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《Chaki F-20》資料[4B-3]

Chaki F-20 資料[4B-3]
表板と裏板が単板、側板が合板。このラベルのデザインは80年代辺りのものだろう。F-20は近年のものはオール合板製のものをよく見かけるが、この頃のチャキはスペックが高いものをよく見かける。
チャキは他メーカーと比べると全般的に重い楽器が多いが、この個体もずっしりと重く、みるからに堅牢につくられている印象だ。表板に装飾が施され、ヘッドのペグにも糸巻きの装飾がつけられている。指板は縞黒檀だろうか。肩が張っていてボディが厚いので大きな印象があるが、ボディの縦が108.5cmとやや短い。ネックの形状が角ばった感じはチャキ特有のシェイプだ。
弦のテンションは高く、芯のある硬質な音色で
低音域が豊かに鳴るのが魅力的だ。しかし、音域のバランスは余り良くない様に思える。発音時の反応もいまいちはっきりしない感じだ。つくりが重厚過ぎる気もするが、どうなのだろう。
指板の中ほど辺りに指板由来のノイズが出る。全体的にボディが鳴りきっていない感じもするので、調整が必要なのかもしれない。
量産楽器の中古は余り弾かれずに、壊れたまま放置されていたものも多いので、こうした楽器は手をかけて、たくさん弾いてあげれば出る音も変わるだろう。古い量産楽器には、そう扱われずに放置されたり、手放されてしまう境遇にあってきたものが多く、生まれたきたモノとして、その存在性に悲哀が漂っている。


Chaki F-20 資料[4B-3]

total length :  183cm
string length : 105.5cm
(body)
upper Bout :  52.5cm
middle bout : 38.5cm
lower bout : 66cm
side : 22cm
height : 108.5cm

(sound sample)
strings : Jargar Strings
           belcanto(thomastik-infeld)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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