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人魚

人魚が海辺にいて、人魚には何か事情があって、無力な僕は花畑に人魚を連れて行こうとする、するとその時必要になるのは人魚の足で、キャリーするものが必要で、タイヤのついたソリに人魚を入れて引いていく、アスファルトにタイヤが弾かれて炎天の下には誰も歩いていない、ソリの中に入れた少しばかりの海水がチャプチャプと音をたて、それを掻き消すように僕は必死になって陸のことを教える、ソリを引く僕の手がいっそう強くなる、人魚が歌い始めた、海のメロディと陸のリズムが混ざり合って、そこには可能性と、きらきらした無謀が存在している、そのどちらもかけがえのない宝

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