ロケットと人工衛星、と探査機

僕の専門は人工衛星だ。

宇宙分野における製造は、主に ①ロケット と ②人工衛星・探査機 
の2種類に分かれると感じている。


同じ宇宙の機械なのに、そんな違うの??と思うかもしれない。
 
実際、全然違う。


ロケットと人工衛星・探査機の役割はこう。
 
【ロケット】
宇宙の荷物配達屋さん

地球上→宇宙まで衛星・探査機を運ぶための宅配便
轟轟と火を噴きながら爆速で空をのぼっていく。かっこいい。
 
【人工衛星・探査機】
宇宙を飛んでるコンピューター、カメラ、ロボット、通信機。

ロケットに宇宙まで届けてもらってそこからがお仕事。
人工衛星は、宇宙から地球表面をみて、写真をとったり色々調べたり、通信を経由したり。
位置情報のGPSも人工衛星を使った居場所がわかるシステム

探査機は、宇宙まで届けてもらったら、地球を離れ、月なり火星なり、自分で飛んで調査しにいく。


人工衛星と探査機は、ある程度、必要な機能が共通している。
置かれる環境は多少違うものの、宇宙空間で機械が動くようにするのに、必要な機能が同じ。
ベースの機能に上乗せする、観測機器とかが違うって感じ。


ロケットと衛星・探査機はもう全然違って、ロケットの研究室の同期がやっていることは全然知らない。
最近少しずつ勉強する必要がでてきたけど。


宇宙工学に関わる研究をするようになって思ったのは
宇宙という過酷な環境で作動させるために
人工衛星とかってまじで人類の科学技術の結晶体なんだなってこと。

人工衛星を構成する要素はざっくり6つくらいある。
 
①衛星の構造
ロケットに載せて打ち上げる時に約10Gとかいう超強い力がかかる上に、すごい振動も加わってくる。
材料力学、振動工学に関する知識が必要。

②熱制御
宇宙空間は真空の-270℃。
スマホと同じようにコンピューターが熱すぎても冷たすぎてもうまく動かないから-50~70℃とかに温度を調整しないといけない。
熱力学、電源系の知識が必要。
 
③電源系
太陽光パネルで発電して、コンピュータとかに電力が足りるように供給、配分しないといけない。
 
④姿勢制御・軌道制御
衛星がきちんと太陽光を受けて発電したり、地表を観測するために、正しい方向を向かせないといけない。
プログラミング、衛星の向きの知識が必要。
 
⑤通信系
地上からの指示を受け取ったり、衛星から地上にデータを送ったり。
プログラミングの知識が必要
 
⑥推進系
エンジンを積んで、宇宙空間を移動しないといけない。
燃焼系(ロケットに近い)の知識が必要。
 
これ以外にも、宇宙では強い放射線にさらされるため、それへの耐性も考慮も必要。
 
そして、原子状酸素にもさらされるため、部品の劣化などもしやすい。
 
あと地上で通常使うような接着剤を使うと、宇宙空間でガスになってしまい、通信をさまたげたい、電子回路をショートさせてしまったり。
(なお、必要な知識に関しては抜けあり)


これらが必要な基準を満たす能力を発揮するように
いくつも試験をして試して設計していく。
 
必要な知識や経験も膨大で、
まさに総合格闘技。
 
しかも一度打ち上げてしまったらもう二度と地球上に帰ってこないから修理もできない。
打ち上げにも巨額の費用がかかり(日本のロケットの打上費用が50億円とか。保険代が高いとは噂で聞く)
 
ロボットも総合格闘技とはいわれるけれど
それ以上に宇宙空間という過酷な環境で
動かさなければいけないという厳しさ。

非常に難しい反面、ロマンも感じる。


探査機はやぶさなんて、さらに苛酷で、
 
特に小惑星のサンプルを地球に返すカプセルとか。


 
ものすごいスピードで大気圏に突入して帰ってくるのだけれど
速すぎて、空気とカプセルの間で摩擦熱が発生して表面温度は1万℃。
想像もつかない熱さで、表面は丸焦げになる。
(はやぶさ本体は燃え尽きる)
 
しかも、突入時には衝撃はも発生して、とんでもない温度と圧力で空気中の気体(窒素N2や酸素O2)がプラズマ化する。
(普通の気体じゃなくて、帯電してる)
 
これにより、地上との通信も全くできなくなる「ブラックアウト」という状態に突入する、まさに極限の状態。


実際の設計だと、もっと色々難しさもあるんだけれど、一旦こんくらいにしておこう。
殴り書きして満足。

と、こんな感じじゃない?というので、修士の一介の学生が書いてみました。

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