《キソスズキ》昭和時代の国産コントラバスメーカー#6
《キソ(木曽)スズキ》
・ラベル/Kiso Suzuki Violin Co.ltd
・鈴木バイオリン産業株式会社(1948〜1950)
有限会社 スズキバイオリン社(1951〜1985)
キソ(木曽)スズキの詳細についてはWikipediaの「スズキバイオリン製造」の記述のなかの「有限会社 スズキバイオリン社」の項に詳しく記されている。
鈴木ファミリー関連のメーカーという事もあり、広く知られているメーカーである。しかし、ネット上での中古の個体確認頻度はそれ程高くはない印象がある。
「コントラバス中古Suzuki」として売られているものがラベル写真を見ると名古屋スズキでなく、木曽スズキである事があるので注意深く見る必要がある。型番数は多くないが同型番でスペックの異なる例をよく見かける。
ラベルに「Copy of Antonius Stradivarus1720」とあり、製作年、型番、サイズ(日本基準)が記されている。ストラディバリウスと記せば何も知らない素人は良いものだと思ってしまうだろうという計らいだろう。楽器業界では昔はそういった商いが罷り通っていた話しを以前耳にした事がある。
つくりや塗装はいかにも安物という印象の製品が多い。しかし楽器内部を見ると案外きっちりとつくられている印象を持つ。
音のほうは合板製楽器としては他社とは一線を画したセンスを感じる。これは使用されている材が粗悪で脆弱な故ではあるかもしれないが、合板材ゆえの音の硬さが割と回避できているものが多い。アンサンブルで使えるかどうかは別として、単体でピチカートで弾くぶんにはまろやかでとても好感の持てる音だ。その音色の柔らかさは他メーカーと比べて群を抜いている。しかし、音の輪郭がぼやけ過ぎる傾向が顕著で、結果として、やはり低価格帯の所謂“使えないクオリティー”となっており、残念さが際立つ。
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