挨拶をしない人、返事をしない人
職業柄、よく出てくる話題のひとつにZ世代との関わり方があります。
ひとつの例として彼らは幼少期から3Dのキャラクターが動くゲームで遊び、家に居ながら顔の見えない相手とボイスチャットを通じてコミュニケーションを取り、学校などの同世代の多いコミュニティーだけに留まらず、世代を超えた相手と同じ目線、同じ立場でゲームクリアを目指したりなど、私が過ごした平成の当たり前はもう当たり前ではなく、彼らの世代の多くが令和の当たり前の中で過ごし、社会に出ていくことになる。
正直、戸惑うことやかかわり合うことで感じる違和感は平成時代に感じたコンプライアンスなどとは一線を画し、一人一人が尊厳や考えをもち、それを発露する事が出来る世の中は彼らにとってもしかしたら居心地が良く、望んだ社会に近づいてるのかも知れないが、管理する側からすると、今まで自分たちがこれが正しいと思っていたことからの乖離が激しく、難しいなぁと私と同世代の方々とため息混じりの会話をすることも少なくない。
何が正しいかと言う理論を繰り広げるつもりはないし、Bossのような絶対的支配者が右に左にと決められたベクトルを指図されるような時代に戻したいかと言われればそうでは無いが、ただただ少し前なら悩まなかったようなことに悩む毎日はめんどくさいと感じてしまうのだ。
もちろんZ世代が嫌いな訳ではない。ただ関わりかと言うところでは、人間思うことの1つや2つぐらいあるのは当然だし我々の世代(平成初期生まれ)ぐらいはまだ上の言うことには従い、準拠に仕事をこなすのが当たり前でやってただけなのだから世代間のギャップがあるのは仕方がない事、われわれ世代は悩み葛藤し、手探りな状態なのも事実だ。
なのでベースとしてはお互い仲良く、パーソナルなスペースに入りすぎないような間柄を維持しつつ、適度な距離感で仕事をしたいという思いは同じなはずだと思います。
そんな中でこれは私自身の考えだが、上記の適度な距離感を保つ上でやはりした方がいいのでは無いかと思うことの一つに挨拶と返事がある。
最近見た動画で挨拶の是非みたいなことを討論するものがあったが、社会で仕事を獲得し、対人とコミュニケーションが必須な仕事において相手に対していい印象を与えた方が良い場面はその人の人生において数多く存在すると思っています。
それが会社を代表するもの同士ならその所属する組織の印象を決めることにもなるから尚更だと感じますし、同僚にいたっても挨拶をして挨拶を返されればどちらかと言うと気持ちよく仕事が出来た経験が自分にはあるのでそういう思いになるのかもしれません。
相手に自分の存在をアピールし、相手からも認知してもらった後に、仕事がはじまった方が正しいか正しくないかの判断ではなく、気持ちよく仕事相手と次にこなさなければならないミッションに取り掛かれることが多いと感じます。
私はそれを小学校など義務教育期間に教わり、それを実践し続けています。仕事をもらう側にたった時に相手にも気に入られたりしていただいた方が次の仕事を回してもらいやすくなりましたし、返事ひとつでも仕事へのモチベーションが伝わる上司もいましたので、できるだけハキハキと返すことを意識しています。
文章に書くと薄く感じますが私はそれである程度の成功は手にできたし、必要と思う理由もそこにあります。
しかし社会に出てみると意外な程にその習慣がない世代を目の当たりにすることが多く、教わってこなかったのか?はたまたただ挨拶に対して価値を感じないのか?などと疑問を抱くことが多くありました。
職業柄若い世代ともコミュニケーションをとる事が多いので一度興味本位でこの質問を投げかけてみたところ、なるほど納得と思うような返答が返ってきて私は胸のつかえが無くなりました。
最近社会に出た子達の多くは学生時代にコロナを経験し、必要最低限の会話や黙食はもちろん、発声することが周りからどう思われ、それが社会的にもあまり良しとされない期間を2年以上経験してきたことが起因していました。
社会生活の基盤を作る学校教育ではブラック校則のような大人も明確な理由があやふやだったりするもの以外は意義を唱えず、先生に言われたことを守ろうとすると思います。
ことコロナ環境下では、学校はもちろん社会がマスクをし、不要な会話は避け、それが正しいと教わった経験から社会に出てもそういった教育や常識のもと生活を送ることになったので上述に述べた挨拶やコミュニケーションの仕方自体が、コミュニケーションの基本は挨拶という概念自体が悪であった環境だったのです。
質問したところ上司や仕事仲間とはもちろん仲良くしたいが、社会基盤を習得する時期に会話を制限されていた過去に黙することが正しいと言われてきた彼らにとっては初めて知る概念になってしまっても無理はありません。
こと後輩に対してそのように返された返答に対して、私は上記にも記した挨拶の重要性を説いたところ確かにそうですね、今度から実践してみますという返答を頂き、お互いが何故そう言う考えに至っているか理解し、挨拶習慣の改善が出来ました。
人を思いやる気持ちはどの世代も一緒です。私たち指導者や管理者が後輩のこれからの仕事の獲得や豊かな人間関係を望むために先輩からの助言も人のためであり、Z世代の子達もまた、他人に対する思いやりの延長が挨拶をしないという感染予防対策からの行動だと言う気づきに、すれ違いや思い違いとは時代の出来事にも影響されるのだなと感じた出来事でした。
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