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《Cremona No.80》資料[3-2]


Cremona No.80 資料[3-2]

70〜80年代と思われるオール合板製のヴァイオリンシェイプ。ラベルのナンバーは消えかかっていて判読しずらいがNo.80だろう。分厚く大柄なボディ。ネックが太く指板幅も広いので少し弾きづらく感じたが、慣れればそれほど気にならない。
この個体の響きは、資料として購入したオール合板製の中では良質なもののひとつだ。健康状態も良いこともあると思うが、合板製楽器としてかなりクオリティが高いと思う。
合板の割にはそこそこ芯のある低音が出る。響きがマットで落ち着きがある。合板特有のボワっとした箱鳴りの響きが少ないので、他社の合板製と比べると一瞬やや充実感に欠けると感じる事もあるが、引き締まった明るく上品な鳴りで、弾いていて喜びがある。
因みにNo.80という型番は1/2サイズの特注品と思われる個体をインターネット上で見かけたことがある。その個体は単板仕様のハイスペックなものだった。古い国産メーカーは同型番でもスペックの違うものを割と見かけるので注意が必要だ。

Cremona No.80 資料[3-2]
total length :  183cm
string length : 104cm
(body)
upper Bout :  50.7cm
middle bout : 39cm
lower bout : 66.5cm
side : 20.3cm

(sound sample)
strings : original flat-chrome(pirastro)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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