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UFC290 平良達郎の未来

昨日は日本格闘技界の至宝である、23歳の平良達郎選手、初のUFCナンバーシリーズ出場、本拠地ラスベガス大会出場で見事に勝利をおさめました!

UFC8年ぶりの日本人4連勝、これは堀口恭司選手以来で、UFC含めてプロ戦績が14勝無敗の記録を更新しました。

実はアマ時代も入れると公式試合では24勝無敗、人生でまだ一度も試合では負けたことがない格闘家選手… なかなか存在しないと思います。

そんな国内限定でなく世界の頂点メジャーMMAを目指す日本人選手としては、今後もなかなかすぐには現れないでしょう(今後のUFCでは同門の鶴屋選手も期待大)

そんな平良達郎選手ですが、注目された昨日の試合は3-0の判定勝利。

ある意味、昨日の試合も強すぎるゆえの一本、KOなどのフィニッシュ勝利での期待が高すぎるため、不思議な現象でSNS上で少しヒヤっとしたという意見も見られました。

もちろん、ファンのみんなが格闘技マニアとして細かく技術やその過程を見てるわけでないので、彼の圧倒的な強さとそのポテンシャルはわかりにくい人もいるとは思います…


ボクの個人的な視点では、この一戦は今後の達郎選手がアジア人初の男子UFC王者を目指す未来を考えると、本当に大きな意味ある試合だった気がします。

⚫︎2週間前の前日の試合キャンセル
⚫︎そこからのメンタル力の維持と向上
⚫︎ショートノーティスでの調整
⚫︎短期間での二度の水抜き
⚫︎初のナンバーシリーズ出場
⚫︎大会場でのラスベガスデビュー戦
⚫︎本来の階級でないキャッチウェイト130lb
⚫︎自分よりリーチ長いストライカー
⚫︎少しだけ顔に被弾する
⚫︎UFCで2回目の3R試合経験
⚫︎初めてラウンドマストで3R目を落とした
⚫︎初めてのブーイング(ラテン多いから)
⚫︎試合中エルボー講座の動画バズり


でも彼にとってこれら数々の経験をわずか実戦の一試合を通じて生で得られたことはすごいことじゃないですか?

もともと最初のUFC契約は4戦でしたが、ここ最近の日本人で全勝しての契約更新も偉業で凄いのですが、次からがいよいよ本番です。

最初の契約では試合を通じて大事に経験を積ませてくれたUFCの期待度、それは本当にイリディアムエージェンシーのジェイソンCEOの手腕です。

やはり特に海外でチャレンジする場合には、本当にマネージメントの力というのも大事です。

今回も2週間前の前日試合キャンセルだって、初戦のカンデラリオ戦での苦い経験が活きているのは間違いありません。

前日キャンセルからUFCサイドとすぐに交渉、そして8月のシンガポール含めた数大会からのオプション確約、今回の年一の一番最高のインターナショナルファイトウィークという舞台を選択肢に入れてくれたのもイリディアムの功績です。

同大会のコ-メインがモレノのタイトルマッチであり、エドガー選手も同じチームモレノ、イリディアム所属だから組めた試合なのでしょうね。

そんな中で、達郎選手は一番体調的には厳しい二週間後の試合をファイターとして選んだわけです。

もちろん、それは今回の試合に関しては相手も同じ条件なのですが、本当の試合であれば、2〜3ヶ月前から準備して、相手を分析してキャンプに入り調整していくのが試合のセオリー。

本来のフライ級としての戦いであり、2ヶ月前の準備であれば、よりみんなが期待するようなスカっとする一本勝ちする勝率も大きく変わったでしょうね。

でも試合だけ見れば、あれだけのグランドコントロールできて競技としての技術で考えれば力の差はあり圧勝です。

確かにカーフで少し持っていかれるスタンドでの距離感、フィニッシュにつながるパウンドなど、より強くなるためのやるべきこともあるかもですが、それ以外はフックでのフラッシュダウンとは言え、その後すぐに自分の得意なグランドへのポジション移行、最後のギロチンも全く危なげない対応力というのが僕の印象でした。

そもそもディフェンス力が強いので、日本を含めた過去の試合ではグランド展開では当たり前ですが、あまり打撃での被弾も実戦経験できないのが達郎選手の凄すぎる秘訣なのです。

なので、実は今回も本当にヤバいと思うような展開はなかったですが、逆に少しだけ被弾経験できたのは収穫とも言えます。

もちろん本人も試合後インタビューで言ってたように、自分が思うような展開が作れなかったこと、大舞台でフィニッシュというスカ勝ちできなかった悔しさはあるでしょう。

それすらも次戦以降においてはプラスに働くでしょうし、欲を言えば、あの大観衆の中での鮮烈な一本勝ちを世界中のファンに見せたかったけど、それはまた次戦以降のお楽しみということです。

それよりも本当に試合を通じて、これだけの実戦経験を学べたことこそが、ものすごい未来への確信になることは間違い無いでしょう。

でも毎回思うのが達郎選手の試合前日の計量時含めての試合モードのスイッチが入った時の野生的な本能というかキラーモードは本当に格闘家として大事な天性のもの。

もちろん本当にこれから王者を目指すまでのランカー戦ではかなりタフな試合が増えると思います。

同じ日に行われたフライ級のトップであるモレノ、パントーヤのタイトル戦を観ると、もともとの計画通り、2-3年後に経験を積んでからのタイトル戦になるのかなとは思います。

UFC王者になれるチャンスはオリンピックと同じで、きっと人生で1-2回の試合のみ、これをモノにできるかで歴史は変わります。

その準備が整う時でも格闘家、平良達郎は25歳、恐るべしです!





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