《クレモナ》昭和時代の国産コントラバスメーカー#8

《クレモナ》
・ラベル/Cremona
・工房名/クレモナ弦楽器製作所
・創業者/坂本虎次郎

坂本虎次郎氏がコントラバス製作者として有名なため、メーカーとしての印象はやや薄いのかもしれないが、クレモナは、スズキ、チャキ、オリエンテと並び長年に渡り低価格帯の合板製楽器を製造している。現在も中古品が数多く出回っている。
数多くの型番が存在するが、型番は異なれど何処が違うのか判別出来ないものも多い。単板タイプは国産では珍しいフラットバックを採用しているものがある。
ラベルは、装飾のあるタイプと、スタンプでナンバーのみが記されているシンプルなものと2種類ある。基本的にラベルには製作年の表記はないが、稀に記されているものもある。うろ覚えだが1990年代以降のものは割りと記されている印象がある。
クレモナのベースがいつから作られているのかは私は知らない。1960年代頃からなのだろうか。
背に「cremona」の表記がないものも多い。又「culemona」と記してある古い合板製が存在する。このスペル違いの経緯は不明。
「Torajiro Sakamoto 」銘のものは名器として奏者に人気がある。90年代半ば頃以降は坂本氏がひとりで製作していた時期あったようで、「cremona」ラベルでも坂本氏本人のみの製作のものがあるようだ。

低価格帯の合板製楽器は時代により印象が異なる。60年代頃のものはつくりが荒削りで、ペラペラな印象の個体によく出会うが、(おそらく)70年代くらい以降のものになると低価格帯でも楽器として完成度が高い印象がある。
音色は派手さがなく堅実な印象で、箱鳴りという点では他メーカーよりもボワッとした低音成分は少なく纏まりがある。弾いていて充実感は少ないものの音に締まりがあり、全体的にとても上品に響く。


【私が確認した型番】

・No.S1 (単板)
・No.1s (単板特注?)
・No.10(合板)(表単板)2種
・No.S10 (表単板)
・No.12
・No.14(表単板)
・No.15 (合板)
・No.17
・No.20
・No.25
・No.30 (表単板)
・No.35
・No.38 (表単板?)
・No.40 (側板合板)
・No.45
・No.50(合板)
・No.60(合板)
・No.60(vn shape)(合板?)
・No.70
・No.80(合板) (1/2単板の特注品もあり)
・ No.90
・No.100
・No.310(合板)
・No.340(合板)
・No.350
・No.380(合板)
・No.480(合板)
・No.550 (合板)
・ No.800

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