《INA JAPAN KYOMEISHA(full scale) 》資料[5-2]
INA JAPAN KYOMEISHA(full scale) 資料[5-2]
ノーラベルだがボディの形状やつくり等からINA JAPAN KYOMEISHA(KYOMEI BASS)と判断できる。表裏の板、および側板は単板が使用されている。興味深いことに、表板、裏板、側板に全て同じ材が使われているように見える。通常弦楽器に使われるスプルース、メイプル等ではなく、何か違う材のようだ。
表板はE線側が落ち気味で、下部もよく見るとグニャグニャと歪みが出ている。おそらく材が柔らか過ぎるのだろう。経年により形状が保てなくなっているようだ。
弦長は110cmのフルスケール。この個体は通常のコントラバスのボディバランスから逸脱している。オクータブ(弦長1/2)の位置がネックの付け根あたりに位置していて、弾くのに苦労した。極端に短い指板がつけられており、指板がF#音辺りまでしかない。このため指板終わりから駒までの距離が異様に長い。
テンションは弱く、柔らかめの音がする。ボディ全体に使用されている柔らかな材のせいだろうか。風変わりで個性的な音色だ。音量は大きめのボディの割にはそれほど出るわけでもない。
INA JAPAN KYOMEISHA(no label) 資料[5-2]
total length : 187.5cm
string length : 110cm
(body)
upper Bout : 50.5cm
middle bout : 38cm
lower bout : 65.8cm
side : (up)22.5cm
(low)19〜21cm
height : 108.5cm
(sound sample)
strings : belcanto(thomastik-infeld)
※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。
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