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《Coin No.B2850 》 資料[1-7]

Coin No.B2850 資料[1-7]
ボディサイズは普通だが弦長は101cmと若干短めだ。ナット側の指板端が4cm程で、メーカ問わず60年代くらいより以前のものによく見られる細めのネックを有する。
この個体は指板裏が薄く削ってあったり、おそらくエンドピン、テールワイヤーが交換されるなど若干のカスタマイズが見られる。低スペックの楽器をなんとかしようとするかつての所有者の苦心を想像する。
材の劣化は著しく、アルコはなんとも言えない朽ちたような枯れた音がする。ピチカートは柔らかでこもった感じの地味な音。音に力強さはないが、この素直でマットな響きには好感が持てる。“朽ちていく味わい深い何か” を感じない訳ではない。古い合板材でしか出ない音は確かにある、ということは分かる。しかし、これを楽器として味わいあるものとして捉えられるかは微妙なところなのかもしれない。劣化した合板楽器の典型として、いい見本のような個体だ。

Coin No.B2850 資料[1-7]
total length :  183cm
string length : 101cm
(body)
upper Bout :  52.3cm
middle bout : 38.3cm
lower bout : 68cm
side : 20.2cm

(sound sample)
strings : belcanto( thomastik-infeld)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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