書評:デザインのためのデザインその2

前回

今回は第1部 第1章 デザインの課題です。

  • デザインとは何か

    • デザインプロセスの共通性あるいは数多メディア(多分紙から建築物まで)のデザインに共通する属性を探求する。

    • 踏み込んで建築物などのメディアではデザインとメタデザイン(デザインのデザイン)の両方に長い歴史がある。それも含めて異なるメディアのデザイナ達の「デザイン」も探求できれば新しいことを学べるのではないか?

    • 上記議題からデザインとは何かを辞典"design "の定義から要点を抜き出し、創造的プロセスやBrooks自身のソフトウェア構築作業のプロセス・「アイデア, 実装, 対話のフェーズ」から明らかにしていく。


  • デザインコンセプト

    • Brooksはデザインコンセプトに出会い「真のSystem/360」を見た。ただし「Opreating System/360のソフトフェアファミリー」ではSystem/360のような体験はなく、理由として4つの別々の部品を結合していたという関係性にあったからではないかと考察した。


  • 価値はどれくらいか

    • 「目に見えないデザインコンセプトを実在する実体として認識すること」の価値について、素晴らしいデザインには機能だけでなく美がある。それは完全性の追求であり、チームの指針になることやチームのコミュニケーションの促進にもつながり、コミュニケーションの促進はコンセプトの統一にもつながる。

    • その中で相反するコンセプトが明らかになることもある。

    • Brooksは、System/360の例をあげながら、相反するコンセプトへの解決策が複数見つかるが、どれを選べばいいのだろうか?。

    • 解決策はどれも説得力のある主張があった。

    • 最終的に相反するコンセプトを求める最大の利用者コミュニティにとってなじみやすい策を選択した。


  • デザインプロセスについて考える

    • Brooksはデザインを考察することの歴史としてウィトルウイウスの時代まで遡り、デザインプロセスを考察することの歴史は近年になってから始まったとし、その中の画期的な出来事をいくつか挙げたあと、Brooksの著書「The Mythical Man-Month」とBlaauw and Brooks(1997), Computer Architecture: Concepts and Evolution中の関連性を記した。


  • デザインの種類

    • Brooksは複雑なシステムのエンジニアのデザインと画家・作家のデザインは重点が違うとし、そのどちらも兼ね備えるのが建築家と工業デザイナであるとした。

    • そして「デザインのためのデザイン」はシステムエンジニア向けのデザイン本である。

    • Brooksは短い橋のデザインとしての決定木・制約事項・要件はずっと以前にハンドブックとして明文化されていて、土木技師も知るところであり、広まっているとし、では「デザインのためのデザイン」の重点は?と問うた。

    • ハンドブック上でパラメータを変えるルーチンデザインではなく、加えて、新しい目的に合わせた修正としての先行のデザイン, アダプティブデザインでさえなく、オリジナルのデザインがこそが「デザインのためのデザイン」の重点であるとした。

「デザインとは何か」を紐解くのに「デザインプロセス」がキーになり、そのプロセスの共通性を考えた時に「デザインコンセプト」が一つの重要な要素であること。それらを踏まえて「デザインのためのデザイン」の重点はオリジナルのデザインであるとしている。

その2は以上になります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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