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秋季リーグを終えての振り返り

はじめに

皆さんお久しぶりです。

先週の順天堂大学戦をもって我が筑波大学男子ハンドボール部の関東学生リーグの秋季リーグ全日程が終了しました。

どの競技も同じ状況だったかもしれませんが、学生ハンドボール界ではコロナウィルスが蔓延し始めた2020年の春以来、3シーズンぶりに全日程を消化することが出来ました。

ヘッドコーチに就かせてもらった今年の4月から気がつけば6ヶ月経ちましたが、失敗をたくさん経験しつつ、周囲のスタッフや選手たちに助けられ、なんとかやってこれました。

今日は秋季リーグを終えて一区切りがついたということで、ここまでの取り組みを書いていきたいと思います。

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秋季リーグ結果

筑波大学は6勝3敗で4位でした。

優秀選手にキャプテンの朝野翔一郎、特別賞に藤川翔大、新人賞に朝野暉英が選出されました。

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優勝の中央大学は無傷の8勝1分、インカレシード決定戦でも戦いましたが個々の力が際立っていながらメインのメンバーが要所をしっかりと締められる、チームでかなり良いチームでした。

その中央大学と唯一痛み分けをした国士舘大学、こちらも個々の力がしっかりとありつつ、チームとしてどう戦うか全体によく浸透しているチームだと感じました。監督の豊田さんがどんな指導をしているのかとても気になります。やはりお話を聞きたい...

リーグ戦、やっぱいいなあ...

さて、私たちハンドボーラーは大学に上がってリーグ戦というものを経験するまで、いわばハンドボールをプレーする「武士」なんだと思います。それは選手に限らず監督、コーチも。

なぜなら負けたら終わりの「トーナメント戦」で戦っているからです。

トーナメントは負けたら終わり、武士でいうところの「腹切」が待っています。もちろん実際の試合に負けたとしても腹を切る必要は全くないのですが、負けたその日からあったはずの次の試合がなくなってしまうのですから、当然その試合に全身全霊をかけることが多くなります。

するとどうでしょう、試合に出る選手は限定的になってしまい、ゲーム展開も負けないように堅いものにならざるを得ない。遊びの幅というか、チャレンジの部分がなくなってしまう感じです。

対して、リーグ戦は負けても次の週にはまた試合ができます。最低でも9試合は確約された試合経験の場なのです。対戦相手が違えば試合の設定、目的なんかも変わってきます。

今回は例年1ヶ月半でやるところ、2ヶ月かけた長いリーグ戦だったので、ずっと同じ戦いをすることは出来ません。チームの雰囲気がのぺ〜っとしてくる感じわかりますかね、こう、次に何やったら良いかわからない感じ、これで良いのかって疑問が常に頭の中に浮かんでいる感じ。

多少の浮き沈みはあるでしょうが、リーグ期間を通して、実際のゲームを通して新しい目標を設定して、時にはチャレンジもしつつ、上がったり下がったりを繰り返しながら最終的には成長している。そんな経験ができるのがリーグ戦のいいところだと改めて感じました。

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実際にうちもチーム全体で見ても良い日と悪い日があって、選手個人でも調子のいい日、悪い日をどう消化するか、どう次へのモチベーションに変えていくことができるのかが課題でした。

それでもまた試合ができる、いろんな挑戦が出来る。そんなリーグ戦はワクワクしましたし、次が約束されている安心感もあります。

ただ長いリーグになれば、チームは疲弊していき、変化を求められるタイミングがあります。

水は流れていれば腐らない

川に行けば大量の水が流れていますが、変な匂いはしないし、中には飲める水もあります。誰かが消毒用の塩素を入れているわけでもないし、掃除のおじさんを週に一回雇っているわけでもありません、でも腐らない。反対に、雨の後家の前に置いておいたバケツに溜まった水はすぐに淀み、夏場ならボウフラが湧いたり悲惨な状況になると思います。

リーグ期間を通してチームもそんなイメージで機能しているんだと感じました。

例えば、試合が終わった次の日をイメージしてください。試合には勝ったとしましょう。今のチームの現状はどうなっているのか、来週に向けてどんな目標を設定するのか、それらを一切伝えることなく普通にトレーニングを積んで、また試合に望む。

そんな週が5回も続いてみてください。皆さんは、たとえ勝ち続けていたとして、も、どうしてハンドボールをやっているのか訳がわからなくなって、きっと頭がおかしくなります。なんで勝ってるのかわからないって気持ちが悪いんですよね。

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また逆も然りです、負け続けているけど何もアクションを起こさなければ練習に行くのも億劫になるくらいチームの雰囲気は悲惨なものになるでしょう。

だからこそ、常にチャレンジが必要なのです。

前の試合からわかったチームの弱点を克服するための取り組みを、また長所を伸ばすような取り組みをしていかなければなりません。

誰かが怪我をした場合や、調子が悪くてベンチに下がることを想定しなければなりません。そのためのトレーニングをしておく必要があります。

でも大学生なんかは、なんとなくのイメージで方向性を決められるのは嫌だと思います。なんとなく攻撃うまくいっていないんじゃね?もっと走った方が良くね?

こんな提案が実は合っていたとしても、選手たちが納得して取り組んでもらうために工夫をしなけらばならない。そんな時に私が頼ったのは「データ」です。

納得しないと動かないタチだった

リーグの半分が終了し、試合をリアルタイムで見ているだけでもなんとなくの情報は入っていきます。でも、その感覚と実際のゲームの内容、データは一致していないかもしれない。

もし合っていなかったら、これから提示する方針も間違ったものになってしまう。

そう感じたことがデータを見るようになったきっかけです。

中学の頃の顧問の先生がよくデータの話をしてくれていたこともきっかけの一つかもしれません。

自分が考えたこと、感じたことをどのように選手に伝えるか。

リーグ期間で一番苦労したことです。自分の頭の中で出来上がっている勝利へのイメージ、チームが成長していけるイメージをどう選手たちに伝えるか。

具体的にはこんなものを作ってみました。

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こんな感じで、なるべくシンプルにまとめて動画とリンクさせて具体性を持たせ、選手たちがどう変わっていくのかをイメージしやすいように組み立てました。

これまでの試合で情報局が出してくれたデータを自分なりに分析、またその元データがものすごく有用なんですけど、またの機会に。

結局のところ、私がどれだけ頑張っても選手との間に温度差があったり、考えていることが違ったりしていれば機能することはないでしょう。

その辺は少し成長できたかもしれないポイントの一つです。もっとうまくならなきゃ行けないところでもあります。

スタッフに助けられ、選手に助けられ

筑波大ハンド部の一番の強みは「人がたくさんいる」ことだと断言できます。

スタッフ陣には監督の藤本先生はじめ、GKコーチ1人、大学院生コーチが私含め4人、帯同してくれているトレーナー陣が3人、他にもケアスタッフが数名、あとはメンタル面でのサポートをしてくれている慶應義塾大学の東海林先生、ストレングスコーチの川谷さん、食事の面でサポートしてくれていた田野島さん、などなど他にもチームに関わってくれている方々に支えられて成り立っています。

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こうして書き連ねていくととんでもない組織だと改めて感じます。

それぞれの分野でのプロフェッショナルがチームをより良くするために動いてくれる。試合中にベンチの前に立って指示することは全体の仕事量からすれば1%にも満たないと思っていて、その1%でさえ藤本先生やコーチの加藤、アシスタントコーチの三輪、牧平の助けがあって初めて成り立っているのです。

練習ではメインの6:6やミニゲームは私が仕切りますが、ウォーミングアップやシュート練習などはその日の全体的な目的に合わせてアシスタントコーチに組んでもらったりしています。

試合の日も人数制限の関係で現場に足を運べないコーチ陣がパソコンの前に張り込んで俯瞰的に試合を見ながら現状や改善のためのアイデアなどを遠隔で送ってくれています。

選手たちにも助けられています。

先ほど書いたように、私がいくら方向性を示したとしてもそれに共感し、周囲に影響を与えてくれるフォロワーシップのある選手が必ず必要になります。

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私が選手に伝える言葉は不完全です。選手自身が意図を解釈し、自分の考えと統合しつつ選手自身の言葉にして周囲に発信してくれることでやっと私の意図が伝わるというか、それくらい拙い言葉なのだと自覚していますし、これからもっと上手な伝え方を学んでいかなければいけないと思ったリーグ期間でした。

インカレが始まってしまえば、私にできることはほどんどありません。勝負はそれまでの3週間。これからどこまで準備できるかです。

初めの一週間はコロナワクチンによる副反応で潰れてしまいそうですが、笑

残りの期間、しっかり準備して、筑波のハンドボール、浩壽のハンドボールをインカレでお披露目できたらなと思っています。今からもう楽しみです。

さて、今日はこの辺りにします。

ご意見ご感想お待ちしております、ぜひ一緒にお話ししましょう。

本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 ヘッドコーチ 森永 浩壽

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2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。