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《Chaki D-3》資料[2-5]


Chaki D-3 資料[2-5]
ラベルのスタンプ部分が消えてしまっていて製作年はわからないが、ラベルのデザインやシリアル、合板材の質など全体的にみて70年代後半と思われる。型番の部分も消えかかっているが薄っすらと残っているのを見るとD-3だろう。チャキのなかでは大きめのボディでネックも太い。
古いチャキの合板材の化粧板は、フローリングのような木目が大胆で悪趣味と思えるものも多いが、この個体の側板や裏板も例に漏れず、やや眉を顰めたくなるものだ。使用されている合板材は例えば60年代チャキと比べて格段に良くなっていると感じる。
この個体は某有名ミュージシャンの遺品だったようだ。引き取った時の状態から察するに、長い期間使用されずに部屋の片隅で壊れたまま放置されていたようだ。
ピチカートで弾くと、合板材の硬さからくる“コツコツ”とした硬質な発音が若干気になる。テンションは弱く“プンッ”と気持ち良く鳴り、チャキ特有のハイポジションでの豊かな響きも心地よい。


Chaki D-3 資料[2-5]
total length :  183cm
string length : 104.5cm
(body)
upper Bout :  51.6cm
middle bout : 36.5cm
lower bout : 66.5cm
side : 21cm

(sound sample)
strings : permanent(pirastro)


※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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