見出し画像

《Coin No.230 》 資料[1-3]


Coin No.230資料[1-3]

No.230。ニス落ち、指板の激しい削れなど、この個体はとても状態が悪い。一般的に通常の弦楽器は古くなると見た目も味わい深くなっていくものだが、合板材でつくられた量産型の楽器は、ただボロになっていったようにしか見えない事が多い。粗悪な材で簡素につくらたコイン製品は特にその傾向が強い。傷だらけの壊れたボロボロの楽器をみるのはやはり悲しい。
鳴りは軽薄で弱々しく、劣化した粗悪な合板材の音の典型と言えよう。この個体はつくられてから(恐らく)60年ほどの長い年月、いったいどの様に過ごしてきたのだろう。きっと、たいしてケアもされずに扱われ、放置されていた期間も長かったのではないか。長いあいだお疲れ様です。労をねぎらいたくなる。

Coin No.230資料[1-3]
total length :  182cm
string length : 105cm
(body)
upper Bout :  51.4cm
middle bout : 38.5cm
lower bout : 67.4cm
side : 20cm
height : 109cm

(sound sample)
strings : belcanto(thomastik-infeld)



※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?