(2)初めてのゴミ屋敷

ケース②
  現場:埼玉某所
部屋形態:3LDK(マンション)
 依頼者:家主本人(70代)

何十年もこの部屋に住んでおり、ゴミ屋敷になってしまったが、それでもなお住み続けていたのですが、
この家の奥様がご年齢の為、車椅子で生活をする事になったそうです。
この状況では車椅子で家の中には入れないという事で片付ける事に…

しかし、これはいい機会だったのかもしれません。悪い状況から何かを機に脱却しようと動く第1歩は
いくつになっても大事な事です。

遺品整理といっても今回のケースの様に、
家主はご健在で片付けて欲しいという依頼も
たくさんあります。
引っ越し屋との違いは、
処分する物が多いと依頼される事が多いです。
やはり、大きな家具、家電、その他諸々…
ゴミの日に出せそうにない物を一気に処分する場合です。 
勿論、処分して欲しい物と残したい物があり、
残留物を別の場所に運んで欲しいという依頼も
よくあります。

で、今回の現場…
まず玄関を開けて目に入ったのは、
本本本!至る所に本!
床に大量の本が膝の位置くらいまで積み上がっているのです。
その本の波が、奥の部屋から玄関までたどり着いていました。
靴の上に本。トイレの中にも本本。廊下にも本本本。
初めての異様な光景でした。

これがゴミ屋敷かぁ…

角を揃えてキレイに積んでるわけでもないので、
本の上を踏んで歩いていると本同士が重なって
チュルンチュルン滑ります。
これはかなり歩きづらい…
しかし、この本の山中にも獣道の様な動線らしき道が出来ており、ここを通ってリビングへ行き、台所へ行き、外へ出る…ルートがよく分かります。

で、この積み上げられた物…
よく見ると、ちょっと厚めの小説から、単行本、雑誌…
本の種類のジャンルは問わずです。
本に紛れて、洋服や鞄、VHSなどもあります。

これらは、何年もかけて積み上げられたらしく、
途中、
マイケルJフォックスが『カッコインテグラ』と 
車と映ってる裏表紙の雑誌や、
高島忠夫夫妻の料理本など(ご夫婦で料理番組をやってらっしゃいました)…
30年以上も前のものまでがその本の山に存在していました。
こういうの欲しがる人、いるんじゃないですかね?


家主が法律関係のお仕事をしてらっしゃったので、六法全書や法律に関係する本、
推理小説系や雑誌の明星。(漢字で『明星』よ、漢字!)
後、掃除の本系が、10冊くらい出てきました。

きっと、片付けよう!という意志はあって、
その本を買って来て読み、そしてその本の山に投げ入れまた本が増える…
キレイにする為に読もうと思って買った本が、
ゴミの一因となってしまう…。
ミイラ取りがミイラになる的な感じでしょうか?
違うでしょうかね?合ってます?
ちょっと違うのか…?


ミイラの一件はさておき…
本は紙として業社に売れるそうなので、
普通の布やプラスチックなどのゴミとは一緒にせず、
本だけでまとめて他のゴミとは別の処理業社に持って行きます。

ここで初めて知ったのが、


本は集まると重い


という事です。
図鑑や写真集の様な本は勿論の事、
掌サイズの単行本の小説、雑誌…
紙の集合体だと思ってナメてかかってたら、
普通の大きな段ボールに普通のゴミの様に
本をMAXパンパンに詰め込んだら、
持てたもんじゃありませんでした。

そしてそれを証拠に、
この部屋の床も大量の本の重みに耐えきれず、
所々、シナっていたり、穴が空いてたりと、
片付けた所でリフォームを入れないと住める環境ではなかったのです。家の床が重みによって穴が空くなんて初めて知りました。昔、2階建の『◯◯荘』みたいな木造のボロアパートの床が抜けて、2階の人が1階に落ちてきたというニュースがありましたが…
その方も確か、家にかなりの量の漫画本を所持しており、それが原因かだったそうです。ただ20階くらいはありそうな勿論エレベーターも完備されたちゃんとしたマンション。
このタイプのマンションでも床に穴は空くらしいです。まぁ、さすがに下の階まで穴は貫通していませんでしたが…

とりあえず、ひたすら箱に詰め運び出す作業…
作業をして行く内に、ここに住み始めた当初はちゃんと本棚に本をちゃんと仕舞っていた事が判明。最初から床にとっ散らかしてた訳ではなかったようです。

床の絨毯の柄も確認出来るようになったし、結構片付いたなあ…と達成感に浸りながら何気なく開けてみると、
押し入れの中、天袋の中までも本がぎっしり!!
えっ?ここは布団とかが入ってるんじゃないのかい?
ここまで片付けて、この押し入れいっぱいの本を見せられると、一気に萎えます…。
これだけ片付けてもまだ本…まだまだ本…
この本詰め地獄、いつまで続く?

その昔…
囚人が朝から晩までひたすら地面に穴を掘らされて、また埋める…という拷問があったそうですが、
それに近いくらいの
『いつまで続くの?』感…
で、結局、この日は、7人くらい借り出され朝10時から作業を始め、16時終わり予定が18時終了。2時間も残業する事となってしまいました。
時間が掛かってしまった要因として、
小さな箱に本を詰める作業の為、ひたすら詰めていたのですが、思いの他、量が多くて、
段ボールが足りなくなり、会社に取りに行った事。エレベーターが1機しか使えず荷物をトラックに積む作業時間にロス発生。
勿論、残業代はしっかりいただきましたが、
効率良く動けないと、どんどん時間をロスしてしまいます。

疲れ切った状態で、
いやぁ…今日のゴミ部屋ヤバかったですね…

と達成感と共に話していると、

えっ?
今日のゴミ部屋は全然マシだって。埃は凄かったけど、虫はほとんど居なかったから。後、臭いもほとんどなかったね…

と言われました。
確かに、本に圧倒されて、臭いの事なんて全く考えもしませんでしたが、
ゴミ部屋にも色々な種類の物がある様です…。

#遺品整理 #ゴミ屋敷#芸人バイト



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?