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【Vol.11】クラウドファンディングでドキュメンタリームービー『Voice』が完成するまで

【Vol.10】からの続きです
◆バックナンバーはマガジンにまとめています◆

いよいよ迎えたmo.kaさんのワンマンライブ当日。
色々なことを考えながら現場に向かいました。

もしmo.kaさんが多汗症のことを言えても言えなくても、それはどちらであっても大丈夫。それを含めてドキュメンタリーなので。
そのことは本人にも事前に伝えていました。

だけど、もしかしたらこれをきっかけに、良くも悪くも彼女の運命を大きく変えてしまうかもしれない。
ライブに来てくれたファンの方はきっと好意的に捉えてくれるはず。
そう思ってはいたけれど、でもそれはあくまで自分の経験上での話。
「言わなきゃよかった」って思ってしまう事態にならないだろうか。
そう考えると責任の重さで潰されそうで・・・。

だけど、「いつかは多汗症を公にして勇気を与えたい」という気持ちは、彼女が音楽活動を始めてからずっと秘めていた想いであり、その想いに映像作品という形で応えてあげるのが今日の自分に課せられた仕事だろうと、そう思いました。

そしていよいよそのMCの時がやってきました。
このシーンはカメラはあえてハンディ(手持ち)にしたんです。
カメラマンである僕自身も当事者だから、その方が撮影側のリアルな感情を出せると思ったからです。

あとは撮影の位置。実はリハの時までは、このシーンはステージ上手(かみて)側から撮る予定でした。
ちょうど良さそうなスペースを見つけていたんです。

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ところが実際は下手(しもて)側から撮っています。
変更を決めたのは本番が始まってから。
もちろん今回のドキュメンタリーで一番大事なシーンなので、その時の立ち位置とか、そういうことは常に頭に入れています。

でも、ライブ1曲目の"Out of your frame"を撮っている時です。
「いや違うな。逆だな。」って思って。
それで急遽、下手側から撮ることを決めました。

mo.kaさんが左手の手術を受けていることは事前に知っていました。
自身の病状を公にするというとても緊張する場面。
だから無意識的に左手にマイクを持つだろうと思ったんです。
そうなると、下手側から撮った方が、表情や右手の仕草も撮りやすい。
その咄嗟の判断も当事者だからこそできたのかな、と思っています。

ドキュメンタリーって、作り手の想定を遙かに超える瞬間があったりするんですが、今回の作品では間違いなくこの場面でした。
編集する時も、カットする箇所を本当に悩みました。それくらいに濃い内容だったし、彼女自身も、話す内容をすごく考えて決めたんだろうなということがよく伝わりました。

なんか上手く言葉に表現できないけれど、
「とにかく素晴らしかった」んです。
なんとかカメラを回すのに精一杯で、それくらいに僕自身の心にも響くものがありました。

このmo.kaさんのライブシーンは、一切ナレーションを入れませんでした。
27分の映像で、そのうち約9分間、全体の1/3がノーナレーションなんですね。
語りが本人だったということもありますが、それ以上に、この日のライブの雰囲気を全体的に表現したかったんです。
ライブ開始~あのカミングアウトのMCまで、そこまでの流れがあってのことだと思ったので。

mo.kaさんが、自身の言葉で多汗症を伝える瞬間を残せたというのもそうですが、それ以上に、こうやって公にすることにいかに勇気が必要か、そういった部分も、彼女の声や涙で伝えることができたと思います。

その瞬間に立ち会えて本当に良かったと思いました。
余韻を感じながら帰路につき、自宅に戻ったらすぐに今回の撮影シーンの編集作業を始めました。気づいたら夜が明けていましたね。

mo.kaさんには後日ナレーションにもご協力いただきました。
このナレーション読みもすごく良くて、とても初めてとは思えないくらいでした。
すごく引き込まれるし、訴えかけも響くものがありましたね。

そして、公開日を12月15日にすることも決めました
このプロジェクトもいよいよ終わりが近づいてきました。

【Vol.12/最終章】へ続きます


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原発性局所多汗症という病気と向き合いながら、フリーランスで映像制作しています。2019年、この病気の認知を広めるため、クラウドファンディングで資金を集め、ドキュメンタリー映画『Voice~伝える先に見えるもの~』を制作しました。