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『映像の世紀』から学ぶ、動画の歴史とそのポテンシャル

「その世代の読者が、その世代の作家を生み出す。」__スティーヴン・スピルバーグ

TikTokのクリエイターを活用したプロモーションの会社をやっております株式会社Natee代表の小島です。

友人に激オススメされ見始めたNHKの『映像の世紀』がむちゃくちゃおもしろいので、今日は改めて「動画」の歴史や可能性について書いていこうと思います!

僕は正直、自分で動画に関わる会社をやっていつつも、動画というものの可能性をなめてました。というか『映像の世紀』を見て、改めて体系的に動画というものを捉え直して、その価値がマシマシになった感じです。

それにしてもNHKのこのドキュメンタリーのクオリティは半端ない。今はNetflixがその役目を担っていると思いますが、やはり商業的な話題性のあるドキュメンタリーが多く、NHKのような公に近い組織が骨太なドキュメンタリーを作る価値は、確かにあると思うんですよね。

*このnoteでは「映像」と「動画」という単語を区別せず、ほぼ同義で使っていますのであしからず。

映像が生まれてからたったの100年余りしか経ってないという事実

下記の動画は『ラ・シオタ駅への列車の到着』という、今だとなんの変哲もないただの列車が走っている動画ですが、その当時の観客にはとてつもないインパクトがある動画でした。

観客は自分たちに向かって近付いてくる実物大の列車の動きに圧倒され、叫び声を上げながら部屋から逃げ出そうとした、とまで言われています。また「画面からはみ出した列車はどこへ行ってしまったのか?」と画面の左端に消えていく列車の行方をどうしても理解できない観客がいたりと、そういう状況だったのです。

これほどまでに人類にとって「動画」はセンセーショナルだったわけですが、これがいつのことかと言うと1895年、つまりたったの100年ちょっと前です。

今だと当たり前になりすぎた動画ですが、19世紀以前は動画というものは一切ありませんでした。100年で人類が起こしたイノベーションの中では、インターネットに匹敵するほどのインパクトだと思います。

世界情勢の裏に映像あり

『映像の世紀』を見ていると、20世紀、21世紀の大きな出来事の裏には必ず映像があることがわかります。

1960年代に起こったキューバ革命、ベルリンの壁、ベトナム戦争、ケネディ大統領の暗殺、キング牧師の演説、この時代を象徴する事件はすべてテレビを通して映像で全世界に伝わりました。それまでは各国の新聞かラジオで伝達されていたわけで、文字や音声では戦争の悲惨さは伝わりません。

人類はこの時初めて映像で戦争の惨状を目の当たりにしたのです。そしてそれが全世界的な反戦運動へと繋がっていきました。

「フランス5月革命」とまで言われる反戦運動のやり玉の当事者になったフランスのドゴール大統領は

「教えてくれ、いったい私に何ができるのか。中国やドイツが若者たちを操っているに違いない。これは世界的な陰謀だ。裏で手が動かない限り、こうした運動が同時に様々な国で爆発するはずがないのだ。」

と発言録を残しています。裏で誰かが手を引いていようがいまいが、この時世界の若者の中では、「テレビの映像を通して反戦に対する一体感が生まれた」というのが間違いない事実だと思います。

10万の文字よりも、10時間の音声よりも、10秒の動画の方が人々を動かすインパクトは強いということです。

YouTubeのできたきっかけはスマトラ沖地震

そしてインターネットによって映像の歴史は第二章に向かいます。それは「誰もが物語の主人公になれる」という時代。

インターネットは民主化の歴史です。今までプロだけに閉じられていた世界がどんどん一般人に開放されていくもの。

YouTubeはまさに動画の民主化に他なりませんが、YouTube創設者のジョード・カリムは創業秘話としてこんな話をしています。

多くの一般人が自分の携帯を使って映像を記録した初めての大きい出来事がスマトラ沖地震でした。そしてそこには報道陣は誰もいなかった。彼らの記録した津波の映像は、見て分かる通り驚くべきものばかりです。だからシンプルにFlickerのビデオ版を作ったらどうかって。

今やスマホを持っているすべての人が、ニュースを最前線で伝えるリポーターであり、相互に牽制し合う監視カメラであり、自分の意見を発信する主人公なわけです。

そしてこれこそが21世紀を動かしてきた正体に他なりません。アラブの春、イスラム国の台頭、LGBTQの権利獲得。すべて動画による発信の民主化があったからこそ起こった出来事です。

メディアに合わせてスターが生まれる

もちろん歴史の大事件だけじゃなくて、お茶の間のスターにも多大な影響がありました。

20世紀前半に映画ができた当初、なんと全米で毎日500万人が映画館に通ったとされています。DAU500万のサービスってなんだよw

当然500万人が毎日目にする映画の中で人気な人たちは一大スターとなります。こうして映画俳優という専門職業が生まれたわけです。それまでのスターは舞台俳優だったでしょう。

そして戦後テレビが家庭に大普及していくことになりますが、その時映画俳優からは「テレビに出るのは二流だけ」と言われていたのです。テレビは明確に映画よりも序列が下でした。それでも劇場に足を運ばないと見れない映画よりも、家庭で見れるテレビが人気を博していくのは当然の流れとなっていきます。

これってまさにYouTuberが出てきた時に、テレビ業界の重鎮たちが言ってたこととまったく構造が一緒なんですよね。「テレビに出れなかったしょうもない人たち」と当初散々言われてましたが、若い人を中心にテレビよりもYouTubeを見ているので、YouTubeで人気な人をスターと認識するようになります。

このように、何が時代のスターを生みだすかというと、メディアの変遷なんです。僕らは今TikTokのスターたちとお仕事を一緒にしていますが、メディアが変わればスターも変わっていくのです。

動画のポテンシャルってなんぼや

もはや同年代という枠を超えて最も尊敬する起業家の一人塚本くんですが、IRIAMをDeNAに150億の評価額で売却、ZIZAIもDMMに売却し、自身は新会社のMEDIXで動画メディアへのシフトに張るという発表を最近していました。

今さら動画?って思われるかもしれないんですが、動画ってまだまだ持っているポテンシャルの1/10くらいしかこの世に生まれてない気がします。

僕もGoogleで検索することがメッキリ減ってきており、YouTubeで検索することが圧倒的に増えました。周りでもこの傾向は顕著です。これだけ文字が好きな自分ですらそうなんだから、本を読むのが嫌いな(すなわちマジョリティ)の人たちがどれだけYouTube、TikTokに頼りきっていることか。

ちなみにドン・キホーテでJKなどの行動を遠巻きに観察していると(あかんやつw)、商品を手にとってTikTokで検索しているんですよね。そりゃあコスメとかヘアケアは文字や画像より動画の方がわかりやすいですから。

YouTubeができてから16年、TikTokができてから6年。まだまだインターネットにおける動画の時代はこれからではないか、という気がしております。

動画について文字で書くという矛盾

ここまでお読みくださっている皆さんも多少はこのnoteを楽しんでくださったと思いますが、正直僕が伝えたいことの10%も伝わっていないという確信があります。

なぜならこの文章の中に動画はないから。文章は想像力を最大化させるメディアですが、動画は情報量を最大化させるメディアです。

もしお時間が許すなら、こちらの『新・映像の世紀 第6章 あなたのワンカットが世界を変える』だけでも見ていただきたいです。「動画の力ってスゲー!」ってなるはずです(笑)。

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