【酒造】そやし水もとへの挑戦2 R3BY 山陰吟醸との融合
まずはこちらを【酒造】そやし水もとへの挑戦 R2BY。R2BYに引きつづき、R3BYもそやし水もとへの挑戦をしました。
R2BYではそやし水による速醸タイプ(酵母添加)、生もとタイプ(酵母無添加)の酒母作りに成功し酒もできて製品化することができました。反響も大きく、即完売でリピート希望の声も多数寄せられました。
対外的な結果は良かったものの、製造的にはまだまだ改善点があり、課題を残す内容でした。水もと酒母に関しては問題なく出来たものの、醪に移行してからの管理に苦戦し、30日未満の普通酒経過になってしまいました。やはり酒母が変わるとバランスを取ることに苦戦します。
わたしの酒造りのベースは山陰吟醸なので、長期低温の吟醸経過で35日以上の醪にすることが理想でした。水もと×山陰吟醸が達成されなければ、ただ水もとに挑戦しただけになってしまうので、ほんとうの意味で水もとを自分のものには出来ていなことと同じになってしまいます。
ということで、R3BYは水もと×山陰吟醸の融合に挑戦した年でした。水もとは自然醸造、山陰吟醸は人間醸造、この2つをぶつけることで生まれるものはきっと感動的だろうと、頭の中では確信していました。この発想は後の縁起に繋がります。
結果は無事に成功。そやし水と山陰吟醸の融合を果たし、想像以上の酒が出来上がりました。相反する味わいがひとつに、クリアにだけど曖昧に存在し、伸びやかで始まりも終わりもない世界観が広がるようでした。
その酒は無窮天穏 水母と名前をつけてリリース。反響はR2BYよりも大きく、水もとの可能性を大きく広げる内容となりました。
R3BY、そやし水と山陰吟醸は融合を果たしました。その酒が水母となって製品となった時の喜びは最高のものでした。反響ももらったので報われました。
しかし、一方で大問題も発生していました。
おそらくその後につくったそやし水の影響で火落ち性乳酸菌が発生。生もと(天雲)になる予定の醪が2本、水もとが1本、合計約3000kのモロミが火落ち菌にやられてしまいました…。アルコールは問題なく付いたものの、酒の酸度は8.0まで上昇。
杜氏として火落ち菌は最大の敵。水母の成功のあと、地獄を見ました。その酒は酸度はあるものの意外と美味しく、天穏の日本酒としてはリリースできないのでレモンリキュールに使用しました。同業者の皆さん、水もとをやるときはご注意下さい。注意しててもやられるレベルで強力です。
R4BYでは新たなそやし水の製法に挑戦中。お楽しみに。