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《Suzuki No.91(1968)》資料[4A-4]

Suzuki No.91(1968)資料[4A-4]
表板のみ単板のNo.91(1968年製)。前述の1966年製[資料4-3]と比べると、こちらは指板は黒檀が使用されており、グレードがやや上がっている感がある。
響きの傾向は同社の全合板ガンバシェイプとそれほど変わらないものの、表板のスプルースの柔らかな響きがよく感じられる。この表板の材が良いのか、または裏板/側板合板材のバランスが良いのかも知れない。合板材由来のボアボアとして鳴る感じが若干気になるが、音量もあり、本来の弦楽器にあるべく振動が感じられるので、弾いていて充実感がある。柔らかな音色がとても心地よいので長く弾いていたくなる愛着の持てる個体だ。
スズキは後に、このスペック(表板のみ単板タイプ)のガンバシェイプでNo.92(1973〜2017)、No.130(1973〜2014)、No.180(1981〜2018)等の良質なエントリーモデルを世に出していく。これらのモデルには学校の部活などで多くの人々がお世話になったことだろう。No.91はその流れの初期タイプといった位置付と、私は考えている。


Suzuki No.91(1968)資料[4A-4]
total length :  183.5cm
string length : 104.5cm
(body)
upper Bout :  49.5cm
middle bout : 38cm
lower bout : 65.3cm
side : 21.3cm
height : 110cm

(sound sample)
strings :  belcanto(thomastik-infeld)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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