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SOSを素直に出せたあの頃の方が落ちぶれていなかったのかもしれない。ただ残念ながらわたしは今のわたしの方が好きなのである。弱さを曝け出す弱さと強さ、弱さを隠す強さと弱さ。大事なところは自分の中に閉まっておく方がずっとやさしい。

わたしの癖として、一生変えられない軸として、底知れぬ自己愛があると思う。たくさんの人とすぐに仲良くなってその中の数人にはそのままのわたしをほぼ知っている人もいる。それでもわたしは絶対にそのままの弱さや痛みを見せたりしないし、見せても理解してもらえないことを知っているし、隠すことで保たれる自分がいることをわかっている。わたしはわたしを守るために、自分の核を何重にもして鎖で繋いでいる。

結局のところ誰にも土足で上がってきてほしくなんてないのだ。ある程度人と距離を置いて、誰かひとりに背負わせるなんてもってのほかで、自分の形を保つためにたくさんの人と会って、その度に他者と己の間にある深い谷を見下ろす。そうして心底安心する。わたしはあなたじゃなくて、あなたはわたしではない。いつだってずっと他人同士で、お互いの知らないお互いが存在し続ける。わたしの中にわたしを囲う砦があるというのは救いだ。

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