(1)初めての現場 

ケース①
現場:埼玉某所
部屋形態:マンション3LDK
 依頼者:家主の妹


元々はこの家にご家族でお住まいだったそうですが、お子様の自立、奥様との死別等で、広い家に一人暮らしに…。
寂しくなり猫を飼い始めたらしいのですが、家主が急遽入院。何日後かに依頼者が家主の着替えを取りに家に入った時に猫に気付き、そこから依頼者が定期的に訪れ、ご飯だけあげていたそうです。依頼者が連れて帰って飼えればよかったのですが、猫は引き取れないために、訪問スタイルをとったとの事。しかし、その生活が何ヶ月も続き、家に訪れるのが困難になり猫もこれでは可哀想という事で、保護団体に引き取って貰ったそうです。

寂しくなるとついつい動物を飼いたいと思う気持ちはわかりますが、
一人暮らしの方は特に自分が世話出来なくなった時の事を考えてペットは飼うべきですね。

その後も家主の入院が長引いた為、何年か空き家状態が続くのですが、退院後も老人ホームに入居する事が決まり、この家を売ろうという事になったそうです。で、部屋の中の物を全撤去して欲しいという依頼でした。

猫を飼っていた事もあり、埃と猫の毛が人が歩いたり家具を動かす度に宙に舞い、
勤務中、私は目の粘膜がパンパンに腫れて、かなりのアレルギー反応が出てしまいました。 
初めての現場でなかなかの状況…。
遺品整理をナメるんじゃないと洗礼を受けた気がしました。     

ここで私は、
こういう埃の多い場所での作業にはメガネが必需品だという事を知りました。
作業中のマスクもそうですが、
メガネをするだけで目の中に入る埃をかなり減らす事が出来ます。
2度目の現場からメガネを持参する様になったのですが、エラいもんで3〜4回現場をこなしたら、埃に対してのアレルギー反応は起こらなくなりました。ホント、慣れって凄い…。
目がパンパンに腫れた私を見て、埃をあまり吸わない様、マスクをニ重に着用する事をすすめられました。ただ、今思えばあの現場はマスクを2重にする程の現場ではありませんでした。何故なら、埃は凄かったのですが、ほぼ無臭だったからです。埃より本当に恐ろしいのは臭いです。臭いの恐ろしさを私は後に嫌という程思い知らされます。
で、言われた通りマスクをニ重にすると、呼吸のしづらい事しづらい事!苦しいので隙を見付けてマスクをずらして呼吸する…という行為が何度か続くと、埃まみれの汚れた手で触ってしまう為、マスクが予想以上に汚くなります。今の時期だと作業用のマスクと現場までの道中のマスクと分けてないと、この汚いマスクのまま電車に乗ったら、白い目どころじゃ済まないかもしれません。

後、ラバーのついた軍手。
最初は、手が汚れない為に白い軍手を持って行こうと思ってたのですが、それだとすべるすべる!
掌にラバーが付いてるタイプじゃないと、
重たいダンボールなんて持てたもんじゃないです。
100均にもこの類の軍手はあるのですが、
やはり200円近くする軍手の方がラバーがしっかりしてます。のちに100均の軍手を買って、ラバー部分が変なコーティングのせいでツルツル滑り、使い辛かったので…。

それから、靴下。
靴は汚くなるからと言われ、作業用の靴を持って来る様言われてたのですが、
靴下まで気が回らず、作業終わった後、
野球部並みに靴下汚れてました。
それは言っといてよー!

しかし家というのは、誰も住んでないとこんなにも汚くなるものなのかぁ…。
かつては息子さんが使っていたであろう部屋、何年もほったらかしのカレンダー、放し飼いの猫にやられたボロボロのふすま…
生活感はあるのに、生命を全く感じられない部屋。

赤の他人の部屋で作業をしながら
ここにこんなに埃が立つ前は、人が集まり会話が飛び交い家として機能していたんだなぁ…そこからだんだんと人が減っていき今や空き家と化してしまった家…何だか寂しいなぁと勝手に感傷に浸っていると、
身体中、至る所に手の平サイズの埃がたくさんついてました。

『うわっ!埃だらけだわ!ここ、結構なゴミ屋敷ですね…』

と言うと、

『あれ?ゴミ屋敷やった事ないっけ?ここはゴミ部屋じゃないよ。全然キレイじゃんここ。』

と言われ、
いやいや、こんだけ埃が舞っててゴミ屋敷じゃないって…

と思ってましたが、今思えば、
確かにあれはゴミ屋敷ではありませんでした。

なぜならちゃんと床の素材が確認できていたからです。

床の素材が確認出来る現場はゴミ屋敷ではない

そう…本当のゴミ屋敷はこんなもんではありませんでした。

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