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ウクライナ危機のために私たちができること。

ウクライナ国内の状況が急変してから、すでに2週間が経ちました。OHCHR(国連人権高等弁務官 - UNHCRとは違う)によると、2月24日から3月8日の間に、1,424人の民間人が巻き込まれており、そのうち少なくとも516人の命が奪われています。UNHCRはすでに200万人が避難民として隣国およびその他の国々に逃れたことを報告し、ウクライナの人道カントリーチーム(国連とNGOからなる人道危機対応チーム)は、国内で1,200万人が人道支援が必要な状況に追いやられていると見積もっています。

ウクライナ危機は今年で8年目に突入し、先の読めない状況はまだまだ続きそうですが、寄付以外にも私たちにできることは沢山あります。今回のウクライナ危機もそうですが、人道危機が発生するたびに「海外に住む私たちはいったいなにができるのか」という質問を良く受けるので、私たちにできることを簡単にまとめてみました。

重要なのは意識を持ち続けることと、批判的に考えること。これらのアクションが直接紛争解決をもたらすことはありません。私たちにとって大切なことは、政治家やNGOに協力し、働きかけていくことで、支援の必要な人々に適切な支援が届くことや、国際コミュニティに開かれた和平交渉の場が形成されることを確実にしていくことです。

寄付をするNGOにリクエストする
一番手っ取り早くて、達成感もあり、効果が確実なのは、やはり寄付だと思います。難民の数は増え続け、受け入れ国の負担も増加し続けています。寄付先の選び方に関しては、こちらに簡単にまとめたので、この記事を参考にしてみてください。

また、国内に拠点を持つNGOに寄付をすることを決めたのなら、それらのNGOを通して、日本政府への働きかけがきちんと行われることをリクエストすることもできます。多くのNGOにはアドボカシーチームがおり、市民の声を代表して、定期的に日本政府に対して働きかけを行っています。日本政府への働きかけは、遠慮せずにNGOにお願いしていきましょう。もし、何を日本政府に対して働きかけてもらえばよいのかわからない場合には、「人道支援のための拠出の増額」あるいは「国内での難民受け入れの強化」で大丈夫です。

周りの人とウクライナの話題について話す
人の気持ちは移ろいやすく、人道危機が長期化すると、多くの人の関心はどうしても薄れてしまいます。また、世界で発生している人道危機は実に数が多く、2022年の始めには、世界中の37の人道危機に対して、国連は対応計画を用意しています。ウクライナやロシア、周辺諸国についても、時が経つにつれ、状況は変わり、必要なニーズも変わってきます。紛争の解決策も異なっていきます。常にニュースに関心を払い、周りの人と話し続けていくことによって、人々の記憶から抹消されることを防ぎましょう。

日本政府の動きを追っていく
紛争当事国に対して、どのような制裁を加えているのか、あるいはしていないのか、きちんと確認していきましょう。日本政府の経済制裁措置については、こちらのサイトからも確認することができます。私は個人を対象とした資産の凍結ではなく、一般の人々の日常生活に影響を与えるような制裁はするべきではないと考えますが、どのように思いますか?周りの人と話し合ってみてもいいでしょう。

また、周りに市議会や国会議員の知り合いはいませんか?もしかしたら、同級生のお父さんやお母さん、友達の友人が議員の人につながっているかもしれません。議員の人たちに私たちが関心をもっていることをきちんと伝えていくことも大切です。SNSを通して、直接働きかけることも有効です。議員や選挙候補者に具体的に何を伝えればよいかわからなかったら、取り急ぎ、NGOへのリクエストでも触れた通り、「当該国への人道支援の拠出の増額」か、「国内での難民の受け入れの強化」を訴えましょう。

SNSでは信頼できる情報のみを流す
多くの人が利用しているSNS(フェイスブック、インスタグラム、ツイッターなど)では、ウクライナ戦争に関する多種多様な情報が流れてきますが、残念ながらすべての情報を信頼できるとは限りません。ニュースや写真を拡散する際には、必ず信頼できるソースから来ているか確認してから行いましょう。とはいえ、多くの人は自分のアカウントに届くニュースは、大概、正しくて信頼に値すると無意識に判断してしまうものです。意識して、むやみな拡散を控えるのも正しいアクションだと思います。

インディペンデントメディアを支援する
紛争に関する正確なニュースを入手することは想像よりも難しいものです。紛争地を含む人道危機の影響を強く受けている地域を、取材のためにアクセスすることは難しく、限られた情報のみが取り上げられる傾向が強まります。よって、そのような状況のもと、独自の調査を行い、最新のニュースを発信している独立メディアを寄付などを通して応援していくことも私たちができる支援の1つです。ジャーナリストたちに敬意を払い、現在、実際に発生している危機的状況がきちんと記録、報道されるようサポートしていきましょう。そのような記録は、紛争終結後の平和構築の過程においても役立ちます。

日本での難民の受け入れを支持する
日本政府は早い段階からウクライナからの難民の受け入れを表明していましたが、その全容は明らかにされていません。これを機に、ウクライナ難民に限らず、国内の難民受け入れ体制が整えられるように要請していきましょう。「ウクライナからの難民のために、日本が取れる7つの拡充アクション」のような電子署名キャンペーンに参加することも一つの立派なアクションです。

企業として何ができるのか?
最後に、企業としてウクライナ危機のために何ができるのか考えてみましょう。2022年3月初頭に国連がガイドラインを発表していますが、民間企業に求められるのは、「原則に則った支援」の実施です。人道支援には過去の経験から築き上げたルールがあり、コレクティブインパクトを目指すために、各組織、団体、企業が調整して支援活動を展開していきます。国連が出す緊急アピールに目を通すだけでなく、対応計画に則った形の支援を行いましょう。これらの書類は「reliefweb」上に、まとめられています。

もし、自分たちがどのように貢献できるのか分からなかったら、国際NGOや日本国内で人道支援をとりまとめるジャパン・プラットフォームといった組織に協力を求めましょう。資金援助にしろ、物資の配給にしろ、現実的なオプションを提示してくれるはずです。また、ウクライナやロシアでのビジネス界とすでにつながりのある人たちは、そのチャンネルを閉ざさず、ビジネス界のリーダーたちの交流をサポートしていくべきです。戦争がもたらす両国の分断を阻止し、ビジネスリーダーたちが和平をリードできるように支えていきましょう。

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