(4)近隣が待ち望んでいた現場
ケース③
現場:都内某所(高級住宅街)
部屋形態:一軒家2階建
依頼者:家主の奥様
豪邸が建ち並ぶ通り、
もれなく玄関先に付いている防犯カメラ。
高級車が一家に2台は当たり前。
そんなみんなが羨む高級住宅街が今回の現場です。
いつもこの仕事は現地集合なので、地図に住所を打ち込み現場に向かいます。この日もいつものように地図を見ながら現場に向かい…
キレイな家とキレイな家の間に、様子のおかしい家が見えてきました。
で、到着!
今回の現場はこちらです。
高級住宅街だったので、余裕こいてました。まさか、こんな仕上がった家がこの住宅街に存在するとは…
こちらの家は老夫婦の2人暮らしです。元々はご家族で住んでいたのですが、お子さんは自立された為、住まいは別で現在はお2人でお住まいとの事。ある日、旦那さんがご自宅で倒れられたそうです。救急車を呼び運んで貰おうとした所、玄関先がこんな状況だった為、担架で運び出すのにかなり苦労したそうで…その後、病院でキチンと処置したおかげですっかり元気になり、退院を迎える事になったのですが、担当医に健康上にも良くないので、家を片付けないと退院させないという理由で、20年の時を経て片付ける事になったそうです。救急隊員の方も、駆け付けて玄関先がこの状態でさぞかし困ったことでしょう。
家に入る前からなかなかのゴミ屋敷です。
ちなみに、この部分は見ての通り屋根はないので、雨ざらしです。なので、置いてある発泡スチロールやプラスチックの箱や空の水槽などの中に雨がしっかり溜まり池化し、そこで生態系ができていました。掌サイズの蛙が出てきたり、仔猫くらいのネズミが出てきたり…カラスなどの天敵から身を守りやすいからなのか、個体の成長っぷりが…とにかくものすごくすくすく育ってました。
私達が片付けている最中…1人の女性が近づいてきて、
『えっ?あなた方は、区の方?ここの人、引っ越すの?』
と聞いてきたので、
『引っ越しではないですが、片付ける様に依頼がありまして…。』
と話すと、
『やっと!やっとよ!20年だからね!20年!』
と嬉しそうに話し始めました。
ここの家主は、隣人から片付ける様に何度も忠告を受けるも全く聞き入れず。仕方がないので区から家主に言って貰う様にお願いした所、区から注意が出来るケースは、異臭、害虫、害獣などの被害があった場合のみとの事。確かに現場が異臭を放ってるついう訳ではありませんでした。しかし明らかにここで発生したであろう害虫やネズミなどが隣の自分の家にも入ってくるそうで、直接言っても聞かない、区も処置出来ないという状態が20年も続いていたそうです。
『…で半ば諦めてたんだけど、あらそう!良かったわ!片付ける気になってくれたのね!そう〜♪ありがとうね!忙しい時に話しかけてごめんなさいね!ご苦労様!』
と、嬉しそうに帰って行きました。確かに、ただでさえ普通より高い値段を払って土地を買い、大きな家を建て住んでいたら、隣りがどんどんゴミ屋敷になっていく…簡単に引っ越しもできないので、近隣の方々はかなり苦労されたと思います。
『これ…今日の夜は宴やな…』
それくらい、嬉しそうなお隣さんでした。家を片付けて家主に喜ばれる事はよくありましたが、隣人にお礼を言われたのは初めてだったので、こちらも気合い入れ直して作業のテンポを上げていきます。やはり、喜んで貰えるとシンプルに嬉しいもんです。
まずはこの状態から…
鉄が含まれている物とそうでない物と分けながら搬出。ゴミの焼却炉の関係で鉄は燃えない為、細かく砕く必要があるので、他のゴミなどと処理して貰う場所が違います。後、鉄は売れるらしいです。
仕分けをしながら作業していき、2時間程で、この状態。
結構片付きましたよね。
こうなるとお分かりかと思いますが、車一台余裕で停めれるくらいの広さがあったのです。
後、その奥にもスペースがあり、玄関までストロークがあるのがわかると思います。
この家、ホントに立派な家なんですよ。
これだけ片付けてやっと表札が見えるようになりました。ここからまたさらに片付け…
何ということでしょう!こんなにキレイになりました!依頼者のご希望で、雨ざらしの状態で外にあった電子レンジと洗濯機と冷蔵庫は残しという事で。
使えるかどうかわからないのであればこの機会に全て捨ててしまった方がスッキリすると思うのですが…
結構、ゴミ屋敷の方、このパターン多いです。依頼者が家主ではない場合は、
『もう全部捨てちゃってください』
と言われるのですが、家主が依頼者の場合は、
『残しといて。また使う事あると思うから…』
今までずーっと使ってなかったにも関わらずだいたい皆さんこう言います。勿体ないという精神は大事な事ですが、これを機に一気に捨てる!という思い切りもこの場合には大事な様な気がします。
で、実際出て来たゴミの内容は、
主に…
洗濯機、電子レンジ2台、旅行用キャリーケース約20個、ブラインド約10個、ラック6台、
傘20本以上、タイルのテーブル2つ…
後、バラエティ番組で司会者が肘置きにしてそうなテーブルが2つ…
どんなんだっけ?って思った方、
こちらです…↓↓↓↓
こういうのって、
舞台裏とか劇場とかでは見た事ありますが、
一般家庭の玄関先から出てきたのは初めて見ました。
これは、お金持ちの家だからある物でもないですよね?
いやぁ…謎。
どこで購入したのかも、何の為に購入したのかも、幾らで購入したのかも謎です…。
あと、何個もあったブラインド。謎だったのは、横幅が30cmくらいしかないものばかりだった事です。しかも何個かは未開封。何の為に購入されたのか、私なりに考えてみたのですが、その結果、どうやらこのゴミの上にこのブラインドを掛ける用なのではないか?という所に落ち着きました。確かに何箇所かは、ゴミを覆う様に置かれていたのです。家主的にこのゴミ達をどうにかしないと…と少なからず思っていた時期はあった様です。
この後、自宅の中も掃除するのですが、
この日は時間がないので、掃除は別日で…との事。ちなみに見積もりに行った社員によると、家の中もかなりの状態で、ゴミが溜まりすぎてこたつを覆ってしまい使いづらくなった為、ゴミはそのままでこたつの脚の方を底上げし使用してるという…。その発想はなかったですね。
しかし、片付ける事になってくれて良かったです。玄関先がこれだけキレイになれば、ご近所さんとの関係も良好になるかと思います。ここのご夫婦もご高齢なので、何かとご近所さんと連携が取れてる方がいいでしょうし…。
ただ、ご近所さんと仲良くなり過ぎても結構面倒な事になるんだ…という事実もあるっちゃある訳で…。
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