見出し画像

「シャドウ・グール」のカルテ (クソカード医学会用資料18)

まえがき

 「シャドウ・グール」は遊戯王OCG第一期登場の最古参カードで、当時としては画期的な天井知らずの自己強化が可能な原作出身のカードです。
 原作出身といいつつも、原作では「ウォール・シャドウ」の融合素材というだけでそれ以上でも以下でもない存在でしたが、アニメオリジナルのレベッカ戦では印象深い活躍を見せました。
 また、ザ・ヴァリアブルブック2でもこのカードを軸に据えたデッキが紹介されるなど、OCGでも決して影が薄い存在ではありませんでした。シャドウなのに。
 しかしながら時は流れ……というか第三期くらいにはもう「最初期のカードにしてはまだ使える方」的な扱いだったこのカードの評価はガタ落ち。今となってはカジュアル対戦でも「シャドウ・グール」を見かけることはほぼありません。
 新年一発目は、そんな「シャドウ・グール」に見事な現役復帰をさせてあげようと思います。

シャドウ・グールについて

 患者の性能は以下の通りです。(出典:遊戯王デュエルモンスターズデータベース)

 めちゃくちゃにシンプルな効果です。
 墓地が肥えれば肥えるほど打点が上がります。長期戦の切り札に最適でした。しかし攻撃力の上昇幅が100と低く、打点目当てならこいつを出すより「アクセスコード・トーカー」などの召喚を狙ったほうが確実です。
 かつては「クリッター」「黒き森のウィッチ」を「キャノン・ソルジャー」で射出するデッキでエースアタッカーを担っていたり、サポート豊富なアンデット族なのでアンデット族デッキはもちろん、「ピラミッド・タートル」とともにリクルーターを多用するデッキに隠し味的に入れられていたこともあります。(まあ当時としてもそこまで強くはなかったですが、デュエル自体が低速だったので出番はあった形)
 しかし運命の2003年4月24日。「混沌を制す者」でこいつが登場したことで彼の人生は大きな転機を迎えます。

 「カオス・ネクロマンサー」は見ての通り、「シャドウ・グール」と同様の効果で有りながら、攻撃力の上昇が300と大きく上回っています。
 素の攻撃力こそ違いますが、墓地にモンスターが8体以上いる場合は「カオス・ネクロマンサー」のほうが強くなる。また、レベル1ゆえにサポート豊富で出しやすく、素の攻撃力の低さからサーチリクルート手段も多く、悪魔族なので墓地送りも容易とほぼほぼ上位互換と言って差し支えない存在です。
 極論『「シャドウ・グール」を使うくらいなら「カオス・ネクロマンサー」でいい』となります。

 以上、問題点をまとめると
①攻撃力の上昇幅が低い
「カオス・ネクロマンサー」の存在
 となります。実にシンプルですね。

 ②の差別化点としてはレベルと種族がありますが、レベル5を活かせるカードは「アンデット・ネクロナイズ」くらい。アンデット族の優位も「アンデット・ワールド」があればほぼなくなります。そしてアンデット軸のデッキにはほぼほぼ「アンデット・ワールド」も入る傾向…………さてどうするか……。

魔妖グールタワー

 解決策として【魔妖】を軸にした【絶望タワー】デッキに投入することにしました。
 【魔妖】は「麗の魔妖ー妲姫」の蘇生と連続シンクロ召喚を行うデッキ。
 【絶望タワー】は相手に送りつけた「精気を吸う骨の塔」で自分のデッキを破壊して墓地を肥やすと同時に「闇より出でし絶望」などを展開するデッキです。

 【魔妖】の連続シンクロ召喚で「精気を吸う骨の塔」の発動条件を満たしつつ、デッキだけでなくEXデッキのモンスターも墓地に送ります。
 そこから「馬頭鬼」で高打点になった「シャドウ・グール」を蘇生して並べて一気に倒し切るというコンセプト。
 コンボが決まれば「シャドウ・グール」の攻撃力は4000~5000に軽く到達しているはずなので、①の問題点はクリア。
 ②の「カオス・ネクロマンサー」との差別化についてですが、一応「アンデット・ワールド」とともに投入すれば同じ運用自体は可能です。
 ただし、「アンデット・ワールド」で種族変更されるのはフィールドと墓地のモンスターのみ。手札やデッキでは元の種族のまま。そのため、「ピラミッド・タートル」でリクルート、「ユニゾンビ」「氷の魔妖ー雪娘」でデッキから墓地送り可能で、「逢華妖麗譚-不知火語」の手札コストとして使用できる「シャドウ・グール」と比べるとデッキ単位での安定感では大きく劣ります。
 60枚組みデッキで初手が安定しない上に、「アンデット・ワールド」が必須なデッキでもないので、事故率を考えれば「シャドウ・グール」が優位と言って問題ないでしょう。

 アンデット統一だからこそ安定してコンボを狙える、それが【魔妖グールタワー】です。

相性のいいカード

 汎用よりコンボ成立に特化した構築のほうが使いやすい。

・「翼の魔妖ー波旬」
・「魔妖廻天」
・「ワン・フォー・ワン」
 【魔妖】の初動。波旬から妲姫をリクルートして連続シンクロ召喚可能。

・「ユニゾンビ」
・「牛頭鬼」
・「終末の騎士」
・「おろかな埋葬」
・「隣の芝刈り」
 これらで「精気を吸う骨の塔」を墓地に送り、「ギブ&テイク」で送りつける。別手段で塔の墓地送りや送りつけが出来る場合は「馬頭鬼」などを送る。

・「不知火の隠者」
・「逢華妖麗譚-不知火語」
 「ユニゾンビ」のリクルートとそのリクルート。場合によっては妲姫を呼ぶことも可能。

・「強制転移」
・「ギブ&テイク」
・「転晶のコーディネラル」
 塔の送りつけ用。場合によっては「ピラミッド・タートル」を送りつけることも。

・「ピラミッド・タートル」
 このデッキなら何でも必要なモンスターを連れてこられる。ただし戦闘破壊が条件なのが痛い。自爆が最善手か。

・「ヴェンデット・コア」
・「氷の魔妖ー雪娘」
 自己蘇生可能なレベル1アンデットモンスター。魔妖のシンクロ召喚が一巡しても、再度シンクロ召喚可能に。

デッキ構築

 60枚デッキで初手も安定しない上、相手の妨害も考えると無理してコンボのみを狙うより、状況に応じて相手のデッキ破壊に切り替えたり、普通に魔妖で殴ったりという選択肢も常に意識しないといけない。
 とはいえ、思ってたより決まりやすい印象。

メインデッキ(60枚)
・ヴェンデット・コア×3
・翼の魔妖ー波旬×3
・氷の魔妖ー雪娘×3
・麗の魔妖ー妲姫×3
・魂を削る死霊×1 ※正直なんでもいい
・精気を吸う骨の塔×3
・ユニゾンビ×3
・ピラミッド・タートル×3
・闇よりの恐怖×1 ※正直なんでもいい
・馬頭鬼×3
・終末の騎士×1
・不知火の隠者×3
・牛頭鬼×3
シャドウ・グール×3
・強制転移×3
・死者蘇生×1
・おろかな埋葬×1
・ワン・フォー・ワン×1
・隣の芝刈り×3
・魔妖廻天×3
・アンデット・リボーン×3
・逢華妖麗譚-不知火語×3
・ギブ&テイク×3
・トラップトリック×3

EXデッキ(15枚)
・轍の魔妖ー朧車×2
・毒の魔妖ー土蜘蛛×2
・翼の魔妖ー天狗×2
・麗の魔妖ー妖狐×2
・骸の魔妖ー餓者髑髏×2
・氷の魔妖ー雪女×1
・零氷の魔妖ー雪女×1
・転晶のコーディネラル×1
・ヴァンパイア・サッカー×1
・ヴァンパイア・ファシネイター×1

 使用感としては、存外上手くは行くものの、妨害やメタには激しく弱いのでだいぶピーキー。
 実績。

あとがき

 手間はかかるものの、アンデットに比較的少ない高打点をポンと出せるのはいいですね。相手が「増殖するG」を投げてきたらデッキ破壊に切り替えたり、「ジャックポット7」を足して特殊勝利を狙ってみたりと「シャドウ・グール」で殴る以外の選択肢も増やせるのも強い。ソロモードなら楽勝です。
 反面、妨害にはとことん弱いので、医学会的重症度は2かよくて3といったところでしょう。

 昨年最後のクソカード医学会は都合により参加できなかったので、また「悪魔の知恵」デッキの披露は先になりそうです。
 今年最初の医学会には参加できるよう、研究を続けていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?