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デンマーク代表のトレーニングを見て考えたこと

目次

1.はじめに(どっちが需要あります?)
2.彼らを見れたきっかけは○○
3.U-20男子代表のトレーニング
4.フル代表のトレーニングは○○分
5.さいごに(鵜呑みはだめ)

1.はじめに

久しぶりにデンマーク留学の内容に戻ります。
コロナで自粛が世間に広がる中、需要があるかどうか判らない内容を投下するのは少し気が引けます。

もともと留学している時から、
「帰国してから、内容を振り返ってまとめる。」
ということは決めていました。

10ヶ月という少ない期間中に記事を書くと、それだけでかなりの時間を、これに割いてしまうことになることを危惧したためです。

現在生活を送る中で、コロナを絡めた思うことがポンポン浮かんでは来るのですが、少々こちらの内容にもお付き合い頂けると嬉しいです。

このnoteのコメント、またはTwitterのリプライでも留学の内容について記事にして欲しいことがあればリクエスト頂けると、とても参考になります。

本日は、去年2019年10月21日、22日にハンドボール 、デンマーク代表のトレーニングを見て感じたことや、そこから考えたことを話したいと思います。

21日にデンマーク代表U-20、翌日の22日にフル代表のトレーニングを見ることが出来ました。

1つずつ、見た事や思った事を書いていきたいと思います。

2.彼らを見れたきっかけは○○

僕がこのような素晴らしいコーチング勉強の機会を得られた理由。

それは単純に『幸運』です。

どういうことか、さらに説明すると

僕が所属する学校の選手コースと、コーチングコースを掛け持ちするようになったからです。

1番最初のノートにざっと今回の留学の概要をまとめています。そこに学校のこと、クラブチームのことを書いてあります。そちらも読んでみてください。

https://note.com/kojuhand/n/n9648966e0762

10月は茨城国体に選手として出場するために、日本に一時帰国していました。

その一時帰国から戻ってきて、ハンドボール選手コースとコーチングコースを掛け持ち出来ないかクラウスに頼みました。

ほとんどの授業をデンマーク語で行うため、付いていくのが困難なコースでしたが、実際に足を運んで指導現場を見れることに魅力を感じ、参加させてもらっていました。

勇気を出して言ってみるもんです、その週に地域のU-12を対象にしたコーチングスクールが4日間あり、そのすぐ後に今回の主題である代表のトレーニングを見る機会がやってきます。

ラッキーの一言に尽きます。

3.U-20男子代表のトレーニング

このとき集められていたのは、国際大会で活躍した本来のメンバーではなく、惜しくも代表に洩れた選手たちでした。

トレーニングの流れは

1.ウォーミングアップ
2.体力テスト(ヨーヨーテスト)
3.パス→GKtr.
4.速攻6:5試合形式
(合計120分)

ヨーヨーテストを行う関係で、ウォーミングアップは2組に分けて時間差で行ったため、実際の選手の稼働時間は実質100分です。

本来のメンバーは今回はお休み。
その合宿の意図は、惜しくも洩れた選手たちのモチベーションを保つため。

そうして可能性のある選手たちをトレーニングし続けることで、この年代全体にいい影響を及ぼすのだそうです。

練習の中で、驚いたことが2つありました。

・GKのレベルが高いこと
・シュート力が凄いこと

このレベルの高さは日本とは比べ物にならないものを感じました。

「ボールの投げ方から違う。」

ボールのスピードがもうほぼシュートです。
ゴール幅なら、ボールが手から離れてから相手に到達するまで本当に一瞬。

しかも、音が凄いです。
普通なら取りづらいように思うかもしれませんが、松ヤニがベトベトのボールだと取りやすいんですよね。

これは僕自身、経験しないと判らなかったことでした。
自分がやってみて始めてわかることが多すぎます。

この感覚はこのときに関わらず、デンマークで生活するにあたり、ずっと感じてきた違いです。

なぜボールの投げ方が異なりうるのか、それは選手たちを取り巻く環境に違いがあることに他なりません。

その前日に帯同した地域のU-12の子供達は松ヤニをつけた経験がなく、ボールの投げ方も日本でよく見られる「アーム式」といわれる腕をぐるっと回すように投げる子がほとんどだったからです。

投げ方の話はこの辺にしておいて。

練習の後半で行った速攻練習は、とてもクォリティ自体は低かったものの、速攻を行う上での共通認識を見ました。いうなれば、とても「シンプル。」です。

技術的なクォリティとコミュニケーションが追いついてくると、安定して爆発的な攻撃力になるんだろうな。と予感させるようなものでした。

体力テストの後に、速攻練習をしているのでフィジカル的な余裕がない選手はここでボロが出まくります。

もしかしたら、コーチはその辺の基準を一つ設けて練習を見ていたのかもしれません。
あくまで推測ですが。

**4.フル代表の練習は○○分 **

この日見たデンマーク男子代表の練習は90分
その内訳は以下の通りです。

1.ウォーミングアップ(フットボール)
2.GKtr.
3.ポジションシュート各選手2周
4.セットの6:6+速攻まで

5分間フリーでランニングしてから、サッカーは10分くらいしていたのでハンドボールの練習は1時間強でした。
(サッカーは本当にどのチームもガチ)

前日に見たU-20の子達と比べると、何もかもがレベル違い。という感じでした。
(サッカーの話じゃないですよ。笑)

そもそも、テクニックの違い以上に、ずっと同じようなメンバーで試合をしているフル代表と、集まったばかりのU-20を比べるのはナンセンスかもしれません。

それを差し引いてもプレーのクオリティが違いました。一つ一つの動作に確かめながら動いている印象を受け、チャージングやオーバーステップ、パスミスを含むテクニカルミスもほとんどありませんでした。

目の前でプレーしている選手たちがスーパースターなのを考えなけば、なんのへんてつもない普通のトレーニングでした。

やっているメニュー、やっているプレーの種類。
そのほとんどがありふれたものでした。

だからこそ、

「これはやばい。」

と思いました。

何か特別なことをしていて欲しい。と、日本にいるときからずっと思っていました。

それを持ち帰れば、日本も強くなる。
それは全く間違った考え方なんだろうと、思い知らされた日でもありました。

それは、ひたすらにシンプルに洗練されたハンドボールに、デンマーク代表の素晴らしい個が合わさり、真似のできないシンプルさを産んでいました。

簡単には真似できない、もっと根本的な所からトレーニングと環境を整えないと、このシンプルさには敵わないんだろうと思ったのを鮮明に覚えています。

↑憧れの選手(スヴァン選手)との記念撮影


5.さいごに(鵜呑みはだめ)

この記事の最後に、声を大にして言っておきたいことがあります。

それは、「どうかこの記事に書いてある練習時間やメニューを鵜呑みにしないで欲しい」ということです。

この練習メニューはただの事実として受け取って欲しいのです。
「デンマーク代表はこんな練習をやっている。」
というただの事実としてです。

トレーニングを組むときは、そのカテゴリーに求められる能力と個人にフォーカスしていく必要があります。

技術トレーニングと体力トレーニングが必要な伸び盛りの中学生に対して週に3回90分のボールトレーニングは、圧倒的に少ないです。

たしかに、1度の練習で3時間、4時間の長時間トレーニングをすることは非合理的だと思います。

しかし、だからと言って120分で終わらせるトレーニングが全て良いということにはなりません。

各カテゴリーの選手の発育発達に適したトレーニングを組む必要があります。

デンマークで行っているように90分で終わらせるトレーニングは、僕が思いつく中でいくつかの意図があります。

<選手の心身に疲労を残さないため>

この練習があった10月の中旬は、ちょうどリーグ戦が始まったばかりの時期です。
少なくとも週に1回、クラブチームでのゲームがあります。

週末に試合が控えている選手を週に1回でも追い込んでしまうと、その週のトレーニング量を大幅に落とす必要が出てきてしまいます。

でないと、頭と身体の疲労でゲームにおいて良いパフォーマンスを発揮できなくなる可能性が出てくるためです。

<技術トレーニングと戦術トレーニングのバランス>

代表チームにおいて、考えなくてはならないことは「チームとして成熟させること」です。

普段異なるチームでプレーする選手たちが、一堂に介し、同じチームとしてプレーする。
そのため時間を割かなければいけないのは技術練習ではなく、戦術トレーニングになります。

加えて、そのバランスはプレーヤーたちの成熟度によって変わっていきます。

jocで選ばれる県選抜のチーム作りと、代表チームのチーム作りは同じではないということです。

1度の練習で「技術トレーニング」と「戦術トレーニング」を充実させようとした場合、90分に収めることはとても難しくなります。

<強度を高く保つため>

デンマークの練習は同じメニューは長くても15分。
大抵のメニューは10分で終わります。

その中でも条件のバリエーションを加えることで、選手たちが主体的に考えながらトレーニングできる環境を作り出しています。

こういった練習を3時間も続けられるチームや個人はいないといっても過言ではありません。

「長く練習する=考えることを放棄する」
に近いと考えていいと思います。

考えずに行うトレーニングは強度が低く、なおかつ怪我の危険を常に孕みます。

加えて、少し物足りないくらいで練習が終わることは、次のトレーニングへのモチベーションに繋がります。

誰しも経験があると思いますが、もっとやりたいと思っていたところでトレーニングが切り上がると、次のトレーニングまで待ち遠しくなりませんか?
それです。笑


僕自身、これからトレーニングを組む上で大学生、高校生、中学生、小学生と各カテゴリーの特性を踏まえた上で、この辺の理由を考えながらトレーニングを組むようにしていくつもりです。

今はコロナでコーチングする機会はありませんが、いつか活動が再開出来る様になったときには思いっきりハンドボールを楽しみたいと思います。

今は悲しいニュースの方が多く、どうしても前向きになれないときもあるかと思います。

我慢することも大事だと思います。
それに加えて、出来ることを模索してみたり、新しいことにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

僕も帰国して、やる気に満ち溢れていたタイミングで自粛になり、活動が満足に出来ない現状です。

やっと明日から大学院の授業がオンラインで始まるということなので、学業の方も気を抜かずに頑張っていきたいと思います。

まとめが長くなりましたが、いかがだったでしょうか?そんなの知ってるよ!と言われる内容になっているかもしれませんが、どうかお許しください。

記事の冒頭にも書きましたが、質問や記事のリクエストをこのnoteのコメント欄、もしくはTwitterのリプライやDMでも、頂けると参考になります。

面白いと思っていただけたら引用リツイートで感想や思ったことを言っていただけると尚更嬉しいです。

今回はこれくらいで、ではまた!

森永 浩壽

↑家の前から見た夕焼けです🎈



2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。