラになった資料の紙を拾い上げて、順番を整えようとした。

またまたそのとき!

気がついてしまった。

あ、ノンブル(ページ番号)つけ忘れた。。

よりによってこんなときに。なぜか誰かにあたりたい気持ちを抑えて、すばやいため息をつきながら、急いで拾い上げ、とりあえず近くの台においた。

自分で作った資料なので、内容を見れば順番はわかる。

めんどくさい気持ちと焦る気持ちを抑え、こんなときこそ冷静!と部活のマネージャーばりのかけ声を心の中で自分にかけながら、まず1組目を整える。

2組目の資料からは、 整えた1組目の各資料の右上の文字を確認して、
 それらをページ番号に類するものとして捉えて、機械的に整えた。

ホチキスで留める。

そうこうしているうちに、すべてのコピーが出来上がる。

あ、複合機に送った原本で順番確認すればよかった。そう一瞬思いながら、まあ、結局あまり時間は変わらない。

っていうか、やばいやばい。早くしないと。

残りのコピーたちを複合機から取り上げ、ホチどめは会議室の現場で最後すればいいや、と、とりあえず会議室に向かってダッシュした。

ギリギリセーフ。

はあはあ息をはきながら席につき、残りをホチキスで留めて、ようやく落ち着いた。

会議が始まった。

自分の番が来るまで、今の出来事を頭の中で振り返っていた。

実はこの会議で自分が発表する教材の企画は、
「正負の数」の単元の教材だった。

中学1年生に入り、マイナスの概念を学ぶ単元だ。

数について世界が広がり、特にマイナス×マイナスがなんでプラスになるのか等でいきなりつまずいてしまう単元だ。

そんな単元を学ぶ教材だから、作る側としても当然、数の概念を改めて深く理解してから企画を立てる。

なので、ノンブルをつけ忘れたことにも、数の概念という視点で思考が及んだ。

数のもつ重要な性質に、

「順序性」

というものがある。

1番、2番、3番、、、のように、
1、2、3、、、という数字に順番の意味を持たせることができるのだ。

さきほど自分が忘れてしまったノンブルは、まさにその順序性のもつ便利さの代表格。一般の本などでも、その番号がついているおかげで、順番に読めたり、編集したり、目次と対応させたり、落丁に気が付いたりできる。

今回、資料にノンブルをつけ忘れ、しかも急ぎのときにバラバラにぶちまけたことで、実はいつも助けてくれていた数の便利さをいっそう感じることができた。

途中右上の文字を順序性の代替にしたけれど、やはり数字がもつ直感的な順序性にはかなわない。なにより、ユニバーサル。世界で通じる順序性だ。非常時だからこそ、そしてそれを忘れたからこそ、当たり前に使っている数の便利さに気がついたのだ。

他の発表者の方の資料や自分の資料に目を落とすと、

大問1(2)
STEP 2

など普段よく目にしている順序性の数字たちが目に入り、不思議と「いつもありがとう」という気持ちになった。

きっと見逃している日常の「数の順序性」はたくさんあるだろう。
帰り道に気にしてみよう。

などと頭の片隅で考えながら、議事についていっていると、
自分の番が来た。

資料を配る。

3番目の議題だった。


【宿題】
(1)本のノンブル以外に「数の順序性」を活用して便利になっている例を探してみてください。

(2)「数の順序性」を活用することで、より便利になったり、(小さなことでも)問題が解決する事例を見つけてみてください。

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