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《Suzuki No.80(1962)》資料[4A-2]

Suzuki No.80(1962)資料[4A-2]
No.80、1962年製。前述の1959年製[資料4A-1]からボディシェイプが変化している。バランスは良くなったように見える。美しいバイオリンシェイプだ。
No.80(国産3/4サイズ)は1954年から1974年までの20年間製造されていた。当時のスズキ製コントラバスのなかでは一番低い価格がつけられている。興味深いことに、同時期に製造されていたオール合板製のNo.81(国産4/4サイズ)よりも安い価格だ。No.80は表板が単板なので、スペックを考えるとこちらの方が高価と考えることもできるが、当時は単板、合板に関わらず、単純に材の使用量で価格差をつけていたのだろうか。
使用されている板は表裏とも薄く重量はとても軽い。表板の単板材の質はあまり良くはない印象だ。低音がモコってしまう古いスズキ製品のクセが見られ、音の軽薄さも気になる。コントラバスとして使用するには頼りない音だが、この柔らかな音色は案外良いのではないか、とも思う。個体の健康状態にも関わるが、1959年製[資料4A-1]と比べてみると、同型番の楽器としてクオリティは向上している印象がある。



Suzuki No.80(1962)資料[4A-2]
total length :  175cm
string length : 100.5cm
(body)
upper Bout :  48.3cm
middle bout : 35cm
lower bout : 61.3cm
side : 20cm
height : 105cm

(sound sample)
strings : perpetual(pirastro)



※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。


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